異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

異形の仲間たち見聞録 「こころストレスののはけ口・高揚感の果て・孤独感の穴埋めとしての借金、そして破産」-後編

2022年05月31日 00時29分03秒 | 異形の仲間たち見聞録
Aくんはテレビをよく見ていて、特に「演芸」「ドキュメント」などが大好きだ。特に「落語」は、その当時上方落語が隆盛期で特に「三代目 桂米朝」が大好きだった。まだ会社員だった頃は、「桂米朝独演会」や「桂米朝一門会」などに留まらず、他の一門の落語会にもよく足を運んでいた。だが、現状を考えるともちろんそんな余裕が無く、テレビで時々放映される演芸番組を番組表をにらみながら見つけるのだった。そんな日々を過ごしていて、「DVDレコーダーが欲しい」と思ったが、収入は今のところどんなに頑張っても「14万の壁」は越えられない。お金に恵まれている人間ならば「DVDレコーダーのひとつやふたつ」と思うかも知れないが、Aくんには大問題だ。そこで「総予算14万」は揺るがないので、削るところは「食費」だ。仕事場で食べる弁当だけは工夫して「一食200円未満」の弁当でやりくりし、朝/夕は「漬け物にご飯」という食生活。時には夕食抜きでグウグウ鳴る腹を抱えて寝る日も多かった。しかし、途中でしびれを切らして給料日が10日以上先にあるのに衝動的に買ってしまった。値段は¥36000ー。当時としてはまずまずの性能。ご飯も忘れて番組を予約し、DVDに焼いて楽しんでいた。上司からも番組の録画を頼まれるようになり、無給どころか生DVDは自腹でやっているくらいに没頭していたが「14万生活」を抜けるわけではなかった。そんな時、職場でのトラブルに巻き込まれ、会社を辞める羽目になった。会社に落ち度があるので「ささやかな退職金」と「支給されていた賃金の改ざん」をして『失業給付』は多くもらえる事になった。

さて、次の職探しは「コロナ禍」の果てに

異形の仲間たち見聞録 「こころストレスののはけ口・高揚感の果て・孤独感の穴埋めとしての借金、そして破産」-前編

2022年05月19日 23時04分26秒 | 異形の仲間たち見聞録
Aくんは30歳「双極性障害」との診断を受けており、本人も自分の行いを振り返って「そうなんだろうな」と淡く思っていたらしい。私自身は「Dr.による『刷り込み』」もあるのではないかと話していて感じた。彼は他の患者同様に「季節の移り変わり」、「気圧の変化」、「過去の嫌な記憶」に影響されて度々寝込んでいて、寝込むどころか「寝ていられない症状」というのも出てきて非常に精神的に追い詰められている様子が近くに居てよく分かった。ある時から顔を見なくなり、「どうやら自宅に引き籠もっているらしい」という患者間の情報で伝わってきた。症状は激烈であったらしくよってストレスはいかばかりか想像もつかなかった。その後、時々病院周辺に顔を出すようになり「以前の様に」とは行かないまでも会話は出来たが長い時間は疲れるらしく昼過ぎには自宅に帰っていった。
・・・数日経って、思い詰めた様子で話しかけてきた。「返せないくらい『借金』してしまって、どうにもならない。どうしようか…」という話しだった。私は「とりあえず、主治医に相談してみて」としか答えられなかったが、主治医は「診断書を後で書くから、まずは『法テラス』にいって弁護士に相談しなさい」と。Aくんは予約を取って町中にあるビルのワンフロアーにある「法テラス」で当番で来ていた女性弁護士に病気の事、それが元で「偽の出会い系」に引っかかってしまい、銀行・カード会社からそれぞれ限度額を引き出して、自分の「生活保護費」では返済できない事、それが元で病状が悪化している事などを「堰を切った」様に休む間もなく語った。弁護士は「そういうことなら、今後も無料で私の事務所で対応できますが、どうしますか?」と聞かれて、Aくんは話しをしていて自分に真摯に向き合ってくれる女性弁護士に好感が持てたので「お願いします」と今後のことは弁護士が所属する「✕✕第一法律事務所」にカード、請求の書面、通帳などを見せて借金の総額を弾き出してもらい、後はもうAくんは主治医にこのことを相談し「診断書」を書いてもらい、弁護士に提出、続けて生活保護課の担当者に決死の思いでいきさつを話したのだが、役所の担当者は難なく「そういう人は珍しくないので気になさらにでください。生活保護も引き続き給付しますので」とのことで、やや拍子抜けしたがAくんは「今後は『出会い系』に取り憑かれる前の生活に戻れるのではないか?」と徐々に気が楽になりつつあった。後日、弁護士から「自己破産が認められてAさんの債務は支払う必要が無くなりました。今後、請求があっても払わないでください。返すと『返済能力あり』と評価されてしまう可能性もありますので」とのことだった。Aくんはひとときの「悪夢」、「地獄」から解放された。
Aくんはとある会社に「障がい者雇用」で働いていて、やはり体調が悪い日は出勤が難しい。上司や経営者に理解があり、Aくんを責めたりはしなかった。それがAくんが自分を自分で責めてしまう原因の一つでもあったが、幾ばくかの収入はあった。月々4万~6万ほど。生活保護は14万認定されていたが、生活保護の制度上、彼の基準である14万を越えた収入分は生活保護費からカットされる。よって、月々の収入は14万を越えた事がない。そんな事もあって未来への不安、病気の不安、金銭の不安が相まって今回の「自己破産の顛末」になったわけで、生活保護課の担当に「よくあることです。」と、言われたことを思い出して「あぁ、似たような人が居るんだな」とようやく周りを見渡せる気持ちになったようであった。Aくんの今後の課題は「14万との付き合い方」だろう。

