徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

其の八「お勧めパチンコ台」…親父と歩いた日々

2007-01-31 11:05:00 | 親父
 町のあちこちにまるで銀行か…と思うような厳しい造りの建物…。
最初のうち…全然パチンコ屋さんには見えない…とひどく違和感を覚えていたのだが…この頃では…そういう様相の建物が在ると全部パチンコ屋さんに見えるから不思議だ…。

 ここ十五年ほど…遠ざかってはいるが…若い頃には友だちと連れ立ってよく遊びに行った。
ギャンブル運がついてないのは分かっているので…使ってもせいぜい千円から三千円…少しだけ時間がある時のささやかな楽しみだった。


 パチンコ屋に初めて足を踏み入れたのは…18の時…高校卒業と同時に…待ってました…とばかりに親父が連れて行った…。
今なら20未満はお巡りさんに捕まっちゃうんだろうけど…当時は確か…18歳未満お断りだったような気がする…。

 建物の外まで響き渡るような軍艦マーチ…。
透明なガラス張りの壁…耳を劈くチンジャラの音…。
派手な場内アナウンス…店の前を埋め尽くす造花の花輪…。

 普段…いまいち反りの合わない親子だが…遊びは別…。
今思えば…酒を飲ませたのも親父なら…パチンコに引っ張り込んだのも親父…。
ゴルフ店に連れて行ったのも親父だった…。

 そう…親父は決してアウトドア派というわけではなかった…。
会社の帰りに家の前を通り越してパチンコ屋へ直行する親父の車を家族の誰かがちょくちょく目撃していた…。

 「親父…前を通ってチンジャラ行ったよ…。」

 「そんじゃ…蛍の光だで…さっき御飯食べよか…。 」 

その頃は…ほとんど毎日通っていたと言っても過言じゃない…。
それを家族は…パチンコ屋に月謝払ってお勉強…と言っていた…。
蛍の光…とは閉店までは帰ってこないってこと…。

 盛り場に女子大小路と呼ばれるところがあって…親父は綺麗どころが集まるそのあたりでよく酒を飲んでいた…。
高い月謝を払って女子大小路でお勉強する…のが年がら年中だったので…パチンコ屋の時もそんなふうに言っていたのだ…。

 換金していたのかどうかは分からないが…袋にいっぱいチョコレートを詰めて…時には手ぶらで…勝っても負けても機嫌よく帰ってきた…。
家族の前でバサーッとチョコレートを広げて…オカンと子供たちが喜ぶ顔を見て…自分もそれを美味そうに食べた…。
大酒飲みの癖に甘党で…チョコレートやケーキや饅頭が大好きだった。

 初めて入ったパチンコ屋…。
何処へ座っていいのやら…どう動かしていいのやら…。

 親父はいつも使っているらしい台に案内してくれて…ここで遊んどれ…みたいにしてひとつ離れた台に腰を下ろした…。

 パチンコ台と言えば…親父が遊びのために貰ってきてくれた本物のパチンコ台がうちにひとつあったが…それは手動で指で弾く古いもの…自動なんてどう飛ばしたらいいのか…。

 が…触ってみたら案外…簡単…ただし位置を固定しようとすると手が疲れる。
それに…入る時はジャラジャラ来るが…入らん時はあっという間に摩る…手動とは大違いの速さで…。
その頃はまだ…店の中に僅かに手動の台も残っていたが…客は疎らだった…。

 親父はあっちこっち台を替えたが…その日はついていなかったようで…あたりがなかった…。
しばらくして隣の台に戻ってきて…ちょっとだけあたっていた自分の台から…ひと掴み玉を抜き取っていった…。

抜きしなにニカッと笑いながら…。

 そのまま…ふたりとも玉を使い果たして店を後にしたが…帰りの車の中で…その店の出そうな台を幾つか教えてくれた…。

 その後も何度か一緒に行ったが…バイトや友だちとの付き合いが多くなってしまうと…自然に行かなくなってしまった…。
親父もゴルフの方に興味が移って…パチンコ熱が冷めたようだった。


生きていたら…銀行みたいなパチンコ屋を見てなんと言うだろう…。

 こんなんじゃ…どこに在るだか分かりゃせんがや…と嘆くだろうか…。
それとも…そんなもん…どうでもええがね…と笑いながらお気に入りの台を探すだろうか…。

もう一度…肩を並べて…遊んでみたいような気がする…。

おじいになった親父と…自分と…。




今夜の一皿…ポークビーンズdove風

2007-01-30 19:53:03 | 簡単手抜き料理
 doveんちの豆料理には醤油味系…トマト味系…カレー味系…コンソメ・ブイヨン味系…餡子系などなどが有りますが…その中でトマト味系に属します…。

