前回紹介した天体スペクトル(分光)観測入門キットについて、おかげさまで最初のロットが完売しました。購入していただいたみなさまにはお礼と今後の活用を期待しています。なお、次のロット分はオーダー中なので少しお時間をいただければ幸いです。
今日は、なぜこの製品を出してみようかということについて述べてみたいと思います。
筆者が天体スペクトルを観測するようになったのは割と最近のほうで、それまでは本格的な分光器と学術用の解析ソフトが必要と思っていたところ、2012年スカイ&テレスコープ誌で分光観測入門記事を見つけました。英語なので大筋を読む感じでしたが、簡易な機材と方法ながらいろいろな天体スペクトルから果てはクエーサーの赤方偏移から距離を求めるなど、宇宙の図鑑で書かれていた内容のかなりのところが自分が持っている機材を使って確かめられることに興味を覚えさっそくやってみることにしました。実はその記事を書いていたのが解析ソフトの作者でもあるTom Fieldさんで、彼は天体スペクトル観測の普及に努めており、RSpecは入門向けのスペクトル解析ソフトがない中で貴重な存在でした。
観測を始めてみた最初の頃はすでに分かっていることを追認するということでしたが、こうした観測プロセスを得て現在の天文学が成り立っているわけですからその体験を自身の観測でできるだけでも感動したものです。他にもいるか座新星、アイソン彗星、系外銀河の超新星といった突発的な天文現象においても威力を発揮しスペクトル観測の魅力にはまったわけです。そうした中で新たな製品の企画をしているときにこのようなツールを扱ってみたら面白そうと考えてみました。しかし現在のアマチュア向け天文市場は撮影が中心で正直ヒットするかと言われれば迷うところで、さりとて他社と同じことをしてもどうなのだろうと考えた上で販売に踏み切りました。これはRSpecが日本語対応にできたことが大きいと思います。あと売りっぱなしにもできないと思ったので半ば独学になりましたが「はじめての分光観測」というガイドも作り付属させましたので少なくとも筆者がこれまでやってきたくらいの観測はなんとかやっていただけるのではと思います。
本製品は天文アマチュアの観測活動だけでなく、天文施設を持つ科学館や博物館でのワークショップや中学・高校等の天文教育活動にもお勧めしたいという狙いもございますのでご用命お待ちしています。
あらためてですが本製品が、みなさまの宇宙への興味と探究、そして感動の一助となることを願ってやみません。(kon)
製品紹介は下記にアクセスしてください。
http://gototelesco.co.jp/spectroscopy_kit.html