関東暮らし

関西人から見た関東暮らしの出来事を記す

《無責任な大見えは事故のもと》

2012年06月14日 | コラム
#96=3027
2012年6月18日付
《無責任な大見えは事故のもと》
 またしても野田首相が、無責任な大見えを切ってしまいました。8日の記者会見で「関西電力大飯原発を再稼働させる」と発表▼福島原発事故で露呈した原子力の制御不能の現実に向き合わず、根拠を示さない「電力不足」で人々を脅かして、それを口実に再稼働を理解せよと言っています。肝心の安全については、「安全基準に絶対はない」と念を押しているのですから、「安全ではないが動かす」と言っているのに等しい無責任さです。私たちはこんな矛盾に満ちた総理に安全を託すわけにはいきません▼しかし、そこまでやるには事情と理由があります。一つは電力会社の損得勘定と原子炉メーカー・商社の原発商売。いずれも財界が政治家に結論を押し付けています。もう一つは、地元県知事の要求丸のみ。「首相が記者会見すべき」と知事が言い、それが県の同意条件となったようです▼夏に向けては今がタイムリミットといわれていますが、財界の損得や首長の責任転嫁も、たかだか1年か2年スケールの話。そんなことで慌てて動いたら、それこそミスや事故を引き起こしかねません▼放射能や安全は、国民の未来全般に関わります。孫子にツケどころか、害悪を残す首相の無責任判断は許せません▼ところで、これは消費税でもまったく同じ構図です。

〈茨城・涸沼の朝〉・・・しじみが美味だった

《洪水のような政治暴走》

2012年06月08日 | コラム
#95=3026
2012年6月11日付
《洪水のような政治暴走》
 季節は梅雨に向かい、早くも台風が日本列島に到達するころになりました。大雨や洪水が起こらないことを願わずにはおられません▼政治の世界では、通常国会会期末の21日を前に、内閣改造が行われ、野田政権は消費税増税法案を強行突破する体制です。問題は自民党との「増税談合」。主権者を無視し、冒涜するこの暴挙が許されるはずはありません。国会議員地元事務所への要請では、与党議員も「増税反対」と言わざるを得なくなっています▼他にも主権者無視の政治暴走が目白押しです。大阪の橋下市長は、あれだけ騒いで反対していた原発再稼働を堂々と容認し、維新の会は「民主党との対決方針を」撤回したそうです。民主党が分裂するのを見越して、財界すりより姿勢で、「選挙協力」でもするつもりなのでしょうか。人騒がせで約束を破る政治家は信用できませんね▼防衛大臣は森本敏氏です。マスコミでは「民間出身」といわれていますが、それ自体問題です。さらに彼は防衛大学から航空自衛隊という「軍人」出身。現職が大学教授で国会議員ではないということだけです。しかも、あのイラク戦争に賛意を送ったり、日本人人質事件では「自己責任論」を展開するなど、人間を脇に置いた「日米安保・防衛論」者のように思われます。

〈椎名町夜景)

《おかしいことをおかしいという》

2012年06月02日 | コラム
#94=3025
2012年6月4日付
《おかしいことをおかしいという》
 「おかしいことはおかしいといえる勇気」―。某携帯電話会社のテレビCMの1節ですが、言葉自体には若干の共感を覚えます。とは言え、当たり前のことでも勇気が必要だとは、少々情けない。そうなっていない社会を風刺しているのでしょうか▼「若干の共感」は、おかしいことがあふれかえり過ぎているからです。国民負担が増えて生活を圧迫し景気後退・経済縮小必至の増税。大企業・富裕層との格差を広げる差別税制。転嫁できない事業者に利益を削って自腹を切らせる悪法。労働者を外注扱いし(実際にはリストラ・賃下げ)、税金を渡したことにして、戻し税額をつり上げ、濡れ手に粟の税金還付を受ける輸出大企業優遇税制▼そんな消費税の本質を国民の多くが、自らの生活実感としてとらえ、それで反対が多数になっているのに、大手メディアや一部知識人、民主党や自民党が、あえて「増税不可避」を展開するのは、「おかしい」の最たるものです▼NHKの日曜討論で、「国民の理解を得る」を繰り返し、国民は分かっていないと上から目線の野田首相の見解に対し、日本共産党の笠井議員は「国民は理解したうえで消費税増税に反対している」と切り返しましたが、これぞ「おかしいことをおかしいと言う」見本となる議論でした。

〈開業翌日のスカイツリー》2012年5月23日

《金環日食》

2012年05月24日 | コラム
#93=3024
2012年5月28日付
《金環日食》
 21日午前7時32分、東京・豊島区の全商連の建物から「金環食」を見ました。月の軌道が太陽と地球の間の直線上を通り、縁だけ残して月が太陽を隠し、空に輝くリング(金環)を浮かび上がらせる壮大な天文ショー。雲りでしたが人間がつくれない美を見ました▼隣の学校では早朝登校で校庭に集まった生徒たちが、歓声を上げ、周りのビルの屋上にも鈴なりの人垣、通勤の人も歩きながら観察グラスをかざしているなど、九州南部から関東にかけて広く観測されただけに、社会現象にもなったようです▼筆者の日食観察は3回目。2009年7月、奄美群島での皆既日食を淡路島で部分日食として見ました。そして小学生のころ、初めて部分日食を見ました。色つき下敷を使ったのですが、今ではこれは厳禁。いわゆる「ピンホール投影法」を兄から手ほどきされたことを思い出します▼金環食といえば、1975年の映画『金環蝕』(山本薩夫監督・石川達三原作)も思い出します。きらびやかなリングの内側には腐った膿が黒くよどんでいるという政界の内幕を暴いた趣旨だったと思います。消費税増税に固執する野田政権を取り巻く政官財の腐敗と暗躍を暴露して欲しいものです▼日本での次の金環日食は2030年6月に北海道で観察できるそうです。

〈雲の隙間からの日食の太陽〉

太陽の右上に、雲に映った日食の影があるように見える

《日本玩具博物館》

2012年05月17日 | コラム
#92=3023
2012年5月21日付
《日本玩具博物館》
 全国商工新聞の第8面に連載が続いている「おもちゃの世界」。日本と世界の玩具の成り立ちや地域文化との関わりなどが詳しく解明され読者にも好評です。その連載をお願いしている日本玩具博物館を訪問し、館長の井上重義さんにお話を伺ってきました▼兵庫県のJR姫路駅からローカル線で北へ15分、姫路市香寺町の博物館は、1974年井上さんが自宅の一部を展示館にして出発。以来37年、「個人立」としては例を見ないといわれる充実と発展によって、玩具文化を語るには欠かせない存在となっています。「玩具や人形は単なる遊び道具ではなく、教育・文化・風俗・美的感覚が凝縮した文化遺産であり、大人社会が忘れ去ったものが子どもの世界に残っている」とは井上館長の言葉です▼そして今回改めて感嘆したのは「ちりめん細工」の復興活動でした。着物などに使った縮緬の切り裂きを縫い合わせ、花や動物、人形などを作るのですが、いつしか廃れていました。それを、博物館として研究会を組織し、手引きの出版、講習会などで広め復興したそうです▼その過程で、すでに製造されなくなっていた素材の「明治の二越縮緬」の再現をめざし、丹後の織り元と共同で製品化したという話には、文化と地域産業の展望を見た思いがしました。

〈惣河谷(宝塚)遡行・1984年〉

滝横の岩壁に挑む