熊本地震】広がる震源域、その意味は 地震600回超、熊本南部も警戒呼びかけ
今月14日に熊本県益城町(ましきまち)で震度7を記録したマグニチュード(M)6・5の「前震」をきっかけに、16日にはM7・3の「本震」が発生したほか、大分県でもM5・3の地震などが起きるなど、大規模な地震が相次いでいる。特に本震以降、熊本県南部を震源とする地震も相次ぎ、19日夕には同県八代市で震度5強を記録。震度1以上の地震は630回以上を観測し、震源域は徐々に広がっており、専門家は複数の活断層の活発化による誘発が原因とみて、注意を呼びかけている。
気象庁などによると、14日の前震は、熊本県中央域を北東-南西方向に走る「日奈久(ひなぐ)断層帯」の北側が震源。15日にも同断層帯でM6・4の地震が発生するなど、周辺で続発した。
16日午前1時25分発生の本震は、日奈久北側の「布田川(ふたがわ)断層帯」が震源で、熊本市などで震度6強を観測。約2時間半後には、阿蘇地方でM5・8、同日午前7時11分ごろには大分県の「別府-万年山(はねやま)断層帯」でもM5・3の地震があった。
一方で16日以降、熊本県南部の八代市付近を震源とする地震も相次いで発生。日奈久断層帯を沿うように起きており、地震域が拡大している。
この理由について、遠田晋次・東北大教授は「前震と本震を起こした2つの断層帯が、周囲の地震を誘発している」との見方を示す。
また、梅田康弘・京都大名誉教授は「活火山の阿蘇山があり、温泉地があるような地熱が高く、断層がもろい地域にみられる特有の現象だ」と解説する。
震度1以上が630回を超え、平成7年以降に内陸や沿岸部で起きた同規模の地震と比べると、余震回数は平成16年の新潟県中越地震に次ぐペース。7年の阪神大震災では2日目から余震活動が収まり、100回未満で推移しており、熊本、大分の地震は大きく異なっている。
国の想定では、熊本県南部ではM7クラスの地震が起こるとされており、日本地震学会の加藤照之会長は「特に今回の地震の震源断層の延長上にある熊本南部で、地震活動が高まることがある」と指摘し、注意を促している。