代ゼミ、センター試験の自己採点集計も中止へ
読売新聞 8月24日(日)8時44分配信
全国の拠点の大幅な閉鎖方針を打ち出した大手予備校
「代々木ゼミナール」(本部・東京都渋谷区)が全国
模擬試験を来年度から廃止することが23日、わかった。
来年1月の大学入試センター試験の自己採点結果集計・
分析は実施しない。模試の分析データは受験生や高校の
進路指導などでも参考にされており、影響は大きい。
代ゼミ広報企画室によると、全国27校のうち、来年
3月末で閉鎖するのは、仙台や横浜、京都、熊本など
20校。本部校と、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡
の各校、造形学校(東京)の計7校に集約するという。
4月以降は、「センター試験プレテスト」や「国公立
2次・私大全国総合模試」などの全国模試を廃止。
大学入試センター試験の自己採点結果を集計・分析し、
志望大学の合格判定などを示す「センターリサーチ」
は2013年度、全国で約42万人が参加したが、と
りやめる。「東大入試プレ」など個別大学志願者向け
模試は、存続の方向で検討している。
代ゼミ27校中20校閉鎖へ、希望退職者募る
スポーツ報知 8月24日(日)7時4分配信
大手予備校の代々木ゼミナールは23日、全国27校の
7割超に当たる20校を、来春にも閉鎖する方針を明ら
かにした。少子化による受験生減少などが背景とみられる。
代ゼミによると、閉鎖の対象は、仙台、大宮(埼玉県)、
横浜、京都、神戸、小倉(福岡県)、熊本など。20日、
講師らに理事長の方針が伝えられた。今後、講師陣と交渉
して残る7校に来春から出向させる予定。職員には希望
退職者を募るが、対象や人数は明らかにしていない。
閉鎖する20校では来春以降の生徒募集をせず授業を打ち
切り、所属する高校1、2年の塾生にはグループの進学塾
を勧めていく。東京の本部校と造形学校(芸術系)、札幌、
新潟、名古屋、大阪南、福岡の各校を残す。
代ゼミは1957年に創立。駿台予備学校、河合塾と並び
「3大予備校」といわれた。学校法人高宮学園(東京都渋谷区)
が運営し、全国17都道府県の大都市に校舎を展開して
いる。代ゼミの広報担当者は「少子化だけが原因ではなく、
コンパクトな拠点を増やし、生徒が通いやすくなることを
目指す」と話した。生徒や保護者には、9月以降に順次説明
していくとしている。
代ゼミ、20校閉鎖 浪人生減で全国7校に
2014/8/23 11:04 日本経済新聞
大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する学校法人高宮
学園(東京・渋谷)は全国27カ所の校舎を7カ所に減らす
方針を固めた。20カ所では2015年度以降の生徒募集をやめ
て休校し、事実上閉鎖する。施設の活用法は未定という。
代ゼミは大学受験の浪人生を主な対象に運営してきたが、
少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化し
ていた。
代ゼミとして存続させる校舎は(1)本部校代ゼミタワー
(2)札幌校(3)新潟校(4)名古屋校(5)大阪南校(6)福岡校
(7)造形学校(東京・渋谷)――の見通し。
代ゼミとしての授業を打ち切る20カ所に通う高校1、2年生
にはグループの進学塾を紹介する。休校の時期など詳細は
校舎ごとに調整する。講師には「事業展開の最適化を図る」
などとする理事長名の文書で概要を通知した。近く生徒や
保護者、高校関係者らにも正式に説明するとみられる。
高宮学園は15年3月まで職員に対し希望退職を募集する。
規模は100人前後になるもようだ。
1957年に開校した代ゼミは駿台予備学校、河合塾と並び
「三大予備校」と評され、私立文系を目指す浪人生を中
心に生徒を獲得してきた。近年は国立回帰や現役志向の
高まりが逆風になっており、10年には中学受験塾
「SAPIX」の運営会社を買収し、浪人生に依存した
事業モデルからの脱却を図っている。
現役生の大学受験が主な対象の「東進ハイスクール」を運
営するナガセでは、14年3月期の売上高が前の期比6%増
の約400億円だった。
教育業界では少子化を背景にここ数年、ナガセが四谷大塚
を買収し、ベネッセホールディングスが東京個別指導学院
を子会社化するなど、再編が加速している。今後もリスト
ラや合従連衡といった動きが続きそうだ。
・・・