見れば分かるって…?
すんません…。

 ポークビーンズはもともとは白いんげんを使う料理ですが…doveのところでは幾種類もの豆を使います…。

 ガルバンゾ(ヒヨコ豆)、レッドキドニー(赤インゲン)、落花生、大豆、青エンドウ豆、黒豆…が入っています。
乾燥豆で揃えるのは下拵えが大変なので…サラダ用のパック詰めを数種類利用すると楽…。

煮豆の嫌いな方でもこれなら大丈夫かもしれません…。
お試しあれ…。

いいもん拾ったぁ~!

2007-01-29 16:58:16 | ひとりごと
 今日は…親父シリーズで行こうと思ってたんだけど…昨日ここに可愛いお客さんが来てくれたから…別の話…。
子供たちが小さかった頃を思い出しちゃった…。

 子供たちがまだ2歳ぐらいだった頃…近所の公園へ連れて行くことがあった。
すでにご存知の方もいらっしゃるが…doveんちの子供はふたりっこ…。
かけっこは遅いくせに逃げ足は速い…。

 足がはえた途端…右へ左へ…前へ後ろへ…と逆方向を目指すようになり…追っかける方は…ぜぇぜぇはぁはぁ…。
ひとりが西の出口から脱走しようとしているのを捕まえようと走れば…もうひとりが東の出口から脱走を図る…。
近所のお母さん方のお力添えで…なんとか公園の外への脱走だけは阻止できた…。

 その頃のお母さんたちの話題と言えば…幼稚園を何処にするか…。
doveもそれは気になっていたので…お母さん方からいろいろ話を聞かせて貰った。

今は少子化と共働きのせいで、保育園は待機児がいっぱいなのに、幼稚園は入園者希望者が減ってきているらしいね…。

 doveの子供たちの頃は幼稚園に入園するために受付の順番待ちで親が朝早くから並ばなくてはならなかった。
人気の幼稚園となると前の晩から並んでいたそうだ…。

 何処其処の幼稚園は英語とか国語とか勉強方面ををしっかり教えてくれるけれど…お金がめちゃくちゃかかる…。
(えっ…幼稚園で勉強しっかり…?)

 靴が規定のもので三足も要るし…制服や体操服だけじゃなくてコートも規定…行事の度に寄付金も…お道具やテキストがいくらいくらだし…。
(あっ…うちには合わん…そこは×…。)

 そんなこんなの話をふむふむなるほど…と聞きながら…ふと子供たちの居る方を見る…。

居らん…。

何処へ消えた…と公園を見回す…と…珍しくふたり一緒に同じ階段を駆け上ってくる…。

脱走してたな…。

ふたりは嬉しそうに満面の笑顔を浮かべて…こちらに向かって手を差し伸べながら駆けて来る…。

doveちゃん! いいもん拾ったぁ…!

いいもん…なんだろ…?
どんぐりかな…? バッタかな…?

 この頃…まだ虫取りを教えてなかったから…バッタはないだろうな…とは思った。
思ったけど…。

見て見て! いいもん…!

ぱっと目の前に差し出されたそれ…。

ぎゃっぎゅっぎょっ!

小さな手の上に…コロンとひとつ…犬の落とし物…。

犬のう○ちだから…どぶに捨てぇ~っ!

これ…○ん○…? 
ぎゃ~!

子供の手首を引っ張って…手洗い場へ急いだ…。
ごしごしと手を洗わせながら…もう拾っちゃいかんと教えた…。

うぅっ…乾燥していて…良かった…。

 もうひとりがじっと見ている…。
まさか…と思って…もうひとりの方のポケットを調べた…。
こちらは宝物をポケットに詰め込む癖がある…。

幸い…何も入ってなかった…。

と…とにかく…ポケットの中になくて…ラッキー!
洗濯しちまったら…。

いいもん…を黙ってしまいこんでいた時のことを想像して…冷や汗たらたらのdoveだった…。








『う』…というコメントをくれた坊や…或いは…お嬢ちゃんへ…。

2007-01-29 11:10:49 | ひとりごと
 昨日…たくさん『う』を送ってくれてありがとう。
全部…届いたよ…。 上手にできました。

 でも…黙って送っちゃって…叱られなかった…?
今度送ってくれる時は…お父さんやお母さんにお許しを頂いてね…。

 そうだなぁ…今度…送ってくれる時には…タイトルのところに『う』を入れてくれたら…doveにはちゃんとあなただって分かるよ…。

 お父さんやお母さんについていて貰って…何か書いて送ってくれたら…doveもお返事のコメントを書きます。
『あ』…でも『え』…でも構いませんから…。
好きな字を書いて下さいね…。

