はな…助けて
なおの苦しそうな声に飛び起きた
なお、なお、
何度か声をかけると
目に涙を浮かべたなおが目を開けた
あぁ 怖かった
夢を見たのよ
前にも話したことあったでしょ
忍者に襲われた夢の話
この間見た時よりもリアルだったわ
これは現実なのか夢なのかわからない感覚
暗がりをあんたと一緒に逃げ回る
静かに後をつけてくる何かが
襲ってくる感じ
今でもまだここら辺に…
と言いながら肩の辺りを手で触るはな
私と同じだ
私もあの夢を見た後は
いつまでも肩のあたりに違和感を感じる
私は信じてもらえないと思いながらも
同じ夢を今までに何度も見た事を
なおに打ち明けることにした
神妙な顔で私の話を聞いていたはな
暗がりを見つめたままじっと聞いてくれている
時々目を大きく見開いたり
大きく頷いたり
今夜みたいに綺麗な月が辺りを照らす夜に
何かがやってくるのだと
言い終わると
ねぇ、はな、
あたし なんとなくなんだけど
思い出した事があるんだ
ううん、いや、違うな
いや、違わないか…
何を言おうとしているのか
なおは何度か頭を横に振って
それから確信したように頷きこう切り出した
あのさ、あたしのここ
刺した男
今見た夢に出てきた忍者だわ
うん、間違いない
今夜は、はっきり顔が見えた気がする
あんたがあたしと同じ夢を見てたなんて
信じられないけど
ううん、でも世の中にはそんな事もあるのかも
あってもおかしくないのかも
なんて思う
よくわからないけど
信じられない気がするけど
何かあるのかもしれないね
アイツが出てきたのも
なにか意味があるのかもしれない
それから、今更なんだけど
はな、あんたを初めて見た日
あの不動産屋のガラス窓の所ね
あの時本当に思ったんだ
あんたに何処かで会った事あるって
何かわからないけど親密感というのか
知らない人なのに知ってる人だと
そんな感じがあったんだ
だから自分でも
なぜだかわからないけど
気がついたら声をかけていたのよ
ふふ、信じないだろうけどね
そんな風に静かに笑いながら
なおは微笑んでいた