2年半続けてきた抗がん剤治療が終わってしまった
がんは大きくなっていて
治療の効果はなくなったと判定されたのだった
この後は(ほとんど期待のできない)遺伝子検査に望みをつなぐことになる
気弱になった夫は次回の診察に付いてきてほしいと言う
もうわたしを罵る夫はいなくなり
今ここには 体も心も弱った夫がいるだけ
夫は家では 寝るかテレビを観るかだけの人だった
それは今でも変わらないけれど
それが言葉だけでも わたしをいたわってくれるようになった
バタバタと常に動いているわたしを知らなかったのだろう
「ここに来て 少しは休んだら?」 と言う
家の中の仕事は常にすることがあり
それでも今は2人分の家事をしているだけ
それと 夫の仕事の一部と家や庭の手入れや諸々
力仕事などもあるけれど
あの子育ての日々を思うと1/10も働いていない
いろいろ思うことはあるけれど
40年以上も一緒にいてくれている いちばん大切な人
血のつながりなどではない 一緒にいること
できることは ただそれだけ
それだけのために 今わたしは生きている