北朝鮮が国連制裁を逃れて、ドイツ製の高級車を密輸入したという報告書をアメリカの研究機関が公表したことをめぐり、関与を指摘された大阪の会社から依頼された弁護士のチームが、調査結果をまとめ、会社が関わったのは一部の区間の輸送にすぎず、制裁逃れに利用されたと結論づけています。専門家は、北朝鮮の手法が巧妙になっていると指摘しています。
アメリカの民間の研究機関C4ADSが公表した報告書は、ことし2月にベトナムで行われた2回目の米朝首脳会談で、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が乗っていたドイツ製の高級車が、国連制裁を逃れる形で、オランダから日本を含む各国を経由して北朝鮮に密輸され、大阪・西区の美濃物流が関わっていたと指摘しました。
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中国系オランダ会社輸送契約:オランダーーー>華北大連
輸送契約発注者大連会社、輸送契約受注者美濃物流、
輸送物品:ドイツ高級自動車:先端技術製品
華北大連送付元ー>大阪送付先:税関検査ー>韓国釜山送付先ー>平壌送付先
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大阪税関検査ミスか
これについて、美濃物流から調査を依頼された弁護士のチームが、このほど報告書をまとめました。この中で、会社は、中国にいた人物からの依頼で、大連から大阪を経由して韓国のプサン(釜山)まで、車の輸送を手配したものの、最終的にどこに運ばれるのかなど、詳細は聞かされていなかったとしています。
そのうえで報告書は、この会社は「北朝鮮に輸出・運搬される可能性を認識していなかった」として、制裁逃れに利用されたと結論づけています。
これについて、北朝鮮制裁をめぐる国連安全保障理事会の専門家パネルの元委員 古川勝久さんは「北朝鮮の制裁逃れのネットワークは今も機能している。北朝鮮は、重要な貨物を密輸する際には、経由する国を増やしたり、ロシアをかませたりしており、北朝鮮は、制裁強化という環境の変化に適応している」と述べ、背景には、北朝鮮の手法が巧妙になっていることに加え、中国やロシアなど、関係国による制裁違反の取り締まりが不十分な現状があると指摘しています。