 あなたのお父さんかお母さんが心配して…すぐにお詫びのコメントを入れてくださいました。
そのままにしておかれる方が多い中で…ちゃんとわけを話して下さり…詫びてくださいました…。
あなたのお母さんかお父さんはとても立派な方ですね…。

 よかったら本当に…また…コメントを下さい…ね。
待っていますよ…。

 この手紙…お父さん・お母さんに気付いて貰えると嬉しいんだけど…。
もし…心当たりがあったら…お子さんに伝えてくださいね。








 

続・現世太極伝(第百十一話 我々は…神…ではない…。 )

2007-01-28 16:34:00 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 HISTORIANの件が一段落したからと言って連携組織の仕事が終わったわけではない…。
組織は誕生したばかり…これからどう持続させ機能させるか…が重要な課題…。

 今回のように非常事態の中では、改善すべき点は多々あるものの、嫌でも協力して動かざるを得ないから機能そのものが停止してしまうことはなかったが…。

 しかし平常時は要注意…。
何事もない状況に慣れてしまうと、組織の存在そのものの必要性を感じられなくなり、結果としてその機能が停止してしまう可能性がある…。
平常時の緊張感を如何に保ち有事に備えるか…祥と執行部の模索は続いていた…。



 「じいたん…ただいまぁ…。 」

足音とともに吾蘭と来人が居間へ駆け込んできた…。

来たな…ちびギャングども…!

有は笑いながら両手でふたりを抱きかかえた…。

 毎日のように店で顔を合わせている智哉とは違って…なかなか帰宅できない有とはたまにしか会えない…。
それでも…吾蘭も来人も西沢に雰囲気が似ているこの若い祖父のことが大好きだった…。

 「ふたりの様子はどう…? 」

 子供たちの後から大きなバッグを肩にかけて両手に買い物袋を抱えたノエルが現れると、心配そうに亮が訊ねた…。
ふたりとは…勿論…ちびギャングたちではなく…西沢と滝川のことだ…。

 「いまいち…。 先生は相変わらず…紫苑命でべったりなんだけど…紫苑さんが妙におとなしくてさ…。
今までなら即パンチが飛んでたようなこと先生がしても怒んないの…全然…。 」

そう言ってノエルは肩を竦めた…。

ふうん…責任感じて気を使ってんのかなぁ…。
ノエルから袋を受け取りながら亮は思った。

 「そんなだから…先生も悪戯の仕掛け甲斐がなくて…つまらなそうなんだ…。」

悪戯ねぇ…それだけ元気なら…先生の方はまず…心配ないな…。

背後で孫たちと有の楽しげな声がする…。
チラッとそちらに眼を向けると…可愛い孫たちを前にとろけそうな有の顔…。

問題は…やっぱり…紫苑か…。



 急ぎの作品を受け取りに来た玲人が帰ってしまうと…西沢は溜息を吐きながら居間のソファに腰を下ろした…。

こんな時に限って…時間が空いちゃった…。
休みなくスケジュールが詰まっててくれればいいのに…。
忙しい時は寝る間もないのにな…。

 そう…忙しければ…何も考えなくて済んだ…。
西沢の中に絶えず湧き上がってくるもの…底知れない不安…。

 「仕事…終わったか…紫苑…? 」

滝川が声をかける…。

 「うん…。 」

返事をしながら…そっと滝川の手を取る…。
ここに居るよ…と知らせるように…。

 「じゃ…晩飯にしようぜ…。 ご免な…たいしたもの…作れなくて…。 」

スタジオを仕事仲間に任せて療養中ではあるが…完全に見えなくなっているわけじゃない滝川は…できるだけいつもどおりに分担した家事をこなそうとする…。
西沢に不安を与えないように必死だと分かる…。
分かるだけに…西沢の胸が痛む…。