すでに「大学全入時代」が到来していますが、さすがに
どこでも良い、どこの大学でも入学出来れば良いなどという
学生は少ないでしょう。
大学側はユニークな学部、今の現役学生が興味を抱く講義
科目等を増やして生き残りをかけた学校運営を行っています
が、この辺りはまだまだ「出来るだけ偏差値が高い大学」
「難易度が高く知名度の高い大学」へ学生は流れている傾向
があります。
「大学に行きやすくなった」
まさにそんな時代が来て数年経ちましたが、唯一知名度の
高い大学に新興大学や創立から十数年の大学が打ち勝ってい
る分野と言えば、
医療系の学部ではないでしょうか。
薬学部を筆頭に、福祉系でも看護師、理学療法士、作業療法
士等の受験資格が得られる学部を持つ大学の偏差値、難易度
は創立40年,50年という大学の文系学部よりもレベル
が高くなっています。
やはり「ただ学びたいことを学んで卒業する」
では無くなっていますね。
「高い学費を出してまで大学に行くのであれば、○○の仕事
に就ける技(技能)が身につき、またその分野で働くために
必須の資格が取れる大学へ行こう」という
「職業観」そして、大学卒業後の「職業と人生」を考えての
大学選びが進んでいます。
それは、「大学を選びやすくなった」というだけではなく、
現役学生の親の世代が「学生当時、どこでもいいので大学へ
進学したかったが、どの大学も高倍率で入学できなかった」
という経験と、その流れで社会に出て、「特段これといった
技(技能)を持たずに社会を生きていく中で大変苦労して
きた」という経験値から、息子や娘が進学する際には、
「今は大学に行こうと思えば誰でも行けるのだから、その中
でも『手に職』が付く勉強ができる大学へ行きなさい」
という考え方の親が多く、そこで、その親の考えが子供の人生
観を作り上げて「職業に結び付く勉強ができる大学へ行こう」
と考えるようになってきているようです。
「職業観」「職業と人生」
これを中学・高校から、より具体的に考えるようになった今、
学生自身にとっては、とても良いことだと思います。
・・・
「パイロット」「宇宙飛行士」「警察官」「消防士」「サッカー選手」
「野球選手」etc
いつも子供の将来の職業の上位に来る夢のお仕事ですが、
誰でもなれるわけではありません。
また、現実の社会では、もっと無数に「職業」があります。
それは、小学生、中学生では実感できるものではありません。
やはり、TV程度で職業観を抱くのが限界だと思います。
そこから、自分は・・・私は・・・と色々な情報を聞き、
もう少し具体的で現実味のある職業選びへと思考が移り変わ
っていくわけですが、その中で親から「食っていける職業」
や「こんな仕事はキツい」等を聞き、また子供自身も話を聞
く中で、知らない間に「この仕事はこういう感じだ」と掴み
高校・大学の進学の際には、その見聞きした中での職業を選択
しています。
高校生くらいになると、自分自身の適正も自ら考えて、
最終的には「この仕事、この分野の学びをしたい」という
思いもより具体的になってきます。
・・・
20年前でしたら、コンピューター関連の仕事がしたい。
プログラム等を学んでソフトが作れる能力を身につけて、
その技術で働いていきたい等と思うと「専門学校」という選択
肢がありました。
今でも専門学校も多数ありますが、大きな変化としては
「大学が専門学校化してきた」点です。
昔は、専門特化した実学の学びは、専門学校のカリキュラム
のほうが大学よりも充実していました。
今は、大学が生き残りのために専門学校の実学教育を取り入れ
て「大学卒業と同時に専門の資格も取れる(受験資格が得られる)」
「大卒の卒業資格が取れる」等、専門学校卒ではなく、大卒と
なって、そして大学では専門学校のように実学を学べますよ、
という売りを作って大学が専門学校への進学希望者を刈り取っ
ている状況です。
ですので、専門学校は大学に入学希望の生徒を取られている
というのが教育ビジネスの現状ですね。
少子化の中「少ない牌の取り合い」
現役学生、浪人生も含め、18歳から22歳までの年齢層の
中での学生の取り合い。これには限界がありますよね。
大学も専門学校も「当時は進学出来なかったが、今は社会に出て
働いてお金にも余裕が持てるようになった『社会人』」を
ターゲットに社会人学生を集めています。
しかし、「一旦、社会人を止めて、昼間の学生になる」という
のはリスクが伴います。
日本での就職・転職には「年齢の壁」という非常に高い壁
があるからです。
