久しぶりに石巻の町へ行くと、商店街は、中が空っぽになった店がたくさんあるけれど、町の破片だらけだったのが片付いて綺麗に道が通っていた。
震災から2~3ヶ月は、何処の港町も建物の破片で一杯だったのを、自衛隊が毎日重機を動かして道の端に集めていたし、辻では警察が交通整理をしていた。
行方不明者を捜索しながら、様々な破片を片付けていったのである。
あんなに破片だらけだったのに、それでも日々働く人がいて、一つ一つ取り組んできた結果、砕けた町の断片が取り除かれた。
それを見て、日々努力を積み重ねることは、本当に凄いことなのだと思った。
石ノ森漫画館のある中瀬は、水に浸かる部分が増えている。
中瀬の真ん中を通る道まで、海水がひたひたと迫っていた。
漫画館の向かいには、国内最古の木造教会という、美しい八角形屋根のハリストス教会があった。
明治13年建築で、1978年の宮城県沖地震で損傷したが、その後に中瀬公園に移築されたという建築物だ。
これが、窓は割れ、白壁が所々剥がれて正面の扉が失われているが、かろうじて外観は残っている。
2度の震災にも、この美しい建築物は、傷みながらも耐えて残っていたのであった。
建物はあるが、中が空っぽになった所の多いかつての商店街だが、その中にも、なんとか改装して衣料品を売る店がいくつか開いていた。
町のあちこちに、「がんばっぺ石巻」の文字と、励ましの寄せ書きが貼られている。
その「がんばっぺ」は、決して人々を急くものではなく、日々不幸のままではないこと、出来ることをやって段々に進んでいく中に喜びもあることを、共に呼びかけている合言葉だと、町を見ていて思った。