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金聖響*チャイコフスキー*東京フィル

2006-03-12 17:11:35 | きく
2006.03.11(土)15:00開演
文京シビックセンター

シャブリエ:狂詩曲『スペイン』
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 

チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調

金聖響 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

戸田弥生ヴァイオリン

・・・・・・

開演直前二度目の拍手が起こる中、
しまった!
席選びに失敗したことを悟りました。
拍手の中、登場された指揮者の金聖響氏の姿がなんとも美しい。
でも、本日わたしの席は、最後列から数列目。
お姿拝見したいみーはー魂が、ここからでは、無理。
このホールはなんとなく落ち着きますが、
それでもやはり、音もやや遠い。
4番は2楽章が好きですが、
クラシックはポップだよ、とおっしゃる
金聖響氏の言葉が彷彿とする本日の第4楽章でした。
今日のこのチャイコフスキーはもう一度、聴きたいです。

三島由紀夫の『音楽』という小説は、
音楽が聴こえない女性の再生の物語ですが、
音楽が聴こえない、
というのは、もはや心は瀕死の状態なのでしょう。
瀬戸際の悲しさを感じます。

夢見ぬ心

2006-03-12 16:32:57 | よむ
北村薫はアンドラージの『集団』という詩を引いて、そこに登場するリリーという一人の女性を語っています。

「リリーは、きっと恐ろしく、ものの見えている女性なのでしょう。理想というものの、もろさ、あるいは極論するなら、うさん臭さを知っている。だから孤独なのです。リリーは、その認識によって、すでに生きながら《自殺し》ているのでしょう。」


夢見る心の強さにも憧れますが、夢見ぬ心の荒涼も愛しいものです。

それにしても、
淡々と事実だけをならべているかのようなアンドラージの詩から、このようにリリーの精神を描き出す北村薫さんに畏敬の念を覚えます。

『詩歌の待ち伏せ Ⅰ』(北村薫著・文春文庫)