 「おまえの作ってくれるものはなんだって美味しいよ…。 」

西沢がそういうと滝川はフッと笑った。

 「和がよく…そう言ってくれたなぁ…。 僕が料理を覚えようとしている頃…。
恭介…あんたの作ってくれるもんなら何でも美味しい…って…。 」

その和が命懸けで育てた滝川の才能…それを…。

言葉が出なかった…。 申し訳なくて…切なくて…。

 「紫苑…どうした…? 」

今の滝川には西沢の表情が見えない…。
筋肉の動きや…血液の流れ…は把握できても…。

膝をつき…屈み込んで西沢の顔を探る…。

 「また…か…。 おまえってほんと…泣き虫だなぁ…。 
こんな顔…子供たちには見せられないぜ…。
紫苑…おまえのせいじゃないんだよ…。 僕の自己満足さ…。 」

 それに…何かきっかけがあれば…すぐに良くなるって有さんが言ってたろ…。
心配ないよ…。
滝川に慰められても…西沢は項垂れたままだった…。

 「僕のせい…だよ…恭介…。 疫病神なんだ…。
英武の病気も…母さんが不幸だったのも…父さんと亮がつらい思いをしたのも…。
みんな…僕が生まれてきたせい…だ…。

おまえまで…こんな目に遭わせてしまって…。 」

滝川は眉を顰めた…。

 「紫苑…それは違うぞ…。 誰がそんなことをおまえに吹き込んだんだ…?
何ひとつおまえに責任はないんだよ…。 」

 巌御大…だな…。 祥の父親…西沢の祖父…という人を思い浮かべた…。
西沢に巨額の財産を遺してくれた人ではあるが…西沢を閉じ込めた張本人でもある…。

紫苑が西沢の家から出ていけないように…すべての責任を押し付けたのか…。

 「そんなの嘘っぱちさ…。 それぞれに複雑な事情があっただけのことだ…。
おまえを閉じ込めておくための方便だぜ…。 」

それを聞いて西沢は悲しげに微笑んだ…。

 「分かってる…。 それは…分かってるんだけど…そう思えてしまうんだ…。
紫苑さえ生まれて来なければ…絵里も有も不幸にならずに済んだと…祖父が口癖のように言うのを聞いていたから…。 」

 そこまで言うのなら…なぜ紫苑を有の許に返してやらなかったんだ…と…滝川は内心ひどく憤慨した。
自分たちの都合で紫苑を閉じ込めておいて…あげく虐待して…相庭が傍に居てくれなかったら今頃どんな人間に育っていたか…。

そっと西沢を抱きしめた…。
西沢の表情は見えない…が感触は分かる…。

 「なあ…紫苑…。 いつも言ってるだろ…?
僕は初恋の紫苑ちゃんのためなら…なんでもするんだよ…。
 眼のことだって…僕が余計なお節介をしたから痛めただけのことさ…。
だから…気にするな…。 」

 初恋の紫苑ちゃんは…怜雄の妹…天使のように可愛い女の子だった…。
ラブレターを渡した途端…実は弟だったと分かって大失恋…。

でも…愛してるよ…ずっと…。

 泣き虫で脆いところはあるけれど…強くて優しい紫苑…。
温かくて陽気で人懐っこくて…相当ハチャメチャだけど憎めない…。

 それは逆境に置かれた中で相庭が懸命に護り通した紫苑のパーソナリティー…。
滝川は心から相庭の尽力に感謝した…。



  亮の家から直接出勤するつもりだったノエルは、忘れ物に気付いてマンションに立ち寄った。
 管理人室の前を通りかかった時…花蓮おばさんがなにやら夢中になって読んでいる姿が見えた…。
ノエルが見ているのに気付いたおばさんは部屋の中から手招きした。

 「花蓮さん…朝から何を真剣に読んでるの…? 」

ノエルが可笑しそうに訊いた…。

 「昨日…孫に借りたのよ…。 帰ってくるまでに返そうと思ってさ…。
私の名前が載ってるって言うもんだからね…。 」

おばさんは本を差し出した。

花木桂の…少女小説じゃん…。
前に…紫苑さんが挿絵描いたやつだ…。

 「いいこと…教えてあげようか…? これに出てくる花蓮ちゃんはさ…。
紫苑さんが…花蓮さんの若い頃を想像して描いたんだよ…。 」

えぇ~っ…そうなのぉ…!

