私が最初にドリンク剤を飲んだのは、もう20年以上前だった。
まだ会社に勤めている時で,社内の男性が「疲れている時はこれを飲めば、一発で効く」と言ってたのを聞いたからである。
当時はドリンク剤というと脂ぎったオジサン達が飲むものというイメージだったが、風邪気味なのに、どうしても会社を休めなかった私は、手軽なドリンク剤にすがろうとした。
一軒目に行った古い店構えの薬局では奥から白衣を着た品の良い老婦人が出て来て「どなたが、お飲みになるのですか」っと聞かれた。
「私です」と言うと彼女は「お嬢さんがそんなもの、飲むものじゃありません。
これにしなさい」とアンプルに入った薬を渡してくれた。
仕方なくそれを買ったものの、何となく頼りない感じがする。やはり、「これは一発で効く」というドリンク剤が欲しくてたまらず、ほかの薬局に行って「頼まれました」と嘘をついて買ってきてしまった。
その夜、胸をドキドキさせながら、グイっとドリンク剤を飲んで寝た。
次の朝、起きてみると沢山の汗が出ていて気分がスッキリ!!
風邪の鬱陶しい気分が吹き飛んでしまったのである。
私はこれは凄いと感心し、体調が悪いのに勤めに行かなければならない共稼ぎの主婦の友人に勧めた。
早速、彼女もドリンク剤を購入し、グイっと飲んで寝た。
いい気分で寝ていると、突然、体を揺すられ、「おい!どうしたんだ!」と言う夫の声が耳元で聞こえた。
はっとして起きると彼は怯えた顔をして彼女の顔をじっと見つめている。
ねぼこまなこで鏡を見てみると、何と寝ていた彼女の両方の鼻の穴からは、血がたらっと流れていたというのである。
私はこの話を聞いて、白衣の老婦人の「お嬢さんが、こんなもの、飲むもんじゃありません」という言葉を思い出した。
しかし、それ以降も鼻血事件が頭をよぎるのだが仕事が終わらない時はどうしてもドリンク剤のお世話になってしまう。
こんなことじゃ、いけないと思うのだが、あまりに効果が絶大なので、わかっちゃいるけどやめられないのである。
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