ブルックナー「交響曲第7番ホ長調 『鐘』」

2006年01月27日 21時58分54秒 | 巻七 ブルックナーが私に語ること
ブルックナー:交響曲第7番
大阪フィルハーモニー交響楽団 朝比奈隆
ビクターエンタテインメント

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「鐘」、と言っても、ハチャトゥリアンの2番ではない。

ブルックナーが生前身を置き、そして死後も遺体が安置されている、
リンツの聖フロリアン教会。
その文字通り聖地における、1975年のライヴ録音。

第2楽章が終わった静寂の中で、教会の鐘の音がかすかに聞こえる。
14時(だっけか)を告げる鐘。
ボリュームを上げないと聞き逃しそうな微音だ。
朝比奈さんは、その鐘が鳴り止むまで指揮棒を挙げず、30秒ほど待つ。
そしてやおら第3楽章を開始する。

楽章間に刻の鐘なんて、演出しようとしても絶対不可能だ。
ありふれた言葉で言うと、まさに神の恩寵。嗚呼在り触れている!

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演奏自体は、素人の自分が聴いても荒さが目に付く。
それに、ライヴ特有の「物音」もあることはある。
演奏会用のホールじゃないから、響きが独特。
金管やティンパニがかなりマイルド。
でもたぶん、そういう部分だけで語るべき演奏ではないんだろう。

耳に留まったのは、第1楽章の最後。
普段聴いているジュリーニ盤に比べると、
テンポが全然遅い。解析具合も全然違う。よい悪いじゃなくて。
とにかく、全然違う曲に聴こえる。
ノヴァーク版とハース版の違い、っていう問題だけではないと思う。

荘厳さなら第8番、絶頂感なら第5番、野趣なら第6番。
…そして、ブルックナーの美しさなら、第7番に違いない。


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過去記事
《ブルックナー 交響曲第7番より(ピアノ版)》
《ブルックナー「交響曲第5番」》
《ブルックナー「交響曲第4番 ロマンティック」》
《ブルックナー「交響曲第6番」》
《ブルックナー5番を、「観る」。》
《クナッパーツブッシュの5番「改竄版?改訂版?」》

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