それから後はどこと言って変わりなくノエルはいつものノエルだった。
書店の年上の女性客に人気のいかにも護ってあげたいタイプの男の子…。
てめぇらぁ…なんて火吹いて啖呵切るような人種だったとは俄かには信じ難い。
けれど…以前にも感じたことだが、ある程度力のある亮にさえチェーンを渡して護ってくれた西沢も、極めて慎重な滝川も、ノエルには敢えてそうした備えをしてやったりしないところを見ると、そういうものを必要としないノエルの強さに気付いているのかもしれない。
今日は亮の方が早番なので先に店を出た。
買い物を済ませると一旦自宅に戻り…冷凍庫に入れておいた昨日の残り…紫苑のためのホットケーキを取り出した。
それを西沢の分の買い物と一緒に袋へ入れると西沢のところへ急いだ。
西沢は仕事部屋に居るようだった。
レンジでケーキを温め、輝の買い置きの紅茶と一緒に仕事部屋へ運んだ。
「ただいま…西沢さん。 」
亮が部屋に入っていくと西沢はそれまで描いていた手を休めて振り返った。
「お帰り…いい匂いだと思ったらホットケーキか…久しぶりだな…。 」
亮は作品から離れたところにある小さなテーブルの上にお盆を置いた。
「昨夜…父さんが初めて焼いてくれたんだ…ふたりしか居ないのに三人分…。
冷凍しておいたから少し味は落ちてるかもしれない…。 」
西沢は少し表情を強張らせて…そう…と頷いた。
テーブルの傍まで来るとそっとフォークを手にしてホットケーキを切り取った。
ひと口食べた…。
亮が何も言わなくてもこれを焼いた時の有の気持ちが伝わってきた…。
悔しいなぁ…という有の声までが生で聞こえてくるようだった。
「美味しいよ…。 父さんに有難うと伝えておいて…。 」
西沢は亮の顔を見ることなく黙って食べ続けた。
時折…少し洟を啜っているのが亮にも分かった。
「内緒で持ってきたんだ…父さんは兄さんが食べてくれてるとは思ってない。
西沢家の手前…そんなことしちゃいけないと思っているから…。
僕の独断…どうしても食べてもらいたかったんだ…父さんの気持ち…。 」
兄…さん…か…。
西沢は聞かなかった振りをした。 聞き間違いだと悲しいから…。
西沢にそのまま仕事を続けさせておいて亮は夕飯の仕度にキッチンへと戻った。
あまり使われた形跡のない流し台…また仕事に夢中で昼飯抜いたな…と思った。
簡単な惣菜が大方出来上がって盛り付けを始めた頃、時間でもないのにふらっとノエルが帰ってきた。
「何…どうしたの…えらく早いじゃないか…? 」
どっか調子でも悪いのか…? 亮は心配そうに訊いた。
「店長とこのお祖父ちゃんが転んで怪我したんだって…今夜は早めに店閉めるからって帰されたんだ。
お祖父ちゃん元気だけどもう九十近いらしいから心配なんだって。
亮…明日何かお見舞いのもの買おうか? 」
そうだな…と亮は相槌を打った。
挨拶ついでに西沢さんを呼んできてよ…とノエルに頼んだ。
ノエルは仕事部屋のドアを開けてただいま…ご飯だよ…と連続で声を掛けた。
西沢が早かったね…などと言いながら出てくると、亮に話したことを繰り返した。
三人が席に着くや否や亮の携帯がけたたましく鳴った。
直行からだった。
『亮! 高木ノエル…あいつとんでもないやつだぞ…。
城前中学の高木と言えばちょっと突っ張りが入ってる連中の間じゃ有名人。
四年前までこのあたりの中学校のワル連中を総なめにしていたやつで、卒業と同時に親の転勤で他の土地へ引っ越して行ったらしいんだ。
最近になって戻ってきてるという噂はあったんだが、まさかあのノエルがそうだとは思わなかった。
