もう決して失敗は許されない。
しつけ教室を受講することにした。
ドッグ○○という、おだやかな名前の教室だった。
行ってみてすぐに、早くもわたしは後悔していた。
暗い雰囲気に、抑圧されているような犬たち。
(ケージにカバーがかけられていたので詳細はわからなかったが)
近くの公園まで歩いたが、度々命令口調の罵声が飛んでくる。
「匂いを嗅いでいいと言うまで、匂いをかがせるな!」と言う。
力いっぱいリードを引いてショックを与え、
「犬の首なんかいくらショックを与えても折れやしない」とニヤニヤ笑いながら言う。
わたしの方がショックだった。
「犬の祖先は狼だ!あんたは群れのリーダーだ!舐められるな!」と言う。
「餌も人間の食事が終わるまで待たせて、最後の最後だ!」
「忘れてるくらいでちょうどいい」
「テーブルの上に上がって貪り食うようになるんだよ!」
今、こうして書いているだけで気分が悪くなる。
犬を痛めつけるためにいるのか、この人は。
ボニーは素晴らしい子なのだ。
実際、美点だらけの子だった。
ボニーは自分のものでないものには一切、手を出さない。
それはもう見事なくらい、ノータッチなのだ。
いたずらも何もしない。
それは目を離そうが外出しようが何も変わらない。
自分の分というものを弁えているというか…
それは誰に教わったというのでなく、天性のものだと思われる。
崇高な心…と言ったら言い過ぎだろうか、しかし、そんな思いにかられる。
ボニーに向かって話かけると、わたしの目を見て、静かに、じっと聞いている。
理解しようとしているのだ。
わたしの願いは、怪我をしないで散歩できるようになりたい、ただそれだけだった。
それすら、ボニーがもうちょっと小柄であれば問題ないのだった。
「次回来るまでに練習してこい!」
と言われたが、二度と行くことはなかった。