・・・次回に続く







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異形の仲間たち見聞録 「真意?虚言?言葉の中から探り出す心の言葉」

2022年05月07日 00時21分00秒 | 異形の仲間たち見聞録
私がその老人に出会ったのは病院の外の施設であるグループホームでした。最初は「好々爺」といった感じだったのですが、他の職員は「✕✕さんはウソばっかり言って」というのが日常茶飯事の話になっていました。その上、「わがままばっかり言って」という話しも…。そんな話しを耳にする前に接したのですが、初回、二度、三度と会うたびに「ん!やっぱり噂は本当か!?」と思いました。それが一ヶ月、三ヶ月経つと、確かに都合の悪いことからは逃げるし、てきとうな嘘もつく、発言も二転三転して責任者や支援員を戸惑わせていました。私が全てを見通しているわけではありませんが、「さすがに全部うそじゃあないだろ」と思うわけです。しかし、今まで散々振り回されてきた支援員は「全部ウソ!」というわけです。まぁ「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」てなもんです。もうその老人という本人は見えなくなっていて「嘘つきな老人という虚人」を作って非難しているだけのように見えました。
・・・これはですね、「障害者支援員」として、よくよく観察して「虚言の真意」を見極める必要があると思いました。また、それは障害名は違いますが精神障害を背負ったもの同士の「嗅覚」を存分に発揮して支援すべきと思いました。そんなわけで、「満腹感」、「身体的苦痛」は虚言。「女性関係(相手は二十代でした 汗)」、「金銭問題(生活保護だったので障害者同士の貸し借りはあった)」はホント。やっぱり、その「嗅ぎ分け」が必要だと実感した一件でした。その方も、もう3年前ほどに老人保養施設で鬼籍に入られたことを病院の電子カルテ(電カル)で確認して心の中で合掌した次第です。



全ての人に人生/スト-リーはある!
侮るなかれ!






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異形の仲間たち見聞録 「後もう少し、後もう少し…首が回らず、その果てに」

2022年05月02日 02時20分47秒 | 異形の仲間たち見聞録
人間行き詰まっても「まだ行ける、まだ行ける」と言い聞かせて続けてしまうのですが、もー「万事休す」といった場面に直面しても、まだまだ「まだ行ける、まだ行ける」で、私が病院で知り合った会社の社長さんで『双極性障害(そう/うつ病)』の方は行き詰まって自死してしまいました。南無三…
人間の心理なんでしょうね「止め時」を見極められない、自分を第三者的に見られなくなった状態。「地獄の入り口」では、まだ後戻りできる目を持って居たんでしょうが、やはり「まだ行ける、まだ行ける」なのであります。
会社経営であろうが、博打であろうが、ネット云々だろうが同じですわな。『止め時』。これを解明できればノーベル賞モノかもしれません。
ちなみに一説によれば「博打(ばくち)」というのは「場(ば)で朽ちる(くちる)」で『博打(ばくち)』である、という戒めなのでもあるのでしょうが…。

すべては「止め時」、「客観視」。









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