城前出身の同期生も居るのに…有名なわりには誰も顔を覚えてないもんで…。 』
亮が返事をする前にノエルがひょいと携帯を奪った。
何すんだよ…と亮が怒った。
ノエルは平然と携帯に話しかけた。
「直行…その話は俺がする。 おまえは黙ってろ。
うわさで物を言うんじゃねえ! 」
勝手に携帯を切って亮に渡した。
おいおい…切んなよ…。
クスクスッと西沢が笑った。
「亮くん…飯にしよう…。 冷めてしまうよ…。 」
西沢に促されてノエルと亮は席に着いた。
「ノエルがめちゃ喧嘩強いの…西沢さん気付いてた? 」
亮が西沢に訊ねた。西沢は愉快そうに笑みを浮かべたまま軽く頷いた。
まあね…僕も滝川も結構暴れてたから…ピンときたんで…。
「ノエルの手…ちょっと見…女の子みたいで綺麗だけどさ…。
人差し指と中指の付け根の関節…結構太いんだよね。
格闘技やってるやつか…そうじゃなければ拳に物言わせてるやつの手なんだよ。」
な…っと西沢はノエルに声を掛けた。
ノエルはいつもの顔でにこっと笑った。
「でも高校からはわりとおとなしくしてたよ。 問題なしに良い子さ…。
事故にあって身体のことが分かって…もう暴れる気も失せちまったから…。 」
少なからず口惜しげにノエルは言った。
身体のことがなければもっと暴れてやったのに…とでも言いたげに…。
まあ…本人の気持ちはどうあれ…そのことがノエルをワル系からフツー系に軌道修正させたわけだから…世間にとってはその方が幸いだったんじゃないかなぁ…などと亮は秘かに思った。
いつもより少し早めの帰り道…ノエルはいつも通り亮についてきた。
滝川先生がいないのに今夜はマンションに泊まらないの…?と亮は訊いた。
紫苑さんひとりでも大丈夫そうだし…仕事の邪魔しちゃ悪いもん…。
屈託ない笑顔でそう言った。
嫌いな一般科目の予習にうんざりしてテキストを放り出し、亮の部屋のクッションの海で子どもみたいにぷかぷか遊んでいる姿からは、ワル五人をやっつけたあのノエルの強さを思い浮かべることはできなかった。
「亮…これ触るとなんか背中ゾクゾクってこない? わ~きた…気色わる~。
でも…なんか癖になりそ~。 」
サンドビーズのクッションを三つも抱えてひとりで騒いでいる。
本を読んでいる亮が生返事をしても気にならないようだ。
それにも飽きるとようよう亮のベッドに潜り込んだ。
しばらく亮の隣でじっと天井を見つめていたが、誰に言うともなしにぽつりぽつり話し始めた。
「喧嘩はよくしたけど…自分から売ったことはない…。
みんな向こうから仕掛けてくるんだ。
弱いやつを苛めたこともないし…ちゃんと学校の行事とかはマジメに手伝った。
掃除とか授業とかは…まあ時々サボったけど…。
物心ついた時には親父と格闘してた。
男は強く逞しくあれ…ってのが親父の考え方なんで、僕が歩き始めると同時に鍛え出したらしい…。
僕に負けたもんで親に泣きついたやつがいて家に怒鳴り込まれたこともあるけど、親父は僕には何にも言わなかった。
そいつはそれ以降みんなに総すかん食らってたけど…。
期待してたんだ親父…その分…こんな身体だと分かって…心底失望したんだろ。
僕にだってどうしようもないことなんだけどね…。 」
亮は本を閉じるとノエルの方に向き直った。
「臓器をとってしまえば…いいのかもしれない。
紫苑さんや滝川先生は…僕がどうしても手術を受けたいと思うなら別だけど…そうじゃなきゃその必要は無いって言うんだ。
ひと口に手術でとるって言っても…そんな簡単なものじゃないって…。
