ゴールデンウィークの頃に遡りますが、自宅でりょうけん座の球状星団M3を7時間にわたり撮影していました。M3は天体撮影では人気がある球状星団でおなじみですが、この中に変光星が結構あることをご存じでしょうか。今回は球状星団内の変光星を実際に観測して確かめることです。
12.5cm屈折望遠鏡+冷却CCDで撮影した画像を天体画像処理ソフトのブリンク(切替)機能を使って明るさが変わっている星を探し、見つかったら、比較星と変光星のカウント値から変光星の光度を求め、それをグラフにしていきます。光度計算とグラフ化作業はエクセルを使いました。
その結果ですが、測定値のばらつきが出ているものの、画像のようにおよそ0.2日の変光周期を持つ変光星がいくつか確認できました。この変光星は現在では短周期のこと座RR型変光星ということが分かっています。ケフェイドの一種なので、変光周期から絶対光度が求められることから天体の距離測定に活用されています。
天体用冷却CCDカメラは少々特殊とはいえ、手持ちの機材とソフトを活用することでアマチュアでも数万光年先の変光星を観測できることはデジタル時代の恩恵の一つなのかも知れません。また昨今の科学館や公開天文施設でも機材を持っているところがあるので、天文学を体験実習するワークショップ用教材としても使えそうです。(kon)
画像:球状星団M3内の変光星の光度変化