私が、以前スキージャンプチームのトレーナーをしていた為か、オリンピックの成績について最近良く聞かれる事が多いです。
「どうしてメダルを取れないの?」とか「どうして弱くなったの」が一番多い質問です。
正直答えに困ります。(関係者として)
言える事は、今の日本の競技レベルがそんなに高くないという事です。どの競技でもワールドカップ等の成績をみればよくわかると思います。スキージャンプに例えると、長野オリンピック前後のワールドカップでは、常に誰かが表彰台にのっていましたし、6位以内はほとんどはずしていなかったはずです。
原因は沢山考えられますが、予算が少なくなっている事やジュニア対策が遅れている事などが主たる事だと考えられます。
ですから、現時点では、入賞する事でも十分頑張ったといえるのではないかと思います。
ただ、オリンピックという事で、マスコミが必要以上に騒いでしまいます。一昨年のアテネオリンピックでの日本チームの活躍があったため、過剰な期待をしてしまうのも事実です。メダルがいらないとはいいませんが、メダルだけではないのがスポーツの世界です。
もし本当にメダルを沢山取らなければならないのであれば、スポーツは国策として行なわなければならなくなります。(今の日本の現状を考えるのであれば)。
自分の100%の力を出す為には、120%のレベルがなければベストパフォーマンスがでないというのが、オリンピックだと考えています。その20%の上乗せができればメダルも可能だと思います。それは、運(様々な条件)や限界まで挑戦する勇気ではないかと思います。
今回の男子滑降で優勝したアントワヌ ドヌリアズ(フランス)は、フランス国内でも名前すら上がらなかった選手でした。スタート順は30番目。普通であれば優勝は考えられません。ですが、結果は優勝。その後のインタビューで転ばなかったのが信じられないと言っています。そこには、前年のワールドカップに比べて、コースが難しくなっている事などにより有力な選手があまり攻めていないという状況判断や、一発にかける勇気があったのではないかと思います。
今日は、ラージヒル個人が行なわれます。日本選手にも十分にチャンスはあると思います。選手が晴れの舞台でベストパフォーマンスを出せる事を期待して観たいと思います。