-極良食味の新品種-食味を追求した秋田米の最上位品種
「コシヒカリを超える極良食味品種」をコンセプトに、食味に徹底的にこだわって開発されました。 その優れた食味と存在感で秋田米の牽引役となることが期待されています。-食味の特徴-お米一粒一粒のおいしさを感じられる
- 白さとツヤが際立つ外観
- 粒感のあるふっくらとした食感
- 上品な香り、かむほどに広がる深い甘み
-栽培特性-あきたこまち並の収量を実現し、栽培上の弱点も克服
「あきたこまち」との栽培特性比較
品種・系統名 | 出穂期 (月/日) | 成熟期 (月/日) | 収量 (kg/a) | 玄米千粒重 (g) | 玄米品質 | いもち 耐病性 | 高温登熟 耐性 | 耐倒伏性 | 耐冷性 |
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サキホコレ | 8/6 | 9/21 | 58.1 | 21.9 | 1.8 | 強~中 | やや強 | やや弱 | やや強 |
あきたこまち | 7/31 | 9/12 | 58.8 | 21.9 | 2.1 | 中~やや弱 | 中 | やや弱 | 中 |
-開発ストーリー-“日本人の心に響くおいしさ”を求めて
開発経緯
平成26年度に「秋田米新品種開発事業」がスタート
開発コンセプト
食味を徹底的に追求
交配
挑戦の種
新品種の開発事業は、平成22年に交配され、事業開始時点では4世代目となっていた800の系統の中から、良食味の系統を選抜していく作業からスタートしました。 秋系821(サキホコレ)の交配では、父親に、大粒・良食味で、交配母本としての評価も高かった県オリジナル品種の「つぶぞろい」を、母親には、愛知県が育成した良食味で、いもち病にも極めて強い「中部132号」を採用しています。 県農業試験場では、子となる品種が秋田の冷涼な気候に適応するよう、東北地域内の品種同士を掛け合わせることが一般的でした。しかし、それでは大幅な食味の向上は望めないと考えた開発担当者は、栽培特性上のリスクはあったとしても、あえて他の地域で育成された良食味系統の「中部132号」を掛け合わせることを選択したのです。交配イメージ
試験栽培イメージ
選抜
日本人の心に響くおいしさを求めて
県農業試験場では、「コシヒカリ」を外観・香り・味などの食味で上回ることを目標に、毎年800サンプルもの食味分析を5年間にわたり繰り返しました。 同時に、外部の専門機関やお米マイスターによる食味への客観的な評価も踏まえながら、安定的に高い食味を達成できる系統を選ぶことに力を注ぎました。 「コシヒカリ」の背中を追う一方で、開発担当者の心には、30年以上にわたり県民に愛され、全国において高い評価を得てきた「あきたこまち」の食味を明らかに超えなければ、秋田では認めてもらうことはできないという思いがありました。 日本で最も食され、”おいしいお米”のひとつの指標である「コシヒカリ」。そして「コシヒカリ」を親に持ち、バランスが良く、優れた食味で、全国の食卓に欠かせないお米となった「あきたこまち」。 この2大品種と正面から向き合い、それを超えていくということは、まさに、「日本人の心に響くおいしさ」とは何かを追求することでもあったのです。食味試験イメージ
新品種候補の決定
次世代の秋田米
平成29年には、新品種の候補が5系統まで絞り込まれ、選考は最終局面に差し掛かっていました。ここまで厳しい選抜を勝ち抜いてきたいずれの系統も甲乙付けがたいレベルにありましたが、その中にあって食味の良さで一歩リードしていたのが秋系821(サキホコレ)でした。
「コシヒカリ」や「あきたこまち」が持つ「日本人が好む食味」を持ちながらも、食べる前から「おいしい」と思わせるツヤやかで食欲をそそる外観、これまでの秋田米にはない粒立ちの良い食感、かむほどに広がる甘さと、後を引く豊かな風味。
秋系821(サキホコレ)は、次世代を担う最上位品種にふさわしい食味を備えていました。
さらに、栽培特性においても、母親である「中部132号」が持ついもち病に対する耐性を引き継いでいたほか、栽培試験における地道な選抜により、高温による品質低下が少なく、冷害にも強いという、「あきたこまち」以上の優れた特性も獲得していたのです。
交配から9年目の平成31年3月、秋系821(サキホコレ)は、県、関係農業団体等で構成する「秋田米新品種デビュー推進会議」において、新品種候補に決定されました。
-スケジュール-令和4年秋の市場デビューに向けて
令和2年度に名称を全国公募で決定しました。令和4年度の一般作付けと市場デビューを目指します。