昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

ディープフィールド

2013-10-28 09:56:21 | 天体観測

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ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡といった高性能望遠鏡は100億光年以上かなたの天体をとらえてさまざまな観測成果を発表していますが、私たちアマチュアが使える望遠鏡ではどれくらいまで遠くの天体をとらえることができるのでしょうか。

先日ですが、アイソン彗星の撮影をする前に2つほどとても遠い天体を撮影してみました。

最初の画像は普通の恒星に見えますが、これはさんかく座のあるクエーサー3C48で、明るさは16等星。この天体は秒速10万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、ハッブルの法則を使って距離を求めると何と44億光年かなたにあります。CCDのセンサーがとらえられたクエーサーの光は地球が誕生して間もないころのものです。

今度はおおぐま座の方を見てみましょう。銀河のそばに16等星の2つの恒星が並んでいるように見えるところがありますが、実は遠方のクエーサーが手前の銀河による重力レンズ効果で2つに分かれた姿です。この天体はツインクエーサーと呼ばれ、重力レンズによって天体像が影響を受けたことを初めて確認した天体でもあります。重力レンズによって拡大されたり、ゆがんだ銀河の画像はハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたものはおなじみですが、筆者が持っている機材でもはっきり写ったことには驚きました。

さらにびっくりしたのはクエーサーの距離で、秒速21万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、その距離を求めると何と93億光年かなたにあります。さっきの3C48の倍以上も遠くにあるということになります。ここまで来ると100億光年までもう一息です。

この画像を見ると、アマチュアでも宇宙への扉は開かれているのだなとつくづく感じました。(kon)

画像上:さんかく座のクエーサー3C48
画像下:おおぐま座のツインクエーサーQ0957+561
いずれも 口径16cmアストロカメラ+冷却CCDで撮影・処理