異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その二十一』

2016年09月19日 22時45分36秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹は大学を苦渋を飲むような辛い思いをして、なんとか「卒業」したが、

精神疾患は「卒業」出来なかった。

尚樹は大学卒業後、一度入院しその入院の間に「生活保護」の申請をした。

卒業後は、生活保護を受けながらも、尚入退院しその家計は「火の車」だった。

尚樹は「金の掛からない遊び」と称して、卒業した大学にもぐっては、

講義を受講し、図書館にも通っていた。

しかし、尚樹の気持ちは「働いてない後ろめたさ」を全身で感じていた。

とはいえ、働ける精神の状態でも無かった。

その事を主治医に吐露することも一度では無かった。

 

その二十二に続く

 

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村

 

 

 

 


小説 『ボケ茄子の花 その二十』

2016年09月01日 22時04分38秒 | 小説『呆け茄子の花』

破産は弁護士には「日常」起こることだろうが、一般人には「非常時」だ。

尚樹は弁護士の言われるままに資料を集めたのだが、

資料が揃って、あとは弁護士が資料をまとめ、

裁判所に提出するだけだった。

尚樹と弁護士とは電話連絡だけで済んでいた。

「場合によっては、裁判所へ来ていただく必要があります。

もちろん私が同行しますし、難しい質問はされませんが、

心配しなくて良いですよ。」

尚樹には、西京地方裁判所に知人がいた。

尚樹は、今回の自己破産を知られるのを警戒した。

その旨も弁護士に告げたが、事もなげに弁護士は

「個人情報の流出は許されないので、その点も心配しなくていいですよ。」

結果が出るのは来年の1~3月の間と言われ、

尚樹は、内心「アバウトだな」と思いながらも、ただ静かに待つのみであった。

世間はもうクリスマスを終え、待ちは年末の雰囲気であった。