賢人論、第153回【前編】
〇生きることは耐えること、つらさと喜びの相克こそが人生。
評論家、東京家政大学名誉教授樋口恵子
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長年、女性問題・福祉・教育などの分野で評論活動を行ってきた東京家政大学名誉教授の樋口恵子氏。
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樋口 恵子(ひぐち けいこ、1932年5月4日 - 90歳)は、日本の評論家。
東京家政大学名誉教授。
高齢社会をよくする女性の会理事長[1]。
父は考古学者の柴田常恵。
広く首都圏各自治体主催の講演会などで活動。
男女共同参画審議会のメンバーの一人。
- 東京生まれ。都立第十高等女学校(現:東京都立豊島高等学校)を結核で中退後、東京女子高等師範学校附属新制高校(現:お茶の水女子大学附属高等学校)を経て 、1956年東京大学文学部美学美術史学科卒業。
- 在学中、同大新聞研究所で特別研究生としてジャーナリズムを研究。
- 時事通信社、学習研究社、キヤノン勤務ののち、1971年、フリーの評論家となり、女性問題、福祉、教育の分野で評論活動を行う。
- 1986年から2003年まで、東京家政大学教授を務めた。
- 1989年度の日本女性放送者懇談会賞を受賞する[2]。
- 2003年4月13日、民主党副代表の円より子から要請を受け、2003年東京都知事選挙に出馬。
- 選挙戦で自身と同い年の現職石原慎太郎を「軍国おじさん」、自らを「平和ボケばあさん」と称し、生活者ネットや社民党、みどりの会議からも支援を受け、反石原色を鮮明にして戦ったが、落選。
80歳を超えても著作の発表やテレビ番組出演を続け、持論を展開。 - 老いてもなお意気軒高な様子を見せる。
- 2022年には90歳となったが、同年4月には新著『どっこい生きてる90歳 老~い、どん! 2』(婦人之友社、ISBN 4829209747)を刊行。同年7月には「桂文珍の演芸図鑑」(NHK総合)に出演するなど[4][5]、現役の評論家として健在ぶりを示している。
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1983年に仲間とともにNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」を結成してから現在に至るまで、高齢社会のあり方を模索してきた。
その功績が認められ、2021年度「津田梅子賞」も受賞している。
現在89歳になる樋口氏。
時代と社会が移り変わる中で感じること、自身の老いに対する考えについて聞いた
賢人論、第153回【前編】
〇生きることは、つらさと喜びの相克
下記URL
参照
〇子どもの命が大量に奪われる時代を生きてきた
下記URL
参照
〇高齢者の栄養失調という新たな問題
下記URL
参照
〇介護保険は申請主義。積極的な情報収集と行動を
下記URL
参照
〇介護離職3つの不利益とは
下記URL
参照
賢人論、第153回【中編】
介護離職を避けることは日本経済発展のために必須
〇「嫁の役割」とされてきた介護が変わる
下記URL
参照
〇老いたれど、我もなりたし微助っ人
みんなの介護 樋口さんは、社会が高齢者の幸せのためにできることは何だと思われますか?
樋口:高齢者が社会参加できる仕組みを、もっと整えることではないでしょうか。
また、そのような人たちが地域社会にいることがわかるよう、見える化して伝えることだと思います。
ご高齢の方は、わずかな力しかないかもしれない。
しかし「できることならば、みんなと一緒に楽しく過ごしたり、ささやかなボランティア活動をしたりしたい」と思っている方が多い。
そのような気持ちを「微助っ人」(ビスケット)と表した人がいます。
私=樋口はそこから「老いたれど、我もなりたし微助っ人」というフレーズを考えて講演会などでお話ししています。
みんなの介護 面白いですね!
樋口: そのようにして、お互いに協力し合える社会を提言していくこと。それが私の最期までつづく役割だと思っています。
〇血縁がなくても助け合う社会に
下記URL
参照
〇ヨーロッパのカフェに見る、高齢者社会参加のヒント
賢人論、第153回【後編】
〇「ヨタヘロ期」が長い女性の体質を理解する
みんなの介護: 樋口さんは、とくに「女性」に焦点をあてて取り組みをされていますね。
樋口:「男女で高齢者の健康状態に違いがあります。
厚労省が出している健康寿命は、2016年に出されているもので男性72.14、女性74.79です。
排泄・食事・入浴・歩行・着脱衣などが自立してできる上限の平均年齢です。
平均寿命から健康寿命を引いた期間は、男性が平均9年で女性は12年。
要するに人の世話にならないと生きていられない期間ー。
私がよく言う「ヨタヘロ期」です。女性の方が3年長いのです。
このような背景があって、私は女性の健康問題に注目しています。
老年人口も女性の方が多いので、不健康者が増えれば当然国の医療費も増えます。
それに大抵の女性は骨細です。
少し転んだだけでも、骨折したり骨粗鬆症になったりする可能性があります。手足や運動器系に影響を受けやすい。
だから、動けなくなって人の世話になることも多いんです。
男性は脳出血や心臓疾患など循環器系が多いです。
そのような性別による特徴も理解しておくこと。
それが女性・男性双方の健康寿命を延ばし、ヨタヘロしながらでも健康に近い状況を保つために大事だと思います。
社会全体のムードにかかわります。
みんなの介護: 高齢者の健康を守ることは、国を守ることにもつながっているんですね。
誰もが自分ごととして高齢化の問題に目を向けていく大切さを感じました。