東京教区同朋社会推進ネットワークの活動です。
昨年までは、福島県いわき市好間応急仮設集会所で新年最初に「新年会」を開催しておりましたが、仮設住宅から復興公営住宅への転居に伴い、今年はいわき市内で応急仮設に住まわれていた方との交流会を行いました。
24日は、交流会前に復興公営住宅に住むNさんのお宅にお邪魔しました。そこには、毎年新年会にも来てくれていたH君が住んでいます。同朋ネットの皆さんは、小さいころからH君と交流があり、みなさん口を揃えて「大きくなったなあ…、そりゃ、こっちも歳をとるわけだな…」とおっしゃっていました(笑)
印象的であったのは、H君が自分の家族に「なんでこっち(復興公営住宅)に引っ越したの?むこう(仮設住宅)の方がよかったのに!勝手だなあ。」と言っていたことでした。H君は現在小学校5年。震災から8年を迎えようとしている今、人生の半分以上の時間を仮設住宅で過ごし、地域の方々に囲まれてすくすくと成長しました。仮設住宅は、そんな彼にとっては「仮」の住まいではなく、「家」だったのです。復興公営住宅はもちろん新築できれいですし、仮設住宅に比べると広くて、家族だけの空間も保つことができます。しかし、ご家族も話されていましたが、近隣の住民がどこに住んでいるということも分かってはいるが、顔を合わせる機会がほとんどなくなってしまったとのこと。また、集会所に来てくださるボランティアの方々も、その回数は少なくなりました。H君はそんな状況の中で寂しさを感じているようでした。
その後、いわき市内の居酒屋で行われた交流会でも、参加された好間応急仮設に住まわれていた方から、いろいろなお話を聞くことができました。「仮設住宅があった場所の方が、買い物する場所や学校も近くて生活しやすかった」「近隣の方と会う機会が本当に減ってしまい寂しい」など様々。新しい住居で生活は落ち着いても、7年という長い時間を過ごした仮設住宅でも思い出がたくさんでき、思い入れも強くなっていたことも事実です。
そんな言葉がたくさん出た交流会の終盤、参加者から「これからも、みんなが集まって交流できる場を皆さんには続けていただきたいと思います」という要望が出ました。東京教区同朋社会推進ネットワークでは、これまで活動をしてきた仮設住宅の解消にあたって、新たな入居先を任意でお知らせいただけるよう住民の方に「つながるハガキ」をお配りしてきました。今回の交流会もそのハガキでつながった方が大勢います。引き続き、たくさんの方に「つながるハガキ」を配布していくとともに、皆さんとの交流を絶やさず続けていけるように今後の計画を考えていきたいということでありました。
復興という言葉を聞けば、それは間違いなく進んでいくことが望まれるとも思いますが、被災された方の気持ちを置き去りにした復興は、果たして本当の復興となるのでしょうか。本当の復興を成し遂げるためには、その置き去りにされた気持ちを大切にケアしていく事が求められているのではないでしょうか。
まだ、終わっていません。これからが復興に向けた大事な時間になります。
復興支援のこれからの形を皆で真剣に考えていくことが必要です。
※同朋ネットのみなさんは、翌日25日は好間応急仮設跡地や転居先の団地などを視察され、帰られました。ありがとうございました。