皐月の伊里前川には、ぎざぎざに折れ曲がる形に、石が積まれている。
「ざわ」と呼ばれる、漁の仕掛けだ。
↓2013年のざわ漁
春から初夏にかけて、この仕掛けで、シロウオを獲っている。
歌津のシロウオは、ハゼの仲間で、産卵のために遡上するもの。
海でも獲れるが、伊里前川に遡上したのを「ざわ」で捕まえるのが、いわば名物。
この伊里前川も、震災後に堤防工事が行われ、川岸の堤は、ぐんと高くなった。
↓2016年12月の伊里前川
だが、水際に礫が置かれたり、覆土がなされたりと、生物の環境を確保するための工夫が施されている。
川の中も、みお筋を確保しているため、ざわ漁も可能となっている。
伊里前川は、昔から洪水の度に改修しつつ、地域の人々が自然の恵みを受け、親しみ守ってきた川である。
そして今も、これからも、人々はそれを守り続けていこうとしている。