身体全体にどう影響するかも分からないんだから慎重に考えなさいってね…。 」
西沢さんや滝川先生の言うとおりだ…と亮も思った。
ノエルの場合は未成熟なだけで子宮も卵巣もちゃんと備わっている。
生きているこれらの臓器をとってしまって身体に何の影響もないと誰が断言できるだろう。
「ほんとにあかちゃんなんかできちゃったら…親父…眼ぇ剥いて腰抜かすだろうな…。 」
ちょっと見てみたい気がする…ノエルは愉快そうに声を上げて笑った。
亮がそっとノエルのお腹に手を触れた。
「できちゃってるかも知れないじゃない…西沢さんのあかちゃん…。 」
少しばかり意地悪く言った。
「それは…ない。 紫苑さん…あれで意外と堅物…。
僕を遊ばせてくれたけれど…紫苑さんはほとんど遊んでない…楽しんでない…。
優しい人だけど…残酷…愛してないって言われたのと同じ…。
女だったら絶対恨むよ。
まあ…僕は文句はないけど…そんな程度でも結構面白かったから…。 」
どんな程度か知らないけど…まあまあよかったんだろうその様子じゃ…。
亮はもう笑うしかなかった。
ノエルには二股かけてるなんて意識はまるっきりないし、どうやら好き嫌いの感情より遊び心と好奇心の方が勝っているようだ。
西沢さんも僕も後腐れない相手だから適当に行ったり来たりで十分楽しめるってわけで…こいつの場合…意図してやってるんじゃないところが怖い…。
勿論…好きだって気持ちは嘘じゃなかろうけど…。
やっぱ…とんでもないやつかも知れん…別の意味で…。
昼間久しぶりに暴れたせいか…それとも亮の温もりのせいか…ノエルはいつの間にかうつらうつら寝の世界に入っていた。
その邪気のない横顔を見つめながら亮もゆっくりと眠りに落ちた。
遠くで雷鳴が響いていた…。
次回へ
書店の年上の女性客に人気のいかにも護ってあげたいタイプの男の子…。
てめぇらぁ…なんて火吹いて啖呵切るような人種だったとは俄かには信じ難い。
けれど…以前にも感じたことだが、ある程度力のある亮にさえチェーンを渡して護ってくれた西沢も、極めて慎重な滝川も、ノエルには敢えてそうした備えをしてやったりしないところを見ると、そういうものを必要としないノエルの強さに気付いているのかもしれない。
今日は亮の方が早番なので先に店を出た。
買い物を済ませると一旦自宅に戻り…冷凍庫に入れておいた昨日の残り…紫苑のためのホットケーキを取り出した。
それを西沢の分の買い物と一緒に袋へ入れると西沢のところへ急いだ。
西沢は仕事部屋に居るようだった。
レンジでケーキを温め、輝の買い置きの紅茶と一緒に仕事部屋へ運んだ。
「ただいま…西沢さん。 」
亮が部屋に入っていくと西沢はそれまで描いていた手を休めて振り返った。
「お帰り…いい匂いだと思ったらホットケーキか…久しぶりだな…。 」
亮は作品から離れたところにある小さなテーブルの上にお盆を置いた。
「昨夜…父さんが初めて焼いてくれたんだ…ふたりしか居ないのに三人分…。
冷凍しておいたから少し味は落ちてるかもしれない…。 」
西沢は少し表情を強張らせて…そう…と頷いた。
テーブルの傍まで来るとそっとフォークを手にしてホットケーキを切り取った。
ひと口食べた…。
亮が何も言わなくてもこれを焼いた時の有の気持ちが伝わってきた…。
悔しいなぁ…という有の声までが生で聞こえてくるようだった。
「美味しいよ…。 父さんに有難うと伝えておいて…。 」
西沢は亮の顔を見ることなく黙って食べ続けた。
時折…少し洟を啜っているのが亮にも分かった。
「内緒で持ってきたんだ…父さんは兄さんが食べてくれてるとは思ってない。
