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埼玉県の教育委員会のサイトにも既に紹介されていることですが、今、
23年度の「不登校児童生徒支援のための官民連携会議」なるものが持たれています。興味のある方は幾つかのPDFファイルがアップされ、会議の趣旨やメンバーなどが紹介されているから眺めてみるといいでしょう。因みに前回は何かの悪戯(?)で外されていましたが、今回はメンバーの一人として私も参加しています。
思えば、埼玉県の教育委員会が急増する不登校の対策を初めて打ち出して民間に協力を依頼した時も、私は会議のメンバーとしてだけでなく、運動の立ち上げにも関わっていました。まだ教育カウンセラーや相談員のシステムが整う前にも、例えば県内の保健所の職員たちを対象に不登校や引きこもりに関する講演をしたこともありました。
▼では、
埼玉県の不登校の現在はどうなっているのかと言いいますと、おおよそ次のようなデータが公表されています。
平成21年度の不登校児童生徒数のデータですが、
小学校1,036人(前年度比101人減)
中学校5,509人(前年度比311人減)
で、
合計約6千500人の不登校生が存在することになります。
「不登校」という呼称はかなり曖昧な言い方なのですが、一般的に小学校や中学校の義務教育段階にある児童生徒のうち、欠席日数が年間30日以上」(長期欠席)で、かつ、「病気」「経済的理由」「その他」に該当しない者を指します。だから、なるべく不登校生とカウントしたくない学校では、一月に一度、出来れば一週間に一度くらい生徒の気持ちに関係なく学校に足を向けるように促します。そして、生徒が一度でも学校に来れば、その子は不登校とは換算されないのです。しかし、こういう姑息な手段では見せかけの不登校はなくなっても、本当に不登校の児童生徒にとっての対策は放棄されていることになります。でも、残念ながら
教育界にはこういう統計・数値のマジックが至る所にあるのが現状です。
▼そのため埼玉県では、
「総合的な不登校対策」が様々な形で試みられています。でも、私たち民間教育に携わる側からすると、対策に注ぐ物的&人的費用に見合った成果はあがっているようには見えません。教職員の努力にかかわらず不登校となった生徒は基本的には学校教育には参加しなくなっているのですから。
▼そこで、
東京都のチャレンジスクールの試みにならって埼玉県に誕生したのがパレットスクールです。現在、戸田翔陽高校、狭山緑陽高校、吹上秋桜高校の3校があります。
既存の定時制高校を統廃合した多部性総合学科の単位制高校です。しかし、これには利用者側から賛否両論があります。定時制の魅力が失われる、定時制の機能を十全に果たすことが出来るのか…など。民間教育の側から見ると、やはりそれは
官製の間に合わせの受け皿に見えるわけです。
どこまで不登校の子どもたちの思いに応えているだろうかと。
▼教育行政の側から
「官民連携」と言うことを提案するようになったのは、注入する費用に見合った成果が上がらないことに対する焦りもあるのかも知れませんが、一つの前向きの姿勢ではあります。しかし、民間の側から見るならば、こちら側からの要望に対してはまともに取り上げようとせず自分たちの都合ばかりで提案してくる、教育行政の側のいつものパターンだというようにも映ります。
不登校となったご家庭で一番困難に直面するのは何よりも経済問題であって、教育問題はその次なのです。経済的にゆとりがあり、親子で自由に本人に適した学びの場を選択することができるなら、保護者はそれほど不安がる必要はないのです。
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経済格差が教育格差に連動し、学校を離れることが教育棄民になることに連動しているのが現状です。でも、教育行政ではそういう教育の根幹、システムの可否に関することには殆ど耳を傾けようとしないのは今も昔もあまり変わりありません。しかし、折角の官民連携です。不登校のお子さんのいらっしゃるご家庭の思いに沿った道が開かれるよう努力して行きたいと思います。
たとえば、
教育バウチャー制度も案の一つですが、行政が「官民連携」というのであれば、教育行政に都合のいい「学校復帰」ばかりを働きかけず、
学校を離れた子どもたちとは言え勉強することは放棄しているわけではないのですから、義務教育は無償ということで学校に支払われている教育公費の何割かでも不登校になった子どものいる家庭やそういう子どもたちが通いたがっている民間のフリースクール等に支払われるようになって行くならば、大きな教育の進展につながっていくのではないかと思っています。
◆現在、参加しているのは次のメンバーです。
実際の開催に当たっては、できるだけの公平を目指したいと思います。
※会議メンバー
(1)フリースクール等活動団体(3団体)
① 財団法人こども教育支援財団 さいたま分室
② 特定非営利活動法人彩星学舎
③ フリースクール・ぱいでぃあ(NPO法人教育ネットワーク・ニコラ内)
(2)保護者代表(3団体)
① 埼玉県PTA連合会
② 不登校・ひきこもりを考える埼玉県連絡会
③ 不登校生の親の会 ココット
(3)埼玉県教育委員会(1名)
▼今後、状況の変化を見ながら、適宜報告していきたいと思います。
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