やばい、朝帰りなんて
やばすぎる
昨夜ゲンさんの店へ行った
そこで知らない男の人と意気投合して
飲みすぎた
しかも、一夜を共に・・・
いやいやいや
まさか、あんなこと・・・
考えると身体が熱くなる
あの人最近越してきたっていうてたけど
その割にやたらこの辺りに詳しかったな
優しい目で見つめられて
すっかりその気になってしまった
ゲンさんは、ダメだよって目で促してくれたけど
なぜか言われるがままに一緒に店を出てしまった
初めて入ったはずの部屋なのに
とても居心地が良くて
気がついたら朝まで何度も求めあった
声・・・
その人はとても良い声をしていた
少し低めの落ち着いた声
部屋へ戻って来た時
私の部屋の前には警察官が二人
小田切 花さんでいらっしゃいますか?
え?え?なに?なに?
はい、そうですが
心臓がドキドキした
警察官に何か聞かれるような事はしていないのに
こんな時は、冷静ではいられない
桐生 直さんをご存知ですね?
訝しげな目で私を見ると
若い方の人がそう言った
その後続けて
訳のわからないことを話し出した
なおが、刺されて重傷を負っていると
幸い命には別状はないそうだが
刺した男の行方は分からず
もしかしたらまだこの辺りを
うろついているかもしれないと
入院している病院を教えてくれたが
一人で出歩かない方がいい
と、言っている
すぐにでも飛んで行きたかった
どういうこと?
なおは実家に行ったはず?
昨日は、朝からいろんなことが起きた
資料集めのために行くはずだった
図書館にも行けなかったし
携帯新しく買わないとあかんし
挙げ句の果てに、行きずりの・・・
ああ、あかんヤツやん
私の頭の中は混乱していてた
なお・・・大丈夫かな?
早く病院行きたいな
刺した男・・・
誰やろ、知り合いか?
あ、もしかしてなおと別れた男か?
そんな筈ないよね
でも、私はその人の顔知らないし
私がよく見る夢の中にも
私たちを狙って
刺そうとしてくる男がいる
あの男・・・
どんな顔してたっけ?
思い出そうとしても思い出せない
顔はいつもはっきり見えず
手に持っている刃物だけが印象深い