西沢家の手前…そんなことしちゃいけないと思っているから…。
僕の独断…どうしても食べてもらいたかったんだ…父さんの気持ち…。 」
兄…さん…か…。
西沢は聞かなかった振りをした。 聞き間違いだと悲しいから…。
西沢にそのまま仕事を続けさせておいて亮は夕飯の仕度にキッチンへと戻った。
あまり使われた形跡のない流し台…また仕事に夢中で昼飯抜いたな…と思った。
簡単な惣菜が大方出来上がって盛り付けを始めた頃、時間でもないのにふらっとノエルが帰ってきた。
「何…どうしたの…えらく早いじゃないか…? 」
どっか調子でも悪いのか…? 亮は心配そうに訊いた。
「店長とこのお祖父ちゃんが転んで怪我したんだって…今夜は早めに店閉めるからって帰されたんだ。
お祖父ちゃん元気だけどもう九十近いらしいから心配なんだって。
亮…明日何かお見舞いのもの買おうか? 」
そうだな…と亮は相槌を打った。
挨拶ついでに西沢さんを呼んできてよ…とノエルに頼んだ。
ノエルは仕事部屋のドアを開けてただいま…ご飯だよ…と連続で声を掛けた。
西沢が早かったね…などと言いながら出てくると、亮に話したことを繰り返した。
三人が席に着くや否や亮の携帯がけたたましく鳴った。
直行からだった。
『亮! 高木ノエル…あいつとんでもないやつだぞ…。
城前中学の高木と言えばちょっと突っ張りが入ってる連中の間じゃ有名人。
四年前までこのあたりの中学校のワル連中を総なめにしていたやつで、卒業と同時に親の転勤で他の土地へ引っ越して行ったらしいんだ。
最近になって戻ってきてるという噂はあったんだが、まさかあのノエルがそうだとは思わなかった。
城前出身の同期生も居るのに…有名なわりには誰も顔を覚えてないもんで…。 』
亮が返事をする前にノエルがひょいと携帯を奪った。
何すんだよ…と亮が怒った。
ノエルは平然と携帯に話しかけた。
「直行…その話は俺がする。 おまえは黙ってろ。
うわさで物を言うんじゃねえ! 」
勝手に携帯を切って亮に渡した。
おいおい…切んなよ…。
クスクスッと西沢が笑った。
「亮くん…飯にしよう…。 冷めてしまうよ…。 」
西沢に促されてノエルと亮は席に着いた。
「ノエルがめちゃ喧嘩強いの…西沢さん気付いてた? 」
亮が西沢に訊ねた。西沢は愉快そうに笑みを浮かべたまま軽く頷いた。
まあね…僕も滝川も結構暴れてたから…ピンときたんで…。
「ノエルの手…ちょっと見…女の子みたいで綺麗だけどさ…。
人差し指と中指の付け根の関節…結構太いんだよね。
格闘技やってるやつか…そうじゃなければ拳に物言わせてるやつの手なんだよ。」
な…っと西沢はノエルに声を掛けた。
ノエルはいつもの顔でにこっと笑った。
「でも高校からはわりとおとなしくしてたよ。 問題なしに良い子さ…。
事故にあって身体のことが分かって…もう暴れる気も失せちまったから…。 」
少なからず口惜しげにノエルは言った。
身体のことがなければもっと暴れてやったのに…とでも言いたげに…。
まあ…本人の気持ちはどうあれ…そのことがノエルをワル系からフツー系に軌道修正させたわけだから…世間にとってはその方が幸いだったんじゃないかなぁ…などと亮は秘かに思った。
いつもより少し早めの帰り道…ノエルはいつも通り亮についてきた。
滝川先生がいないのに今夜はマンションに泊まらないの…?と亮は訊いた。
紫苑さんひとりでも大丈夫そうだし…仕事の邪魔しちゃ悪いもん…。
屈託ない笑顔でそう言った。