ですので、人生リセット、人生再スタートをするのであれ
ば、20代、遅くとも30代前半までに完結しなければ
なりません。
・・・
振り返って見ますと、「いつ」「出来るだけ早い時期に」
しっかりとした職業観を持てた人は、安定した職業人生を
送っている人が多いです。
大学も専門学校化しているように、早い時期に「何をしたいか」
そして自分は「何ならできるのか(何ができるか)」を
意識づけしなければいけない時代となっています。
ですので、昔とは違い、「良い大学へ行けば何とかなった」
時代ではありません。
・・・
少子化と大学乱立、そして今後ますます厳しくなる就職への道
に対しては、「技能が身につく」「実社会で使える技」が
習得できる大学へと進路の方向性が変わってくることと思います。
一部の超有名な大学、名門大学、国立大学は依然として、学生
からの人気は続くと思われますが、残りの大多数の大学、数百校
からなる大学は、知名度等でどの大学がよいなどと言われる時代
は過ぎ去るでしょうね。
・・・
このような時代が進んでいる象徴が、大学進学・受験予備校の
衰退でしょう。
<追記2014.8.28>
校舎大幅削減の代々木ゼミナールから見える
予備校業界の実情とは
THE PAGE 8月28日(木)18時0分配信
3大予備校の一つ代々木ゼミナールが校舎の7割を閉鎖し、セン
ターリサーチや多くの模擬試験を廃止すると伝えられている。
バブル時代には多くの浪人生を集め、講師にも巨額の報酬を支
払っていた日本一の予備校がなぜ多くの校舎を閉鎖することに
なったのか。
読み間違えた少子化と大学増加の波
代ゼミは90年代初頭の私大バブル期に全盛期をむかえた予備校
だ。
代々木ゼミナールの広報企画部によると、校舎を減らしたのは
「18歳人口が増えたのに合わせて全国展開してきたが、減った
ところでそれに合わせた校舎運営ができなくなったため」だと
説明した。校舎を削減することで全国サービスを受験生に提供
できなくなり、模試やセンターリサーチの廃止を決定したのだ
という。
代ゼミの強みは、浪人生に対する優れた講義の提供だ。しかし、
それが仇となった。「浪人生の減少が代ゼミのみならず予備校
業界全体の不振につながっている。代ゼミは先代の経営者が浪
人にこだわり出遅れてしまった」と指摘するのは大学入試に詳
しい大学通信の安田賢治氏だ。
安田氏によると、1992年に40万人程度いた浪人生が、現在では
5万人に減ってしまった。「少子化と大学の増加などが原因で、
浪人する必要がなくなってしまった」というわけだ。現役志向
に対応できなかったのが代ゼミのつまずきの原因の一つであり、
代ゼミ側も「確かに現役志向の高まりと少子化に伴う浪人生の
減少は響いている」と外部環境の影響を認めている。
安田氏は加えて「代ゼミは、理系・国公立人気に伴い『私大文系』
イメージのある代ゼミは選ばれなくなってしまった。親や教師
に国公立や理系コースもあることがなかなか伝わらなかった」
と過去のイメージが現在の衰退を招いたと指摘した。
オンデマンド配信で急成長する東進
変化する外部環境に代ゼミの対応が遅れていたのに対し、現役生
を対象にした事業を早くから行っていたのは、東進ハイスクール
をはじめ、駿台予備学校や河合塾といった大手予備校だ。特に東
進ハイスクールは授業のオンデマンド配信に力を入れている。
河合塾や駿台予備学校はライブ講義中心だが、東進ハイスクール
は映像授業を現役生向けのオンデマンドによる個別配信で急成長
している。同校は「様々なメディアから急成長の理由を聞かれる
が、自分たちで言うのもどうかと思う」とコメントを避けている
ものの、現在の予備校業界では、講義をオンデマンド配信したり、
ライブ講義を実施したりするビジネスが中心になっていることは
違いないだろう。
河合塾や駿台予備学校もライブ講義を中心に据えた予備校が合格
実績をあげており、この2校は最近になっても校舎を増やし、現
役生への対策もぬかりない。また河合塾は子会社で映像配信の現
役予備校も展開している。
確かに、代ゼミも有名講師の講義を衛星中継で受講するという印
象を多くの人は持っている。しかし、
代ゼミの映像授業は学生が予備校に殺到してさばききれなかった
時代の名残だ。人気講師を全国に出講させきれなかった時代の
ソリューションとして衛星中継で授業を配信した。これに対して
東進はほとんど対面授業をやっていないという違いがある。
読売新聞 8月24日(日)8時44分配信
