愛の輝きとつぶやき

写真、アート(絵画、書、詩)日記

「ものの道理」

2017-05-09 17:27:48 | 言葉と心

「ものの道理」

「ものの道理」について、馬渕睦夫氏(元駐ウクライナ大使)が最近発売された著書

のなかで、「舛添都知事の私的流用問題」の騒動に焦点をあてて「日本とは何か」

について下記のように述べておられます。

抜粋:

私は、この「ものの道理」というのが、私たち日本人を覆っている隠れた道徳律、

憲法のようなものだと思います。「憲法」という言い方は少し御幣がありそうですので、

「国体」と言い直しましょう。

そういう隠れた国体が今回も裏で働いていたように思います。

例えば、一流ホテル宿泊について質問を受けたときに、あのような答え方ではなく、

「都知事が泊まる場合には、どうしてもそうせざるを得ない事情があるのです」と

丁寧に話し、説明すればよかったのです。でも、あのときは最初から

「その質問はおかしい」という答え方でした。そういうことが積み重なっていくと、

後戻りがきかないところまで追い詰められてしまうのです。

道理に違反するということは、じつは「憲法九条違反」です。そう言うと、皆さんはすぐに

昭和憲法(日本国憲法)の九条を思い出されると思いますが、

私が九条と申し上げたのは、

聖徳太子の「十七条憲法」の九条のことです。

そこには何て書いてあるか。少しご説明しましょう。

「九に曰く、信(まこと)はこれ義の本(もと)なり」とあります。

「信(まこと)」、これは人の道の根本だと。そして次に、「事毎(ことごと)に信あれ」、

つまり、何事をなすにあたっても、真心をもってすべきであると書かれています。

これが、十七条憲法の九条です。

聖徳太子は、「何事をなすにあたっても、真心をもってすべきである」と

言っているのです。

これは、私たちの腑にストンと落ちる言い方ではないでしょうか。

私たちは毎日、真心をもって行動しているかどうかわかりません。しかし、

私たちは何かをするときには、真心を持ってやるべきだ、あるいはそうするのが

望ましいことだということをなんとなく感じているのだと思います。

結局、21世紀に生きる私たちも、じつは604年にできた十七条憲法の枠内で

生きているようなものだということをあらためて感じます。

 

十七条憲法には、他にも面白いことが書いてあります。

七条は「役人の品格」についてです。

「七に曰く、人各(おのおの)任あり」、つまり「ひとそれぞれに任務がある」という

ことです。

次に「掌る(つかさど)ること宜(よろ)しく濫(みだ)れざるべし」とあります。

わかりますね、職務に関しては乱脈にならないようにせよということです。

それから「剋(よ)く念(おも)いて聖(ひじり)と作(な)る」と続きます。

よく道理に心がけるならば聖者のようになるということです。

わが国においては、すでに7世紀の昔からこういうことが文章になって

残っているのです。

これは「十七条憲法」というかたちで出ましたが、じつはすっと何千年も昔から

わが国の道徳律であったのです。

『古事記』の時代、高天原の昔からあった、日本人を縛る(律する)、私たちの心にある

道徳律が確かにあった――。それを集大成したのが、

十七条憲法であったとも言えるのです。

そして、その精神は21世紀の今に至るまで生き続けています。

私たちも知らず識らずのうちに、この憲法の大枠のなかで生活をし、

仕事に精を出しているということではないかと思います。

       …………………………………………………

         「グローバリズムの終焉」「日本再発見」講座Ⅱ  著者: 馬淵睦夫まぶちむつお

          発行 kkベストセラーズ

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