花蓮おばさんは嬉しそうに挿絵の花蓮ちゃんを見た。

 「そうねぇ…多少…面影あるかもねぇ…。
きゃぁ…なんか嬉しいわぁ…。 」

 少女のように華やいで花蓮おばさんは笑った…。
身体の方は…僕がモデルだったんだけどね…とノエルは笑顔の下でこっそりと呟いた。 
 
 ただいまぁ…と声をかけたが返事はなく…部屋はしんと静まりかえっていた…。
出かけた様子はないが…音もしない…。

ふたりとも居るはずなんだけど…まだ寝てるのかな…。

居間に置き忘れた免許証をポケットに突っ込んでから…ノエルは寝室の方へと向かった。

 ベッドの上に…眠っているというよりは折り重なるようにして倒れているふたり…を朝とは思えないほど強い光が包み込んでいた…。

 「来てたの…? この間は空間壁を護ってくれて有難うね…。 」

光に向かってノエルは語りかけた。

 「でも…珍しいじゃない…? 滝川先生が居るのに…姿を見せるなんて…。 」

まるで笑っているかのように光は揺らめいた…。

 『どうせ…眠っているのだから…居ても居なくても同じだ…。 』

それは…そうだけど…。
これまでなら…無関係な者の同席を嫌って…すぐに帰ってしまったのに…。

 『ふたりとも眠っていて貰った方が都合がいいので…眠らせた。
まさに起きようとしていたところを…申し訳ないとは思ったのだが…。
我が子の中に居る滅のエナジーの状態を知りたかったものでな…。 』

わざわざ…? それも…自分の一部なんでしょう…?
そのままで…分からないの…?

 『私の一部ではあるが…よく調べないと分からないこともある…。
化身は自分の髪の…その中の一本の状態を…見もしないで把握できるかな…? 』

 あっ…それは無理だ…。 分かんないや…。
エナジーも同じことだ…と太極は言った…。

 『我が子の中の滅のエナジーは再び眠りについたようだ…。 
何事もなければ…もうしばらくは…おとなしくしているだろう…。 

 運が良ければ…我が子がこの世に在る内は…目覚めぬかもしれない…。
その後は…可愛い実が引き継いでいくことになるが…。 』

吾蘭たちの中にも…あの魔物が…?
ノエルは不安げな顔で光を見つめた…。

 『滅のエナジーは…裁きの一族の血の証でもある…。 
我が子の中におまえの産んだ新しいエナジーが入った時に…その力がさらに増強されただけのことだ…。 
当然…その実にも受け継がれる…。 』

 滅亡の危機はいつでも身近にある…。
そう心に留めておくがいい…。

 「ねぇ…先生の眼を治せない…? あなたはすべてのエナジーの頂点でしょ?
そのせいで紫苑さん…めちゃくちゃへこんじゃってるんだ…。 」

ノエルはそう頼んでみた…。

 『化身…この男の眼が治る運命のものなら…何れは治る…。 
我々は…この小宇宙を司るエナジー…生み出し…維持し…滅ぼす…それだけの存在…。
お前たちが考えているような理想的な…神…ではないのだ…。 』

困ったものだ…と太極が苦笑した…ような気がした…。
ノエルは素直に頷いた…。

 「ごめんね…ついつい…甘えちゃって…。 
あなたがいつも…紫苑さんや僕を…助けてくれるから…。
これでも…感謝してるんだよ…。 」

まあ…できることがあるかどうか…考えてはおくが…。
あまり…期待しないでくれ…。

 そう言い残して…ふたりを包み込んでいた光は少しずつ消えていった…。
残された淡い朝の光だけが…今まさに目覚めようとしているふたりを柔らかく照らしていた…。





 
次回へ

どぶ(dove)ねずみ退治…?

2007-01-27 15:28:00 | 生き物
 先日…鳩と猫の話を書いたが…今日は現場を目撃してしまった。
朝…庭の方で鳥が異常な鳴き声を出しているのを耳にして…急いで覗いてみたら…猫がヒヨか何か小鳥を捕まえたとこだった…。

なるほど…おまえはこの庭に来る鳥を狙って狩っていたんだな…。

 猫はこちらを気にしながらも鳥を放さない…。
邪魔されちゃかなわんとでも思ったのか…やがて生きたまま銜えて…何処かへ運んでいった。

 短期間に…二羽か…なかなか狩りの上手いやつだ…。
猫には縄張りがあるから…この前の鳩もこの猫が獲ったんだろうけれど…野良猫も食べる気がないのに狩りをすることが分かった。