全国の拠点の大幅な閉鎖方針を打ち出した大手予備校
「代々木ゼミナール」(本部・東京都渋谷区)が全国
模擬試験を来年度から廃止することが23日、わかった。
来年1月の大学入試センター試験の自己採点結果集計・
分析は実施しない。模試の分析データは受験生や高校の
進路指導などでも参考にされており、影響は大きい。
代ゼミ広報企画室によると、全国27校のうち、来年
3月末で閉鎖するのは、仙台や横浜、京都、熊本など
20校。本部校と、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡
の各校、造形学校(東京)の計7校に集約するという。
4月以降は、「センター試験プレテスト」や「国公立
2次・私大全国総合模試」などの全国模試を廃止。
大学入試センター試験の自己採点結果を集計・分析し、
志望大学の合格判定などを示す「センターリサーチ」
は2013年度、全国で約42万人が参加したが、と
りやめる。「東大入試プレ」など個別大学志願者向け
模試は、存続の方向で検討している。
代ゼミ27校中20校閉鎖へ、希望退職者募る
スポーツ報知 8月24日(日)7時4分配信
大手予備校の代々木ゼミナールは23日、全国27校の
7割超に当たる20校を、来春にも閉鎖する方針を明ら
かにした。少子化による受験生減少などが背景とみられる。
代ゼミによると、閉鎖の対象は、仙台、大宮(埼玉県)、
横浜、京都、神戸、小倉(福岡県)、熊本など。20日、
講師らに理事長の方針が伝えられた。今後、講師陣と交渉
して残る7校に来春から出向させる予定。職員には希望
退職者を募るが、対象や人数は明らかにしていない。
閉鎖する20校では来春以降の生徒募集をせず授業を打ち
切り、所属する高校1、2年の塾生にはグループの進学塾
を勧めていく。東京の本部校と造形学校(芸術系)、札幌、
新潟、名古屋、大阪南、福岡の各校を残す。
代ゼミは1957年に創立。駿台予備学校、河合塾と並び
「3大予備校」といわれた。学校法人高宮学園(東京都渋谷区)
が運営し、全国17都道府県の大都市に校舎を展開して
いる。代ゼミの広報担当者は「少子化だけが原因ではなく、
コンパクトな拠点を増やし、生徒が通いやすくなることを
目指す」と話した。生徒や保護者には、9月以降に順次説明
していくとしている。
代ゼミ、20校閉鎖 浪人生減で全国7校に
2014/8/23 11:04 日本経済新聞
大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する学校法人高宮
学園(東京・渋谷)は全国27カ所の校舎を7カ所に減らす
方針を固めた。20カ所では2015年度以降の生徒募集をやめ
て休校し、事実上閉鎖する。施設の活用法は未定という。
代ゼミは大学受験の浪人生を主な対象に運営してきたが、
少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化し
ていた。
代ゼミとして存続させる校舎は(1)本部校代ゼミタワー
(2)札幌校(3)新潟校(4)名古屋校(5)大阪南校(6)福岡校
(7)造形学校(東京・渋谷)――の見通し。
代ゼミとしての授業を打ち切る20カ所に通う高校1、2年生
にはグループの進学塾を紹介する。休校の時期など詳細は
校舎ごとに調整する。講師には「事業展開の最適化を図る」
などとする理事長名の文書で概要を通知した。近く生徒や
保護者、高校関係者らにも正式に説明するとみられる。
高宮学園は15年3月まで職員に対し希望退職を募集する。
規模は100人前後になるもようだ。
1957年に開校した代ゼミは駿台予備学校、河合塾と並び
「三大予備校」と評され、私立文系を目指す浪人生を中
心に生徒を獲得してきた。近年は国立回帰や現役志向の
高まりが逆風になっており、10年には中学受験塾
「SAPIX」の運営会社を買収し、浪人生に依存した
事業モデルからの脱却を図っている。
現役生の大学受験が主な対象の「東進ハイスクール」を運
営するナガセでは、14年3月期の売上高が前の期比6%増
の約400億円だった。
教育業界では少子化を背景にここ数年、ナガセが四谷大塚
を買収し、ベネッセホールディングスが東京個別指導学院
を子会社化するなど、再編が加速している。今後もリスト
ラや合従連衡といった動きが続きそうだ。
・・・
すでに「大学全入時代」が到来していますが、さすがに
どこでも良い、どこの大学でも入学出来れば良いなどという
