ロウソクを灯してラジオを聴き、「大変なことが起こった、明日はどうなるか」という思いで過ごした夜。
小雪の舞う寒さで、重ね着して布団に包まる。
その日、連れ合いは仕事で名取市にいた。
閖上方向の道に出ると、逆走してくる車に出会い、その先が通行止めになっていることに気が付き、引き返したという。
津波が閖上を襲った後だった。
その頃こちらでは、連れ合いは帰ってこないかもしれないと思いながら、非常時の生活準備をしていた。
だが、予想外にも夕刻に帰ってきたのでびっくりした。
来るなり、すぐに厠へ急ぐ。
何しろ渋滞で、普通は車で30分で来られる道を、3時間かかって帰って来たという。
夕餉は昼の残り飯を使い、手早く、体の温まるものをと作ったのが雑炊だった。
夜、ラジオをずっと聴いていた。
津波や被害の大きさが繰り返し伝えられて気が滅入る。
あれこれ選局していたら、合間に音楽を流す放送局があった。ほっとした。