『反障害原論―障害問題のパラダイム転換のためにー』(三村洋明著 世界書院 2010年刊) ノオトその1
(はじめに)
障害の社会モデル:「障害とは、社会が障害者と規定するひとたちに作った障壁である。」(イギリス障害学)
障害概念のパラダイム転換:医学・生物学モデルから「社会モデル」、関係モデルへ
序章
一節 「障害者」をとりまく状況
「障害者が障害をもっている」「障害者に障害がある」「福祉は、障害をもっているひとたちへ恩恵を与えること」という考え方は誤っていることから、社会モデルへの転換
二節 「運動」の現状
法制度へ向けた運動は、資本主義社会という差別構造の中では、過渡的なものとしてせめぎあいの法律という意味しかもちえない。
Ⅰ 障害規定
第一章 「障害者」を表す言葉
一節 ‘障害’という言葉をめぐる混乱
障害、障がい、しょうがい、障碍
全国障害者解放運動連絡会議は、「障害者とは障害者差別を受けるものである」と規定する。
二節 「○○の不自由な」という論理批判
「『ひとには手があるものだ』『ある長さであるべきだ』という考え方自体がおかしい。」
「差別の中に『比較する』行為があり、しかも自分の基準を絶対的なものとする価値観がある。」「『標準的人間像』から外れる者に『障害者』というレッテルをはっている。」
三節 「障害をもつ」―「障害のある」という論理批判
「ろう文化宣言」では、「ろう者」=「耳の聞こえない者」、つまり「障害者」という病理的視点ではなく、「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言葉を話す、言語的少数者である」という社会文化的視点への転換がされている。
障害が負価値的に異化する場合と畏怖として異化するという異化には両義性がある。
第二章 障害規定
一節 法制度に見られる障害規定
aWHOの障害(者)規定では、①損傷:心理的、生理的、もしくは解剖学的ないしは機能の喪失または異常。②能力不全:人間として普通と見なされている方法ないし範囲内で活動する能力が制約され、または欠けること。③不利:損傷または能力不全によってもたらされる特定の個人にとっての不利益で、その個人の年齢、性別、社会的ならびに文化的要素に従って普通とされる役割の充足を限定または妨げられること、と規定される。
b国連の障害者権利宣言では、先天的か否かに拘わらず、身体的能力又は精神的能力の不足のために、通常の個人的生活又は精神的能力の不足のために、通常の個人的生活又は社会的に必要とされることを、一人ではその全部又は一部、満たすことのできない人を意味する、と規定される。(WHO②規定)
c障害者基本法では、「障害者」とは、身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう、と規定される。(1993年)
dアメリカADA法では、(A)主たる生活活動の一ないしそれ以上を実質的に制限する身体あるいは精神障害、(B)上記の障害の過去の記録、あるは、(C)そのような障害をもつとみなされること、と規定される。(1990年)
(はじめに)
障害の社会モデル:「障害とは、社会が障害者と規定するひとたちに作った障壁である。」(イギリス障害学)
障害概念のパラダイム転換:医学・生物学モデルから「社会モデル」、関係モデルへ
序章
一節 「障害者」をとりまく状況
「障害者が障害をもっている」「障害者に障害がある」「福祉は、障害をもっているひとたちへ恩恵を与えること」という考え方は誤っていることから、社会モデルへの転換
二節 「運動」の現状
法制度へ向けた運動は、資本主義社会という差別構造の中では、過渡的なものとしてせめぎあいの法律という意味しかもちえない。
Ⅰ 障害規定
第一章 「障害者」を表す言葉
一節 ‘障害’という言葉をめぐる混乱
障害、障がい、しょうがい、障碍
全国障害者解放運動連絡会議は、「障害者とは障害者差別を受けるものである」と規定する。
二節 「○○の不自由な」という論理批判
「『ひとには手があるものだ』『ある長さであるべきだ』という考え方自体がおかしい。」
「差別の中に『比較する』行為があり、しかも自分の基準を絶対的なものとする価値観がある。」「『標準的人間像』から外れる者に『障害者』というレッテルをはっている。」
三節 「障害をもつ」―「障害のある」という論理批判
「ろう文化宣言」では、「ろう者」=「耳の聞こえない者」、つまり「障害者」という病理的視点ではなく、「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言葉を話す、言語的少数者である」という社会文化的視点への転換がされている。
障害が負価値的に異化する場合と畏怖として異化するという異化には両義性がある。
第二章 障害規定
一節 法制度に見られる障害規定
aWHOの障害(者)規定では、①損傷:心理的、生理的、もしくは解剖学的ないしは機能の喪失または異常。②能力不全:人間として普通と見なされている方法ないし範囲内で活動する能力が制約され、または欠けること。③不利:損傷または能力不全によってもたらされる特定の個人にとっての不利益で、その個人の年齢、性別、社会的ならびに文化的要素に従って普通とされる役割の充足を限定または妨げられること、と規定される。
b国連の障害者権利宣言では、先天的か否かに拘わらず、身体的能力又は精神的能力の不足のために、通常の個人的生活又は精神的能力の不足のために、通常の個人的生活又は社会的に必要とされることを、一人ではその全部又は一部、満たすことのできない人を意味する、と規定される。(WHO②規定)
c障害者基本法では、「障害者」とは、身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう、と規定される。(1993年)
dアメリカADA法では、(A)主たる生活活動の一ないしそれ以上を実質的に制限する身体あるいは精神障害、(B)上記の障害の過去の記録、あるは、(C)そのような障害をもつとみなされること、と規定される。(1990年)