葬儀が終わり、次の出勤日が来て病院内で尚樹は「無職」になった。
それは「被支援者」が亡くなったからだ。
尚樹は亡くなったことで半ば空虚な気持ちになった。
それは尚樹の「トラウマ」を呼び起こす切っ掛けとなったからだ。
だが尚樹はそのことを主治医にも同僚にも語らなかった。
語ることで「トラウマのフラッシュバック」を自発的に起こしてしまう恐れがあったからだ。
これは当事者のプログラムで語って、その翌日の早朝に「フラッシュバック」で目覚め、
その後一週間ベッドから出られなかった経験が幾度かあったのである。
尚樹はその後このことを繰り返し体験することになる。
そしてこのことは、職場長に理解してもらえずトラブルを生むことになる。
その二十八 終わり