心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・4

2016-05-14 15:31:28 | あの日見た夢


本当は飛び出すつもりなんかなかった

それなのにアイツったら

今思い出しても何度もムカつく

大体何が原因だったのかすら思い出せない

それでも裸足でなかったのは幸いした

まだ肌寒い日が続いていた季節

とりあえず

身の回りの必要なものは持って出たつもりだったけど

あの日あの場所で花(はな)に出会わなければ

今ごろあたしはどうしていただろう

大きな眼鏡が印象的で、

つい声をかけてしまったのだった

眼鏡のなかの大きな目は、注意深げに見つめていた

何故かどこかで会ったことのある

懐かしさを感じたのだった

この街には初めて来たと言っていたが

あたしには確かに遠い昔会ったことのある

不思議な確信があったのだった



あの日見た夢・・・3

2015-03-05 14:05:38 | あの日見た夢


なおが突然言い出したには訳があった

何年か一緒に暮らしていた男と大喧嘩をして

啖呵を切って家を出てきたところだった

大きな事を言った手前

男のところへ戻るとこも出来ず

とりあえず、住む場所を探しに出てきたところ

私が目に留まったらしい

何故か

この子なら簡単に承諾するだろうと思ったらしい

私にとっては、

よかったのか悪かったのかいまだによくわからない

簡単に承諾すると思われたところが

なんだか腹立たしかったが

私には何も言い返せるすべがなかった


なおは、

名前にもあるように“素直”な決して嘘のない性格で

言いたいことは隠さずに言う

そこがいい時も悪い時もあるが、

その強気な面が裏目に出て

随分ひどい別れかたをしたようだった












あの日見た夢・・・2

2015-01-30 23:32:02 | あの日見た夢

直(なお)に出会ったのは窓ガラスの前

部屋を借りるために見つめていた不動産屋の窓ガラス

後ろから突然声を掛けられた

驚く私に綺麗な微笑みを浮かべて

もっと驚くような事を言い出したのだ

「もしよかったら一緒に住まない?」って

突然の事にぽかんとしている私に

ますますにこやかに微笑むと

「驚かせてご免なさいね、変だと思うわよね

でもほら、一人で住むとなると

狭苦しい部屋しか借りれないでしょ?

でも二人でシェアしたら

ちゃんとしたキッチンだとか

あ、家賃も割安になるしいいと思わない?」

知り合いでもなく、しかもたった今

ここで出会ったばかりの人間に向かって

何て事を言い出すんだ?って

怪し過ぎるやろ?って

私はその時固まったまま

何も返す言葉が出て来なかった

呆気にとられている私に

とりあえずお茶でもどう?

まるで一昔前のナンパ男のごとく

私の手を軽く引っ張り

近くのカフェへ入ったのだった





あの日見た夢・・・1

2015-01-29 15:21:29 | あの日見た夢

いやな気分がまだ残っている

何となく体がだるい

今日は何もしたくない気分

何度も見たことがある風景

いつだったか 

確かに来たことがある場所

でも、どうしても思い出せず

自分にいらつく

夢・・・か


・・・あ、なお?

あ、じゃないでしょう?

どうしたの?さっきから呼んでるのに

もう時間ないんじゃないの?早く行きなよ

うん・・・

今日はサボろっかな、頭痛いし


またそんなこと言ってる

サボってたら、いつまでたっても達成できないよ

なんかやりたい事があるんでしょ

いつもそう言ってるじゃん


それはそうとあんたさ

なんか嫌な夢でも見てた?

さっき苦しそうに寝言みたいなの

ぶつぶつ言ってたよ

何よ、それ

苦しそうって知ってたんなら

そういう時は起こしてよね

だって、

寝言とかそういうのに付き合っちゃだめって

いつだったか誰かに聞いたような気がする

おばあちゃんだったっけな・・・


そうなの?ま、いいや

とにかく行ってくる



うん、気をつけて今夜はあたし遅くなるから

鍵、閉めて先寝てくれていいよ



わかった・・・

じゃあ行ってくるね


わたし、花と

あたし、直のよくあるいつもの会話だった