学生は少ないでしょう。
大学側はユニークな学部、今の現役学生が興味を抱く講義
科目等を増やして生き残りをかけた学校運営を行っています
が、この辺りはまだまだ「出来るだけ偏差値が高い大学」
「難易度が高く知名度の高い大学」へ学生は流れている傾向
があります。
「大学に行きやすくなった」
まさにそんな時代が来て数年経ちましたが、唯一知名度の
高い大学に新興大学や創立から十数年の大学が打ち勝ってい
る分野と言えば、
医療系の学部ではないでしょうか。
薬学部を筆頭に、福祉系でも看護師、理学療法士、作業療法
士等の受験資格が得られる学部を持つ大学の偏差値、難易度
は創立40年,50年という大学の文系学部よりもレベル
が高くなっています。
やはり「ただ学びたいことを学んで卒業する」
では無くなっていますね。
「高い学費を出してまで大学に行くのであれば、○○の仕事
に就ける技(技能)が身につき、またその分野で働くために
必須の資格が取れる大学へ行こう」という
「職業観」そして、大学卒業後の「職業と人生」を考えての
大学選びが進んでいます。
それは、「大学を選びやすくなった」というだけではなく、
現役学生の親の世代が「学生当時、どこでもいいので大学へ
進学したかったが、どの大学も高倍率で入学できなかった」
という経験と、その流れで社会に出て、「特段これといった
技(技能)を持たずに社会を生きていく中で大変苦労して
きた」という経験値から、息子や娘が進学する際には、
「今は大学に行こうと思えば誰でも行けるのだから、その中
でも『手に職』が付く勉強ができる大学へ行きなさい」
という考え方の親が多く、そこで、その親の考えが子供の人生
観を作り上げて「職業に結び付く勉強ができる大学へ行こう」
と考えるようになってきているようです。
「職業観」「職業と人生」
これを中学・高校から、より具体的に考えるようになった今、
学生自身にとっては、とても良いことだと思います。
・・・
「パイロット」「宇宙飛行士」「警察官」「消防士」「サッカー選手」
「野球選手」etc
いつも子供の将来の職業の上位に来る夢のお仕事ですが、
誰でもなれるわけではありません。
また、現実の社会では、もっと無数に「職業」があります。
それは、小学生、中学生では実感できるものではありません。
やはり、TV程度で職業観を抱くのが限界だと思います。
そこから、自分は・・・私は・・・と色々な情報を聞き、
もう少し具体的で現実味のある職業選びへと思考が移り変わ
っていくわけですが、その中で親から「食っていける職業」
や「こんな仕事はキツい」等を聞き、また子供自身も話を聞
く中で、知らない間に「この仕事はこういう感じだ」と掴み
高校・大学の進学の際には、その見聞きした中での職業を選択
しています。
高校生くらいになると、自分自身の適正も自ら考えて、
最終的には「この仕事、この分野の学びをしたい」という
思いもより具体的になってきます。
・・・
20年前でしたら、コンピューター関連の仕事がしたい。
プログラム等を学んでソフトが作れる能力を身につけて、
その技術で働いていきたい等と思うと「専門学校」という選択
肢がありました。
今でも専門学校も多数ありますが、大きな変化としては
「大学が専門学校化してきた」点です。
昔は、専門特化した実学の学びは、専門学校のカリキュラム
のほうが大学よりも充実していました。
今は、大学が生き残りのために専門学校の実学教育を取り入れ
て「大学卒業と同時に専門の資格も取れる(受験資格が得られる)」
「大卒の卒業資格が取れる」等、専門学校卒ではなく、大卒と
なって、そして大学では専門学校のように実学を学べますよ、
という売りを作って大学が専門学校への進学希望者を刈り取っ
ている状況です。
ですので、専門学校は大学に入学希望の生徒を取られている
というのが教育ビジネスの現状ですね。
少子化の中「少ない牌の取り合い」
現役学生、浪人生も含め、18歳から22歳までの年齢層の
中での学生の取り合い。これには限界がありますよね。
大学も専門学校も「当時は進学出来なかったが、今は社会に出て
働いてお金にも余裕が持てるようになった『社会人』」を
ターゲットに社会人学生を集めています。
しかし、「一旦、社会人を止めて、昼間の学生になる」という
のはリスクが伴います。
日本での就職・転職には「年齢の壁」という非常に高い壁
があるからです。
ですので、人生リセット、人生再スタートをするのであれ