嫌いな一般科目の予習にうんざりしてテキストを放り出し、亮の部屋のクッションの海で子どもみたいにぷかぷか遊んでいる姿からは、ワル五人をやっつけたあのノエルの強さを思い浮かべることはできなかった。
「亮…これ触るとなんか背中ゾクゾクってこない? わ~きた…気色わる~。
でも…なんか癖になりそ~。 」
サンドビーズのクッションを三つも抱えてひとりで騒いでいる。
本を読んでいる亮が生返事をしても気にならないようだ。
それにも飽きるとようよう亮のベッドに潜り込んだ。
しばらく亮の隣でじっと天井を見つめていたが、誰に言うともなしにぽつりぽつり話し始めた。
「喧嘩はよくしたけど…自分から売ったことはない…。
みんな向こうから仕掛けてくるんだ。
弱いやつを苛めたこともないし…ちゃんと学校の行事とかはマジメに手伝った。
掃除とか授業とかは…まあ時々サボったけど…。
物心ついた時には親父と格闘してた。
男は強く逞しくあれ…ってのが親父の考え方なんで、僕が歩き始めると同時に鍛え出したらしい…。
僕に負けたもんで親に泣きついたやつがいて家に怒鳴り込まれたこともあるけど、親父は僕には何にも言わなかった。
そいつはそれ以降みんなに総すかん食らってたけど…。
期待してたんだ親父…その分…こんな身体だと分かって…心底失望したんだろ。
僕にだってどうしようもないことなんだけどね…。 」
亮は本を閉じるとノエルの方に向き直った。
「臓器をとってしまえば…いいのかもしれない。
紫苑さんや滝川先生は…僕がどうしても手術を受けたいと思うなら別だけど…そうじゃなきゃその必要は無いって言うんだ。
ひと口に手術でとるって言っても…そんな簡単なものじゃないって…。
身体全体にどう影響するかも分からないんだから慎重に考えなさいってね…。 」
西沢さんや滝川先生の言うとおりだ…と亮も思った。
ノエルの場合は未成熟なだけで子宮も卵巣もちゃんと備わっている。
生きているこれらの臓器をとってしまって身体に何の影響もないと誰が断言できるだろう。
「ほんとにあかちゃんなんかできちゃったら…親父…眼ぇ剥いて腰抜かすだろうな…。 」
ちょっと見てみたい気がする…ノエルは愉快そうに声を上げて笑った。
亮がそっとノエルのお腹に手を触れた。
「できちゃってるかも知れないじゃない…西沢さんのあかちゃん…。 」
少しばかり意地悪く言った。
「それは…ない。 紫苑さん…あれで意外と堅物…。
僕を遊ばせてくれたけれど…紫苑さんはほとんど遊んでない…楽しんでない…。
優しい人だけど…残酷…愛してないって言われたのと同じ…。
女だったら絶対恨むよ。
まあ…僕は文句はないけど…そんな程度でも結構面白かったから…。 」
どんな程度か知らないけど…まあまあよかったんだろうその様子じゃ…。
亮はもう笑うしかなかった。
ノエルには二股かけてるなんて意識はまるっきりないし、どうやら好き嫌いの感情より遊び心と好奇心の方が勝っているようだ。
西沢さんも僕も後腐れない相手だから適当に行ったり来たりで十分楽しめるってわけで…こいつの場合…意図してやってるんじゃないところが怖い…。
勿論…好きだって気持ちは嘘じゃなかろうけど…。
やっぱ…とんでもないやつかも知れん…別の意味で…。
昼間久しぶりに暴れたせいか…それとも亮の温もりのせいか…ノエルはいつの間にかうつらうつら寝の世界に入っていた。
その邪気のない横顔を見つめながら亮もゆっくりと眠りに落ちた。
遠くで雷鳴が響いていた…。
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