 親猫が子猫に狩りの訓練をさせる時には…食べる目的じゃなくても獲物を捕るが…この猫は子猫を連れてはいなかった。
 
狩るための…狩りか…。


 狩りと言えるかどうか…分からないが…三番目の家に居た時…家の中に出没する子ネズミを捕まえるのがdoveの役目だった。

どうして捕まえなきゃいけないのかって…?
それはね…ネズミが害獣だから…。
病気を媒介する存在だったからだよ…。

 ネズミが出る家…なんて最近では滅多にないんだろうな…。
突然…ネズミが現れたら…今の子はなんて反応するんだろう…。

キャー怖い…だろうか…?
それとも…アラ可愛い…だろうか…?

doveが子供の頃は…女性はネズミが嫌い…って固定観念があって…TVアニメなんかでもネズミが出ると女性が悲鳴を上げるシーンがよくあった。

 今の時代…ネズミ…と言うと…可愛いハツカネズミとかペットショップの砂ネズミを思い浮かべる人が多いかもしれない…。

 けれども…その頃家に出てきたネズミは25センチ前後の灰色の大きなドブネズミやクマネズミ…可愛いっちゃぁ可愛いけど…怖いっちゃぁ怖い代物…。
何しろ…すごい歯を持っている。
壁に穴を開けちゃうくらいだからね…。

 米や野菜やその他の食品を荒らし回り…糞をしていく…。
この糞が伝染病の病原菌の媒介になるのでネズミは駆除すべき害獣だったのだ。
食料の乏しい時代には人間の赤ん坊も齧られたりしたらしいが、doveたちの代ではもっぱら食料品だった。

 何処の家庭にも金属性のネズミ捕り籠がひとつは在ってネズミを捕まえていた。
ネズミは繁殖力が強いので、放っておくとあっという間にどっと増える。
常に退治していないと埒のあかない動物だ。

 賢い動物で…なかなかネズミ捕りに引っ掛かることはなく…むしろ毒餌の散布の方がよく効いた。

 さて…それでも大きなネズミはたまにはネズミ捕りで捕れるのだが…子ネズミとなるとそういうわけにはいかない。

 ネズミ捕りの金属と金属の隙間を潜り抜け…中の餌だけを食べる…。
こうなると逆に餌を与えて育てているようなもの…。
そんな小さなネズミでも噛む時は噛むので要注意…何しろ人間にとっては黴菌の塊なのだ。

 doveの役目は…そんな子ネズミを捕まえること…だった。
別にそういう役目だと決まっていたわけじゃないんだが…doveの他にネズミを捕まえられる人が居なかったからだ…。

 子ネズミは部屋の真ん中を突っ切るようなことはしない。
物陰や壁際…ガス台…調理台…流し台…沿いに逃げていく…。
doveの家ではガス台の下辺りにゴミ箱が置いてあったので…子ネズミは必ず…調理台とゴミ箱の間を潜り抜けて行った。

 その頃はdoveもまだ10代でお子ちゃま…子ネズミを見ると…なんだかうずうずと捕まえたくなり…追っかける。

 方法は簡単…。
子ネズミが逃げて…ゴミ箱の陰を抜ける先に小さめの紙袋(ハンバーガーを詰めてくれるような細長い袋)を広げておき…追い詰めるだけ…。

 たったこれだけのことなんだが…何故か…我が家でdove以外の人が成功した例はない。
引っ越すまでに少なくとも10匹は捕まえたろうか…。

 捕まえるとその袋の口を閉めて…親父が叩きつけて殺す。
doveとしては…いい気はしないが…ネズミ退治は住民の健康を守るための義務のようなものだった…。

 今ではほとんどの地域で毒餌による一斉駆除が行われるので…家の中ではあまり姿を見かけなくなったが…未だに道路で轢かれているのをみると…しぶとく繁殖しているのだろう…。

 子供が小さい時に一度30センチ近いネズミが風呂場に出たことがある。
外付けのガス釜の隙間から侵入したらしい。
周辺を金網で囲ったら…それきり家の中では見かけることがなくなった。

