異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その二十五』

2017年05月29日 23時37分23秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹は、主治医に訴えた、なにをか?

「就労していないことの焦燥感・罪悪感」を・・・

その訴えは数度続いた。

それから、幾月かが過ぎた。

あるときの診察の時に尚樹は、主治医から思わぬ言葉を聞いた。

「尚樹さん、あなた病院で働いてみない?」

「え?」

尚樹は耳を疑った。

主治医は一方的に話し続けた。

「障害者の支援をして欲しいのよ、今日は私の担当する患者さんのお母さんがお見えになってるの」

全く、尚樹に口を挟む間も与えず、直ぐさま尚樹の横にある出入り口の扉が開いた。

老婆だった。

ナースに導かれ診察室の中に入ってきた。

老婆は・・・

「このお人なら、私の息子を任せられます・・・」

尚樹はずっと唖然としたままであった。

 

その二十六につづく

 

 

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