会見では明かされなかったLenovo傘下になって富士通が得たものと守ったもの
2017年11月3日 11:00
だが、両社ともこの記者会見でははっきりと言えなかった本当に得る“モノ”はある。今回富士通とLenovoが、富士通クライアントコンピューティング(以下FCCL)を巡る取引でそれぞれ得たものは何なのか。
現時点でのFCCLはLenovoの子会社になったとは言っても、Lenovoの幹部達が明言したように独立して運営されることになる。FCCLが発売するPCのブランドは富士通のままであり、製品の開発もFCCLが川崎に持つ開発拠点にあるエンジニアが担当する。生産もデスクトップPCは富士通が伊達市に所有する富士通アイソテック(福島県伊達市保原町東野崎135番地)に委託生産され、ノートPCはFCCLの子会社である島根富士通(島根県出雲市斐川町三絡1180番6)で生産される。
新生FCCLはLenovoの調達力を利用でき、Lenovoは富士通の看板を利用して官公庁や法人市場に展開
この取引ではLenovoはFCCLの51%の株式を持つことになり、44%と33%を越える株式を持つ富士通が会社合併などの重要事項に対して拒否権を持つとしても、
取締役の専任などは基本的にLenovoが自由に行なえるようになる。
では逆に、Lenovo側のメリットはなんだろうか?
それは“富士通”という看板を得たことにある。今回の取引で、LenovoはFCCLを事実上の子会社とした。そのFCCLは、コンシューマ向けのPCだけでなく、法人向けのPCも生産しており、富士通は企業への販売とサポートを行なっている。
地方自治体などの官公庁、医療機関などでの“富士通”ブランドは非常に強力で、そうした市場は逆に言えばLenovoが弱かった部分でもある。Lenovoがこれまで強かった法人向けの市場は外資系企業などで、伝統的な国内の法人相手には苦戦してきた。しかし、これからはFCCLを利用してその市場を攻めることができ、その意味は決して小さくない。