ば、20代、遅くとも30代前半までに完結しなければ
なりません。
・・・
振り返って見ますと、「いつ」「出来るだけ早い時期に」
しっかりとした職業観を持てた人は、安定した職業人生を
送っている人が多いです。
大学も専門学校化しているように、早い時期に「何をしたいか」
そして自分は「何ならできるのか(何ができるか)」を
意識づけしなければいけない時代となっています。
ですので、昔とは違い、「良い大学へ行けば何とかなった」
時代ではありません。
・・・
少子化と大学乱立、そして今後ますます厳しくなる就職への道
に対しては、「技能が身につく」「実社会で使える技」が
習得できる大学へと進路の方向性が変わってくることと思います。
一部の超有名な大学、名門大学、国立大学は依然として、学生
からの人気は続くと思われますが、残りの大多数の大学、数百校
からなる大学は、知名度等でどの大学がよいなどと言われる時代
は過ぎ去るでしょうね。
・・・
このような時代が進んでいる象徴が、大学進学・受験予備校の
衰退でしょう。
<追記2014.8.28>
校舎大幅削減の代々木ゼミナールから見える
予備校業界の実情とは
THE PAGE 8月28日(木)18時0分配信
3大予備校の一つ代々木ゼミナールが校舎の7割を閉鎖し、セン
ターリサーチや多くの模擬試験を廃止すると伝えられている。
バブル時代には多くの浪人生を集め、講師にも巨額の報酬を支
払っていた日本一の予備校がなぜ多くの校舎を閉鎖することに
なったのか。
読み間違えた少子化と大学増加の波
代ゼミは90年代初頭の私大バブル期に全盛期をむかえた予備校
だ。
代々木ゼミナールの広報企画部によると、校舎を減らしたのは
「18歳人口が増えたのに合わせて全国展開してきたが、減った
ところでそれに合わせた校舎運営ができなくなったため」だと
説明した。校舎を削減することで全国サービスを受験生に提供
できなくなり、模試やセンターリサーチの廃止を決定したのだ
という。
代ゼミの強みは、浪人生に対する優れた講義の提供だ。しかし、
それが仇となった。「浪人生の減少が代ゼミのみならず予備校
業界全体の不振につながっている。代ゼミは先代の経営者が浪
人にこだわり出遅れてしまった」と指摘するのは大学入試に詳
しい大学通信の安田賢治氏だ。
安田氏によると、1992年に40万人程度いた浪人生が、現在では
5万人に減ってしまった。「少子化と大学の増加などが原因で、
浪人する必要がなくなってしまった」というわけだ。現役志向
に対応できなかったのが代ゼミのつまずきの原因の一つであり、
代ゼミ側も「確かに現役志向の高まりと少子化に伴う浪人生の
減少は響いている」と外部環境の影響を認めている。
安田氏は加えて「代ゼミは、理系・国公立人気に伴い『私大文系』
イメージのある代ゼミは選ばれなくなってしまった。親や教師
に国公立や理系コースもあることがなかなか伝わらなかった」
と過去のイメージが現在の衰退を招いたと指摘した。
オンデマンド配信で急成長する東進
変化する外部環境に代ゼミの対応が遅れていたのに対し、現役生
を対象にした事業を早くから行っていたのは、東進ハイスクール
をはじめ、駿台予備学校や河合塾といった大手予備校だ。特に東
進ハイスクールは授業のオンデマンド配信に力を入れている。
河合塾や駿台予備学校はライブ講義中心だが、東進ハイスクール
は映像授業を現役生向けのオンデマンドによる個別配信で急成長
している。同校は「様々なメディアから急成長の理由を聞かれる
が、自分たちで言うのもどうかと思う」とコメントを避けている
ものの、現在の予備校業界では、講義をオンデマンド配信したり、
ライブ講義を実施したりするビジネスが中心になっていることは
違いないだろう。
河合塾や駿台予備学校もライブ講義を中心に据えた予備校が合格
実績をあげており、この2校は最近になっても校舎を増やし、現
役生への対策もぬかりない。また河合塾は子会社で映像配信の現
役予備校も展開している。
確かに、代ゼミも有名講師の講義を衛星中継で受講するという印
象を多くの人は持っている。しかし、
代ゼミの映像授業は学生が予備校に殺到してさばききれなかった
時代の名残だ。人気講師を全国に出講させきれなかった時代の
ソリューションとして衛星中継で授業を配信した。これに対して
東進はほとんど対面授業をやっていないという違いがある。
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