 昔…ネズミ捕りは家猫の仕事だった…。
ペットとして可愛がられるようになった猫は仕事を忘れて…ネズミを獲らなくなったらしい。

 doveは覚えていないが…最初の家では祖母が猫を飼っていて…猫の殺したネズミの死骸が家の中に転がっているので…ネズミ嫌いのオカンはその後始末をしながらいつも気味悪く思っていたそうだ。

 doveが捕まえる分には…親父が後を片付けてくれるので…オカンは全然ネズミを見ないで済む…。
親父も手間かけなくて済む…。
何しろ紙袋ごと捨てられる…。 万々歳…。

 doveの方は…狩猟本能で動いていたわけで…ネズミ退治をしようと思ってしていたわけではないのだが結果としてネズミはあまり出なくなった…。

この子…ネズミ捕りがすごく上手なんだわ…。
ネズミの話が出るといつもオカンが語る…。

猫より役に立つで…。


…複雑である…。



ちょっと…Hなマグカップ…。

2007-01-26 17:18:00 | ひとりごと
 これ…貰っちゃった…と子供が喜んで帰ってきた。
骸骨模様のマグカップ…誕生日のプレゼントに友だちがくれたのだそうだ…。
近くのファンシーショップで売っているという…。

 ふたり組みの骸骨が…まるでダンスでもしているようにいろんな姿で市松模様の上に書かれてある…。

 日頃…ドクロもののアクセサリーを集めている子供はとても嬉しそうにそれを見せた…。

 良かったね…といいながらカップをよくよく見て…思わず噴出した…。
何と…骸骨さんたちはお楽しみの真っ最中…。
ダンスなどではなかった…。

突然…けらけら笑いだしたdoveの顔を見て…何事かと思った子供は訝しげな顔…。

 「これさ…Hの体位なんだけど…その子…知っててくれたの? 」

体位…何…それ…?

 「Hの時のあの手この手…いろんなやり方が描いてあるんだ…。 」

え~っ…そうなんだ…ぎゃはは…きっと彼女…気付いてないよぉ…。
子供は大笑いした…。

Hの…かぁ…何とかの四十八手とか言うやつ…?

 「いや…四十八手あるかどうかは知らないよ…。
誰から聞いたんだよ…そんな話…?
 まっ…こいつの正体が分かっててプレゼントするならいいけどさ…。
知らずに贈ったりすると…相手によっちゃ面倒くさいことになるかも…な。 」

きゃはは…うちでよかったじゃん…。
doveさんスケベだもんね…。 

 「おい…誰がスケベや…。 doveはちゃんと医学的に話しとるだけじゃ…。
そんなもんあれこれ隠しとったら…おまえら変な興味持つやんか…。
doveに分かることで正しい知識を教えてやっとるんだ…有り難く思え…。 」

分かった分かった…きゃははは…。


 まったくもう…!
別に…スケベ心で機会あるたびに…こういう話を聞かせてるんじゃないぞ…。

 時代が時代だから…お前たちがいつか直面するかも知れない問題に…できる限りきちんと正しい対処ができるように…そう考えてのことさ…。

 興味本位の雑誌や漫画なんかで得たいい加減な知識は何の役にも立たない…。
だから…他の親から見れば…そこまで言うか…と思われるようなことでも話しちゃったりするんだろ…。

 お前たちの未来にある新しい生命に対する責任を…お前たちの親として伝えておかなければならないんだ…。

少しは真面目に聞かんかい…!


 翌日…マグカップの贈り主にその話をしたらしい…。
やっぱり気付いてなかったので…お礼がてら…私は気に入ったけど他の人にはこのプレゼントは避けた方がいいよ…と伝えたそうだ…。

 うん…それでいいんじゃない…。
カップとしては面白いんだから…。

あっ…doveさん…気に入ってんでしょう…このカップ…?

気に入ってるよ…。

やっぱ…スケベじゃん!


・・・・・・・・・。



運を天に任せたら…?

2007-01-25 11:54:17 | ひとりごと
 この前…おまじないについて書いた時に…履物を夜に下ろしてはいけない…おろすときは爪先に唾をつける…というを載せておいたんだけど…。

 よくよく…思い出してみると…履物につけるのは竃の墨…所謂…煤だったような気がするんだ…。
荒神さん(竃の神さま)の御守りだから…。

 唾をつけるのは祖母がやっていたことなんだけれど…その頃にはすでに竃の時代ではなくてガスの時代だったから…竃の墨がなかったんだ…。
その代用なのか…祖母の郷での習慣だったのかは定かじゃないけどね…。

