半年前に前売り券を購入済みだったのにも関わらず、今まで行けずにいました、『ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女』を観て来ました!
ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーのペベンシー家の兄弟は、空襲を避けてロンドンから田舎の学者の屋敷に疎開する。古く由緒あるその屋敷で、ひょんなことから古めかしい衣装だんすに入り込んだ末っ子のルーシーは、そのタンスの中が不思議の国ナルニアに通じていることを発見する。ナルニアで出会ったフォーン(腰から下が山羊)のタムナスさんに家に招かれ、ルーシーはナルニアのあらましを知る。ナルニアはこの100年、白い魔女の陰謀によりずっと冬のままでいるという。しかしナルニアに伝わる予言では、アダムの肉、アダムの骨(=人間の男女)がナルニアにやってきた時、悪者は滅ぼされるとされていて、白い魔女は人間を見かけたら捕まえて連れてくるようにと触れを出していた。ルーシーと知り合い、ひどいことはできないと悟ったタムナスはルーシーをもとの場所に帰す。
屋敷に戻ったルーシーは兄弟にナルニアの話をするが信じてもらえない。が、ひょんなことから全員でたんすに入り、ナルニアに迷いこむことになって・・・?
というようなお話です。
あまりにも有名なC・S・ルイスの名作『ナルニア国ものがたり』の映画化です。わたしは例によって原作信者なので(笑)どうあろうととにかく観なくては、と思い前売りも購入していたのですが、ようやく観ることができました。
感想というか、どうしても言いたいことといたしましては、どうか原作未読の皆様、原作もお読み下さいと声を大にして言いたいです。
映画は映画でなかなかいい出来だったとは思いますが、兄弟の中でただひとり、悪の道に傾きかけるエドマンドの描写が足りなすぎて誤解を与えていると思います。以下ややネタバレ気味になりますのでイヤな方はここまでにしておいて下さい。
映画の描写ですと、エドマンドはただ食い意地のためだけに兄弟を裏切ったっぽい感じです。エドの名誉のために言いますがそれは違うんです。白い魔女が魔法の薬で作り出す食べ物を食べた者は、その虜となってしまうのです。エドマンドは魔女がくれるターキシュ・ディライト(※お菓子の名前。瀬田貞二さんは日本の子どもにもわかるように「プリン」と置き換えて訳しました)を食べたせいで、おかしくなっていたのです。その描写が、映画版には一切無い。ただの食い意地の張った子どもみたいな描かれ方になってしまっていて可哀想です。エドは正気じゃなかったんです。信じてあげて下さい。
あと、これは私見ですが、原作の設定より長男ピーターが年長に描かれている気がします。原作のピーターは自分も皆と一緒にふざけるタイプですが、映画のピーターは本当にいいお兄ちゃんすぎて、どうにか皆を守ろうとしたり、エドマンドを助けようとしたりする姿が泣けました。
あとルーシー役(ジョージー・ヘンリー)が可愛いったら。こう言うのもなんですが、美しいとかいう顔立ちではないのですが、ちょっぴり生意気なところが本当に愛らしいのです。最初にナルニアを発見する大事な役、ちゃんと演じきっていたと思います。つーか、子ども達はみんな可愛かった!
映画全体としては、原作ではそれほど長く描写されなかった戦の描写に重きを置いていたり、映画としての盛り上げどころを出すために結構アクションシーンも多かったなという感じです。そのせいか、ビーバー夫妻が原作より若かった(笑)。可愛かったからいいけど。
そしてアスラン・・・!アスランかっこいい・・・!(しかも声はリーアム・ニーソンだよ!)今のCGって本当にすごい。元気のないアスランの表情なんか素晴らしく、もう抱きしめてあげたい感じでした(笑)。ナルニアの住人たち、フォーンやらセントールやらも実に生き生きと表現されていたと思います。悪役ではありますが、白い魔女(ティルダ・スウィントン)も実に良かった!衣装がとても素敵だし、冷たい悪役が実にハマっていました(笑)。
全体をあげて一番良かった点は、ラストのタムナスさんのマフラーかな(笑)。これは原作にはないシーンなのですがありそうで笑いました。改まった場ではおしゃれマフラーかよ!と(※タムナスさんは上半身裸)。
一番残念だったのは、後半の見せ場、氷の城で蘇った善なるものたちの一匹であるライオンがはしゃぎ回るシーンがカットされていたところ。「きいたかい?われわれライオンたちだと。つまりあのひとと、ぼくだ。」という原作シーン、微笑ましくて大好きだったので。
全体としては映像も美しく、面白かったですのでファンタジーが好きな方にはお薦めします。ただ、どうかそのあと原作も読んでください。