異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『呆け茄子の花 その五十四』

2021年06月10日 23時30分32秒 | 小説『呆け茄子の花』
この時期はずっと精神状態を含む体調が悪く、気分のアップダウン、拒食気味になり、食べるのは麺類のような食べやすいものが多くなり結局下痢してしまうのでこの時期体重は4~5kgは落ちてしまう。気分の落ち込みはまるで「山の天気」のように変化し、活動的な日の翌日は必ずと言っていいほど寝込む日が多い。それも遮音、温カーテンは閉め切り食事も摂らずに12時間以上寝るのだ。それも睡眠導入剤無しで。精神的に落ち込んでいるとこんな状態が続く。正直、「よくこれで前職勤めていたな」と思うが、尚樹が辞める切っ掛けになった「ろくに仕事もせず、職場で寝てばかり・・・」これは、心外な言葉であったが自宅を出るまで、毎日「必死な思い」で出てくるのは事実で昼の一時間の休みの時に寝なくては働けないのは事実であった。尚樹の身体症状として子供がよくなる「とびひ」の様な皮膚の炎症が足によく出てきて、皮膚科へ日参するのがこの時期の常だ。今は前年に処方してもらった軟膏を塗ってしのいでいるが、おそらくPTSDの症状で死ぬまで続くのではないかと思っている。フラッシュバックも軽減したとは言え、続いているし、翌日倦怠感はまだある。なぜか、この毎年ある「恒例行事」とも言えるこれらの症状をいくつか忘れている。それも毎年。脳が故意に記憶を消しているのか、単なる健忘なのか解らない。薬の中には「薬物性健忘症(正式名称ではない)」があるらしいが特に眠剤に多いと言われており、前職の時も健忘症状が多かった。薬によっておおいに助けられている反面当たり前だが大小の違いはあれ、「副作用」があるわけで「健忘症」もその内に入っているのだろう。尚樹の認識はそれくらいのものであったが、今夏はちょっと気になり始めた。





その五十五につづく







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