ブルックナー:交響曲第7番大阪フィルハーモニー交響楽団 朝比奈隆ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
「鐘」、と言っても、ハチャトゥリアンの2番ではない。
ブルックナーが生前身を置き、そして死後も遺体が安置されている、
リンツの聖フロリアン教会。
その文字通り聖地における、1975年のライヴ録音。
第2楽章が終わった静寂の中で、教会の鐘の音がかすかに聞こえる。
14時(だっけか)を告げる鐘。
ボリュームを上げないと聞き逃しそうな微音だ。
朝比奈さんは、その鐘が鳴り止むまで指揮棒を挙げず、30秒ほど待つ。
そしてやおら第3楽章を開始する。
楽章間に刻の鐘なんて、演出しようとしても絶対不可能だ。
ありふれた言葉で言うと、まさに神の恩寵。嗚呼在り触れている!
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演奏自体は、素人の自分が聴いても荒さが目に付く。
それに、ライヴ特有の「物音」もあることはある。
演奏会用のホールじゃないから、響きが独特。
金管やティンパニがかなりマイルド。
でもたぶん、そういう部分だけで語るべき演奏ではないんだろう。
耳に留まったのは、第1楽章の最後。
普段聴いているジュリーニ盤に比べると、
テンポが全然遅い。解析具合も全然違う。よい悪いじゃなくて。
とにかく、全然違う曲に聴こえる。
ノヴァーク版とハース版の違い、っていう問題だけではないと思う。
荘厳さなら第8番、絶頂感なら第5番、野趣なら第6番。
…そして、ブルックナーの美しさなら、第7番に違いない。
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過去記事
《ブルックナー 交響曲第7番より(ピアノ版)》
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