前回はこれまでのあらすじを見ていただいた。
この回からはまた話を進めていきたいと思う。
尚樹と同期であったTさんの退職は尚樹にとって衝撃であったが、
「部長の下でTさんは潰された」と内心思っていた。
そして尚樹は「俺はそうならない!」と決意していた。
思わず尚樹は、Tさんと同じ主治医であり、「雲の上」の上司に
現状を告げようと思ったのだが、「部長の意趣返し」を考えると
足が竦む思いがし、言い淀むどころか口にも上らなかった。
尚樹は部長との「一線」を日々維持することが精一杯の日常であった。
障害者雇用をする際に事業所内に「労働条件及び代理」的な存在を勤めている女性
「Kさん」にこれまでのことを相談しつつ、尚樹自身の身の降りようも相談しながら
気の強いKさんは部長に喰って掛かっていた。
尚樹は女伊達らに奮闘するKさんを頼もしく思っていた。7
Kさんは尚樹より5歳年下だがいわゆる「シングルマザー」で
二言目には「結婚はもううんざり」というのが口癖であった。
その四十四につづく