異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その四十』

2018年12月17日 10時11分39秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹と部長の間には「一線」ができたと言えるのだが、

相変わらず無神経な部長はことあるごとに「体調いかがですか?」とか

「これもらいものなんですけどどうぞ」などと言ってお菓子や果物をくれるのだ。

尚樹は内心、「この人、本当に反省しているのだろうか?」と思っていたが、

尚樹は一応「額面通り」に部長の言葉を受け取った振りをして返事をしていた。

関わりはそればかりでなく、尚樹が出席しているほとんどの会議に部長は出席し、

顔を合わせなければいけなかったのは尚樹にとって非常に苦痛であった。

尚樹はすっかり部長に対しても「トラウマ対象」になってしまっていたのだった。

尚樹は以前、心理士に「こころが脆弱な人は、傷を負いやすい。」ということを

言われたことを思い出した。

当時も今もその言葉を思い出すと不愉快になるが「そういう事実もある」ということも

受け入れざるを得ない現実があることも甘受していた。

この脆弱なループから抜け出す手立てはないものかとしばらく悩む日々が続いた。

 

 

その四十一につづく

 

 

 

 

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