破産は弁護士には「日常」起こることだろうが、一般人には「非常時」だ。
尚樹は弁護士の言われるままに資料を集めたのだが、
資料が揃って、あとは弁護士が資料をまとめ、
裁判所に提出するだけだった。
尚樹と弁護士とは電話連絡だけで済んでいた。
「場合によっては、裁判所へ来ていただく必要があります。
もちろん私が同行しますし、難しい質問はされませんが、
心配しなくて良いですよ。」
尚樹には、西京地方裁判所に知人がいた。
尚樹は、今回の自己破産を知られるのを警戒した。
その旨も弁護士に告げたが、事もなげに弁護士は
「個人情報の流出は許されないので、その点も心配しなくていいですよ。」
結果が出るのは来年の1~3月の間と言われ、
尚樹は、内心「アバウトだな」と思いながらも、ただ静かに待つのみであった。
世間はもうクリスマスを終え、待ちは年末の雰囲気であった。