先日試写会で『ナイト・ウォッチ』という映画を観たのですが、途中ちょっと寝てしまったのと、それを差し引いても話がよくわからなかったので、原作本を借りて読んでみました。
『ナイト・ウォッチ』(セルゲイ・ルキヤネンコ著、法木綾子訳、バジリコ)
「光の者」と「闇の者」。古よりふたつの勢力はお互いを打ち負かす戦いを続けてきた。人間と同じ姿形でありながら、人間ではない彼らは自らを「異人」と称した。彼らはある時に結ばれた協定をもとに、闇を監視する光の者である「ナイト・ウォッチ」、光を監視する闇の者である「デイ・ウォッチ」がお互いを監視し合い、協定から逸脱することのないよう睨み合っていた。
舞台はロシア・モスクワ。「光の者」である若い魔術師アントンは、本部の指示により「闇の者」の吸血鬼を追っている際に、頭上に途方もない規模の呪いの渦を戴いた女性、スヴェトラーナに遭遇する。この渦は呪いを受けた者の頭上にしばしば見られるが、彼女のそれは放っておけるサイズではなく、そのまま呪いが成就したら世界が巻き添えになり滅んでしまうようなものだった。アントンはナイト・ウォッチのリーダー、ボリスの指示を受け、何とかその呪いの源を探ろうとするが・・・?
というような・・・話、でいいんでしょうか。いまひとつ自信がありません。
数日に分けて読んだせいか、慣れないロシアもののせいか、主人公の一人称で語られる文体のわかりにくさのせいか、かなりわかりにくかったです。
その世界のシステムや用語などを既知のものとして殆ど説明せずに展開するという手法は、SFでは時折ありますが、そういう場合ハヤカワ青背(=ハヤカワ文庫で背表紙が青いもの。SFレーベル)とかで出して下さい。それなら「あ、なんかこの設定さっぱりわかんないけどわたしが未熟なのね」とか思えるんですが・・・。
この作品、内容から見るに対象読者は大人だと思うんですが、やたら分厚いハードカバーの割にはフォントサイズとか行幅はYA並み。振り仮名まで振ってあるご丁寧さは、少年少女も視野に入れたということなんでしょうか?
でも「第七レベルの干渉」とか「薄闇に入る」とか、何の説明もなしに描写されてもいまひとつわかりません。「薄闇~」は、異人のみに可能な別の次元に入ることのようですが、最後まで読んでみても光と闇の協定の細かい所がどうなっているのかよくわからないままだし、主人公も頻繁に「それは許されているのか?」とか言い出す始末で、知らんがなという感じでした(笑)。
実は上に書いたあらすじも、複数進行する筋の中のひとつをかいつまんで述べただけなので、これと同時に何だかよくわからないことが進行しています。これは三部作の第一作だそうで、映画同様あとニ作続くようです。全部読めば理解できるのかなあ・・・?
ロシアでは映画は「マトリックス」を超えたとか、小説のほうも社会現象を引き起こしたそうですが、どうもわたしには微妙でした。次回から光と闇の勢力の条約等に関する用語集でもつけていただけるとありがたいです。
結論としましては、映画もよくわからなかったけど小説もよくわからなかったというところでしょうか。