★少子高齢多死人口減問題・過疎過密社会問題解消に寄与するワイヤレスコネクティド:つながる、オートノマス:自動無人化、シェアード:共助共有、エレクトリック:電動化排ガスゼロ、CASEシステムにおけるタクシー業界への提言か>
★タクシードライバーの付加価値向上に具体的提言か>
★多職種連携男女共同参画社会における人と組織の提言か>
2021/02/18 14:00 著者:栗田 シメイ
<栗田 シメイ(くりた・しめい)
ライター
1987年大阪府生まれ。34歳。広告代理店勤務を経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』(辰巳出版)など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている
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未曾有の危機を迎えているタクシー業界。そんな中で日本交通に次ぐ、620億円(2019年度)という業界2位の売り上げを誇るのが、「kmタクシー」の愛称で知られる国際自動車だ。2020年に創立100周年を迎えた同社は、原則的に50歳を超えた乗務員の採用は行わず、本社に近接するにホスピタリティハウス、研修センター、採用相談窓口を作るなど、徹底して新卒・未経験者の人材育成に投資を行ってきた企業でもある。
国際自動車ではコロナ禍の今だからこそ、高齢者が大半を占めるというタクシー業界の風習を打破すべく取り組みに注力しているという。今後のタクシー業界はどこに向かっていくのか。社長の西川洋志氏
<西川 洋志(にしかわ・ひろし)/1949年東京都生まれ。72歳。國學院大學経済学部卒業後、1972年4月に国際自動車に入社。ハイヤー営業マン、営業企画を経て、2000年に経理部長に就任。その後、不動産部長、経営管理本部副本部長、常務、専務を経て、2016年4月より現職
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に、業界の未来、コロナ禍の実情、人材育成にかける思いを聞いた。
■感染者増で売り上げが再び落ち込んでいる
――2020年はタクシー業界全体が過去に例のない水準の大打撃を受けました。あらためて振り返ってみていかがでしょうか。
――バス、ハイヤー事業も展開されていますが、状況はどうですか。
逆にハイヤーはずっと前年比で8割以上を堅持していますね。ウチでも役員さんの送迎数が実はそうとう増えましたよ。コロナ禍で電車を使いにくい影響で、前年比にすると月間で100本近く増えている。
――タクシー業界全体で、ここ1年間で印象に残ったことはありますか。
コロナ禍の1年で、アプリ配車の割合が爆発的に伸びたことですね。特に去年4月はそれが顕著で、都内では業界配車の割合が倍近くまで跳ね上がった。自社アプリのフルクルも夏前までは前年比で200、300%という水準でした。
■年100〜150人に採用は継続
――4月度の新卒採用、中途採用、退職者などの人の面での影響は出ているのか。
人は採ることよりも、育てることにマンパワーがかかってきますし、これまでの経験を踏まえると、この数字を越えて採用をしても育て上げることは難しい。ホスピタリティやマナーや接客、地理や機器操作など、現場を含めた研修は3〜6カ月ほどみっちりやりますし、一人ひとりに時間とコストをかけています。
――この状況下でも新卒採用にこだわる理由は何でしょうか。
ここ数年で急速にIT化が進み(注1)、ライドシェアなどの新たな概念(注2)も生まれてきた。これまでは業界の外にあった要因により、全体が変化の時を迎えており、新型コロナもその1つの契機となるかもしれません。
(注1)準天頂衛星を活用した除雪車運転支援システム,
(注2)高齢化団地に快適な足EVバス,
■釣り銭をドライバーが用意していた
。じゃあやろう、と会社で用意するようになった。このように他の業界からしたら考えにくい文化も残っている。新しいことを実践していけるのは、タクシーの仕事に染まっていない世代の人たちだと思っています。
――新卒以外でも国際自動車では芸人やスポーツ選手など多分野からユニークな人材採用を行っているイメージがあります。
――1000人採用を目指すなど、女性ドライバーの採用にもいち早く注力されていますよね。
■業界全体でも深く考えるべき問題
女性の方が安心して働けるため、セクハラやモラハラ行為に対して乗車拒否が可能になるよう、国際では率先して運送規約も変更しましたが、業界全体でも深く考えるべき問題でしょう。
――とはいえ、タクシー業界で長く働く男性などは、急に女性が増えると戸惑いそうですね。
――近い将来、タクシーの自由化やライドシェアの解禁、自動運転時代の到来といった、“大きな変化の波”が業界に訪れる可能性が高い。
例を挙げるなら、お年寄りの方や体が不自由な方のアテンド、有事の際のサポート、フードデリバリーといったサービスの需要は必ず伸びてくる。繰り返しになりますが、サービス面の向上のためには根本的な人材育成が必須です。そういった未来を見越して、長い時間と費用をかけて人材に投資してきたことが生きてきます。
■自動運転時代のタクシーが果たすべき役割
――今後タクシー業界に必要なことは何でしょうか。
0年、20年スパンの未来でいえば、タクシーも自動運転時代は遅かれ早かれ訪れるでしょう。すでに世界各地では自動運転の実験も行われているようですが、日本もインフラ整備の問題がある。それでも自動化の波は避けられないでしょう。
では、その時代が来たときにタクシーが果たすべき役目は何か。やはりいかに付加価値を見出すか、という点に尽きると思います。福祉や介護、運送の場面などでもサポート役として、乗務員のホスピタリティがより重要になってくる。
一般的にはお客様第一主義というほうが正しいんでしょうが、当社の場合は社員第一主義を掲げています。どれだけ会社が研修などでホスピタリティを謳っても、1人のドライバーの行動=会社のイメージとなる。会社が社員を大切にして、幸せにしないといいサービスは生まれません。これからの時代にこそ、原点を大切にしていきたいです。