昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

新星のスペクトル

2013-09-10 09:09:39 | 天体観測

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先月発見されたいるか座新星ですが、望遠鏡で見ていると最初は青っぽかったのが、減光するにつれて赤っぽく変化していく様子がわかりました。数日で色の変化が観測できるというのもなかなか興味深いです。

さて、この新星を分光観測するとスペクトルが変化していく様子がよくわかります。最初の明るいときは一般的な恒星と同様の連続スペクトルがほとんどですが、その中に水素のHα線が輝線スペクトルとして現れています。それから減光が進むにつれて連続スペクトルが弱くなり、対して水素のHβやHγ線、FeⅡ、OⅠなどいろいろな輝線スペクトルが現れてきました。

あともう一つ新星のスペクトルを紹介します。ベテランの方は懐かしいと思うかも知れませんが、1975年のはくちょう座新星です。これはsuzuがコダック103aFというフィルムで撮影したものですが、こちらも減光するにつれて水素の輝線スペクトルがはっきりと出てくる様子をとらえています。特にHα線は当時は103aシリーズを使わないと写らなかったでしょう。

分光観測は機材や解析などのノウハウが少ないためアマチュアでは未だマイナーな分野なですが、デジタル機器やソフトの発達によって少しずつ普及してくるのではないかと思います。(kon)

画像上:いるか座新星のスペクトル
画像下:1975年のはくちょう座新星のスペクトル