晴走雨読

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民主党マニフェスト 2010

2010-06-19 10:03:08 | Weblog
 『サブプライムから世界恐慌へ 新自由主義の終焉とこれからの世界』(伊藤誠著 青土社 2009年刊)

 政権交代の後、じっと目立たずチャンスを窺っていたであろう菅直人がついに首相になった。菅氏の経済政策のブレーンは、神野直彦氏と言われている。氏は、かねてから北欧型(特に、スウェーデン)社会民主主義の構築を提唱しており、菅首相の「最小不幸社会」の実現というスローガンは、その考えが反映されていると見る。

 民主党参議院選挙マニフェストには、経済政策として「第三の道」を掲げられている。(以下、引用)
 
 『この閉塞感を吹き飛ばすため、私は「第三の道」を選択します。それは、過度に財政に寄りかかった手法でもなく、過度に競争に偏った手法でもない、経済、財政、社会保障を一体として捉える経済政策です。 

 「第一の道」は公共事業中心の経済政策であり、それは高度成長期には時代にあっていましたが、その後は巨額の財政赤字を積み上げることとなりました。

 「第二の道」は偏った市場原理主義に基づく経済政策であり、それはデフレを長期化させ、「企業は社員をリストラできても、国は国民をリストラできない」という根本的な問題を放置したため、国民生活は極端に不安定になりました。
 政治のリーダーシップを欠いたまま、産業構造や社会構造の変化に対応できていない政策を続けた結果、経済の長期低迷、財政赤字の拡大、社会保障の不安定化が進みました。

 こうした過去の失敗に学び、新政権は「第三の道」に取り組みます。わが国が抱える環境問題や少子高齢化など、喫緊の課題への解決策。急速に成長するアジア、国内の資源を活かせる観光分野などへの積極策。これらが生み出す大きな需要に応えることで雇用を拡大します。そこから経済の拡大(強い経済)、財政の再建(強い財政)、社会保障の充実(強い社会保障)という好循環をつくり出します。日本の閉塞感は政策が招いたもの。だから、政策で吹き飛ばすことができます。「第三の道」こそが、その政策であると、私は確信しています。』


 『サブプライムから世界恐慌へ 新自由主義の終焉とこれからの世界』(伊藤誠著 青土社 2009年刊)も、第三の道に言及しているが、よりラジカルである。

 アメリカ連邦準備銀行前議長グリーンスパンは、サブプライムから世界恐慌に至った、この経済危機を100年に一度の金融危機の大津波と述べた。

 戦後の高度経済成長を牽引したケインズ主義(経済学)が1960年代末から力を失った。マニフェストでいう「第一の道」。

 その後は、市場原理主義に基づく新自由主義が席巻した。その帰結が、新たな貧困の拡大と今回の世界恐慌である。マニフェストでいう「第二の道」。

 そして、各国では倒産した証券会社や自動車メーカーへ公的資金が投入されるなど、再びケインズ主義に基づく財政政策が出動されているようにも見える。
 そこで、マニフェストの「第三の道」は、社会民主主義に基づくものなのか、ケインズ主義なのかという疑問が湧く。

 否、伊藤誠氏は、1989年の東欧革命後、一度は死んだマルクス主義(経済学)がこの閉塞感を打破するためには必要な武器になると説く。「第三の道」は、マルクスの復権による「全世界の獲得」にあるのではないか。

 
 私は、ここ何代か続いた首相たちとどこか違う菅直人に期待を持っている。参議院選挙の結果次第では、自民党が解党し民主党に独り勝ちになるだろう。その時に、菅は暴君になる可能性もあるが、彼の心根にあるであろうやさしさの哲学を実践してほしいと思う。

 コイズミ以降、大衆的人気のある久々の大物だよ!


コメント
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