【雲南地域】森林・林業のお知らせ

(島根県東部農林水産振興センター雲南事務所 林業部が伝える情報ブログ)

現場力を鍛える

2016年09月14日 | その他

「目標林型」とは、わかりやすく言うとその森林の目指す姿もしくはあるべき姿。森林の持つ様々な機能のうち、その森林に期待する機能や効果を目的として設定します。とくに木材生産機能を重視する人工林では必要不可欠。生産目標に合わせ、樹種、収穫する木材の大きさ(直径等)、収穫量(本数、材積)、収穫時期(最終的に伐採する時期)を決め、目標林型に到達するよう森林施業を実施していきます。そもそも木を植える時には、当然これらを考慮して植えていますが、木が育っていくには長い年月を要するもの。思いも寄らない気象害が発生したり、木の成長が悪かったり、適期に施業が行われなかったりすると、設定していた目標林型に到達するのに当初想定していたより長い期間を要したり、場合によっては到達困難な林況になっていることもあり得ます。むしろ、間伐が遅れている森林が多い中で、順調に目標林型に向かっている森林は少ないというのがホントのところではないでしょうか。こういった状況を踏まえ、今そこにある森林に対して林地の生産力や樹木の成長状態、手入れの状況など様々な要素を把握し、科学的知見に基づき将来予測を立てた上で目標林型を定め、それに導くために施業を実施していかなければなりません。今回の研修は、【講義】、【現地研修】、【グループ討議】の3本立てで 実施され、「目標林型と森林施業」について学びました。

【講義】

目標林型の概論や森林施業、それを設定する上で考慮すべき項目(苗木、林業機械、獣害対策など)について講義を受けました(講師:岐阜県立森林文化アカデミー教授 横井秀一氏ほか)。

【現地研修】

筑波山(茨城県石岡市)にある国有林に森林総合研究所が複層林試験地を設定しています。約36haの試験地は、ほぼ全域にわたりヒノキ-ヒノキの複層林となっていますが、上木の残し方が点状、群状、帯状など様々です。下木の成長は上木の密度と配置によって大きく影響を受けており、上木を点状で伐採しその間に下木を植栽した試験区では下木の成長がかなり抑えられていました。一方、上木を群状あるいは帯状に伐採し、そこに植栽し一定の面で管理している試験区では下木の成長も良好でした。

【グループ討議】

研修生が4班に分かれ、異なる条件の元に設定された架空の町有林における目標林型の設定と、それに向けた森林施業方法を提案しました(1班の町有林に対して、2班が目標林型を示し施業方法を提案している様子)。

 今回の研修は、8/22(月)~26(金)まで開催され各県の林業関係職員と国有林職員合わせて19名が参加しました。台風9号の上陸と重なり、大変な思いをした参加者もいましたが、それぞれの地域の実情など情報交換しながら有意義な研修となりました。研修を通して一番印象に残ったのは、講義中に言われた「林業普及員は現場力を鍛えなさい」という言葉。良い山も悪い山も含めて、とにかくたくさんの山を観察し想像することが目標林型を考える第一歩だということ。漠然と「間伐が必要だな。」と思うだけでなく、その山の将来像(目標林型)を思い描き、間伐の時期や回数、伐り方、伐る量などをイメージするよう心がけたいと思います。


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