「尚樹さん、この部屋でなくてウチの部署で仕事をしませんか?」と、
部長が言ったのは、冗談めかしに言ったものと尚樹は考えていた。
それから一週間が過ぎ、なんだか部署がざわつきだして、
しかし、尚樹は「他山の石」と考えていた。
心中を言うと、「『他山の石』であるべき」と考えていた。
部署がざわつきだしていたのは、「席替え」していたと聞かされた。
その「聞かされた」ときにはもう遅かった。
部署には「尚樹のデスク」が用意されていた。
それから日々尚樹のところには、“精神疾患者に似つかわしくない仕事量”が
課せられた。
尚樹は部長に訴えた、「以前の話と違うんじゃ無いですか?」と。
部長は平然と言い返した。
「これでもこちらで遠慮しているつもりですよ。」と。
尚樹は内心、拳を握りしめた。
その三十六につづく・・・