 同じように新しい着物を夜おろすものではない…というのもあるんだけど…こちらには融通を利かせる方法がない…。
 
 今夜…デートなんで買ったばかりのを来て行きたいんだけどぉ~…という人はどうしたらいいんだろう…。
昔はともかく…今では当たり前に居るよね…そういう人…。
まさか服に煤をつけるわけにもいかないしなぁ…。

 ふふふ…今時…そんな面倒なこと考える人は居ないか…。
香水…は魔除けになるらしいから…相手に嫌われないよう…ほのかに香る程度につけて行ったらいいよ…。
乗り物ん中でおぇ~っと来るほどプンプン匂わせるのはやめてな…。

 うんうん…勿論…メンズの香水だってあるんだから…男だって構わんと思うけど…な。
さらっとした爽快感のある香りでどうぞ…。
 整髪料とごっちゃになるような使い方せんといてね…。
いかにもおっさんくさい…くど~い香りのは…魔除けどころか女除けにもなっちゃうよ…。

そんじゃ頑張ってね~。

…って何の話だ…?



 受験シーズンに入ったんで…学問の神さまは大忙しだろうね。
ほんとはdoveも行って来なきゃ行けないんだ…。
子供たちが受験なんで…。 

 この前…義理の母が合格祈願の御守りを買ってきてくれたんだけど…その上に祈願しちゃってもいいものなんだろうか…?
神さま同士が喧嘩するからいかん…という人も居るし…同じ神社なら神さまも同じだから…いいのかなぁ…?

 まぁ…どんなに偉い神さまにお頼み申し上げ奉ったところで…本人が遊んどっちゃどうしようもないわな…。
人事を尽くして天命を待つ…のであって…苦しい時の神頼み…だけじゃ叶わんわ。

そうは思うんだけど…やっぱり…受からせてやりたいのが親心…。

 ラストスパートじゃ…頑張って勉強しぃ…。
やるだけやって…後は運を天に任せたらいいんや…。

なんもやらんで受かろうったって…罰が当たるだけやんか…。

神さまだって下地のない者はどうしようもないんやで…。
ちょっとは努力せぇ…!

聞いてんのか…?


溜息…。




 

朝も早よから…ハックション!

2007-01-24 12:50:50 | ひとりごと
 気温が高いせいかどうか分からないが…すでに花粉が飛んでいるようで…今朝は起きしなからくしゃみの連続…。
ティッシュが放せない…。

 鼻の下はすでに…真っ赤っか…。
涙目でしょぼしょぼ…うるうる…。
ただでさえ面白い顔が…さらに面白いことになっている…。

呼吸困難だから…だらしなくパカ~ッと口を開けっ放しで…お~っと…さらにくしゃみを連発…。

見ようによっては…怖い…かもしれない…。

出かける日でなくて幸いだぁ…。

くしゃみって…眼を開けてられないんだよね…。
ハックションッ!…ってやった瞬間に眼を閉じちゃってるわけ…。

運転してる最中は怖いよ…。
前の車にドカンと行きそうで不安…。

 オカンの鼻炎対処方法で鼻から水を吸って出すってのがあるんだけど…それはどうもやってみる気がおきない…。
だって…めちゃめちゃ痛そうじゃない…。

プールで鼻に水が入った時を想像すると…それを故意にやれ…と言われても…二の足踏むなぁ…。
オカンにはまあまあ効いたそうだから…勇気のある方はお試しあれ…。


 毎年のこととは言え…鬱陶しい…。
今年はなんだか早いような気がするけれど…どうなんだろう…?
暖冬だからかなぁ…。

でも…まあ…雪に埋もれたスキー場でも…鼻炎が起きる時は起きるから…やっぱり気のせいかな…?

 この町へ来るまでは花粉症なんて全然起きなかった…。
その頃はまだ森のある丘陵地帯だった実家の周りには…鼻炎の原因と言われている花粉を持つ草などがいっぱいあったが…何ともなかった。

 花粉そのものより花粉に大気中の汚染物質がくっつくことにより悪い影響が出るのだと聞いたことがある…。
それがほんとなら…杉を伐採するよりも…早々に大気を清浄化して欲しいな…。

あ~ぁ…鼻炎の薬は気管が乾燥し過ぎて喉に来るので…くしゃみ鼻水用の風邪薬を飲んでみたけど…あまり効かないなぁ…。

今日はぼ~っとして…頭も働かない…。
別の話を載せようと思ってたんだけどね…。

えっ…?
頭が働かないのは毎度のことだ…?

あははは…よくご存知で…その通りでございます…。