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核廃絶は現実的選択・2017年ノーベル平和賞は「ICAN」

2017年12月11日 | 社会のニュースを考える


ノーベル平和賞の授賞式で演説するサーロー節子さん=AP


「核廃絶」は理想論なのか 平和賞のICANは問う
(朝日新聞2017年12月11日)
 ノーベル平和賞の授賞式で10日、受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN〈アイキャン〉)のベアトリス・フィン事務局長(35)と、カナダ在住の被爆者のサーロー節子さん(85)による講演は、世界にはびこる「核抑止」の考え方からの脱却を明確に求めるものだった。

 フィンさんは、安全保障よりも、核兵器が使われた際にもたらされる「想像を越える規模」の非人道的影響について、最も問題視するべきだと強調した。

 それを実例として補強したのがサーローさんの被爆証言だ。がれきの中からはい出して目にした惨状を「肉や皮が体から垂れ下がっている人たち」などと生々しい表現で語った。

 核の危機は過去のものとは言い切れない。フィンさんは、北朝鮮の核開発などを念頭に「核兵器が使われるリスクは、今日、冷戦が終わった時よりも大きくなっている」と指摘。核兵器は誤って使用される可能性があり、その「恐怖」の下での生活を避ける「自由」を取り戻し、今とは違う「未来」が可能だと三つのキーワードを使って訴えた。

 こうした考え方は「理想論」と否定されがちだ。だが、ICANは、核兵器を別の核兵器で押さえ込む「核抑止」から生まれる恐怖の均衡状態が、本当に現実的なのかと問いかける。むしろ、核禁条約で核兵器を倫理的にも法的にも「絶対悪」と認め合うことで各国が核を使わず、核を減らしていく方が現実的な道ではないかとの考えだ。

 1974年、非核三原則など核不拡散への取り組みが評価され、佐藤栄作元首相は日本人で初めてノーベル平和賞を受賞した。オスロでの講演で佐藤氏は、日米安全保障条約を通した集団安全保障の重要性を訴えた。米国の「核の傘」「核抑止」に頼るということだ。日本政府は今も、この姿勢は崩さず、核禁条約には否定的だ。

 それから43年。ノーベル平和賞の受賞講演で、初めて被爆者として登壇したサーローさんは、日本など「核の傘」の下に身を置く国々に、核禁条約へ歩み寄るよう強く求めた。サーローさんとフィンさんは、核禁条約を「暗い時代の光」と表現した。それは、サーローさんが被爆して、がれきからはい出すときに見た「光」にもなぞらえた。(オスロ=松尾一郎)



核は必要悪、抑止力という考え方には、一定の説得力はありますが、お互いに自滅の道に行くから使えない、という理性を伴った大前提のもとでの説得力です。
万が一、自暴自棄になった為政者や頭のおかしい為政者、核を管理するシステムの何かの誤作動のせいで、一方的に使われてしまった時は、抑止力もへったくれもなくなります。
核には核、という姿勢では、万が一の時、罪のない沢山の命(人間だけでない)が、その2倍奪われるだけです。

くわえて万が一のときは、核を使ってもかまわないと思っている人間だって、現実にいるということを忘れてはなりません。
ロシアのプーチンはクリミア併合の時、「核を準備していた」などと、しれっとのたまっていたし。
自分の意に沿わない人間は身内でも簡単に粛清・暗殺する北朝鮮の3代目。とか、世界で最も宗教的にナーバスで危険な場所・エルサレムを安直にイスラエルの首都承認するという、ばかな米大統領が現実に存在している今、「抑止力」なんて言ったって、そのハードルを簡単に飛び越えてしまう可能性だってあるかもしれない。

また、映画「ターミネーター」では、コンピューターが暴走し世界の主要都市に核攻撃をしはじめた。
AI(人工知能)に依存する社会にすでに足を踏み入れてしまった昨今、悪意のある者にそれらが利用されだした時、映画の世界だと思っていた事が絵空事ではなくなってくるのではないか。

「核は絶対悪」と認めて人類は善なる方向へと行かないと、未来がなくなる。と、強く思います。


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