愛しのボニー

元保護犬
2020年9月21日没(推定10歳)
ラブラドール・レトリバーのボニーの思い出

記憶

2020-11-19 20:20:45 | 思い出

一緒に暮らすようになっても車の音に耳を澄ませるのは変わらなかった。

 

それが変わったのは1年たった頃か。

もうお迎えは来ない、自分の家はここなのだとわかってくれたようだった。

 

ボニーはお散歩終わりに立ち寄る場所があって、いつもそこで伏せて夕陽を見ていた。

オレンジの夕陽はどこか寂しくて、わたしにはボニーが物思いに耽っているように見えた。

元の飼い主さんのことでも思い出しているのかな、と思ったりした。

 

ボニーの背中の毛は稲妻のように走って、キラキラと輝いていた。

ボニーはとても美しかった。

 

 

 

 

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家族

2020-11-19 13:21:49 | 思い出

毎日毎日、へとへとになるまで散歩して、ボニーのご飯を作る。

毎日がいっぱいいっぱいだった。

でも充実していて…本当に幸せだった。

 

初めは犬と暮らすことに賛成していなかった夫も、ボニーを大好きになった。

それはそうだろう。

深夜に帰ってくる夫を必ず出迎えていたのがボニーだ。

太いしっぽをバタバタ振って、大喜びでお出迎え。

うれしくないわけがない。

そしてボニーは食べ物をねだるのが上手だった。

どうもボニーにとって自分の主人=男性のようだ。

夫には愛想を振りまくがわたしには…?

 

最初は「こんな大きな犬を家の中で飼うつもりか!?」と言っていた夫だったが、ずいぶんと変わった。

週1のシャンプーも夫の仕事になった。

そして、休みの日となれば家から車で1時間ほどかかる自然いっぱいのN公園へ連れて行き、目いっぱい遊んだ。

夫の休みはボニーの相手で終わったが、それで楽しそうだった。

 

 

 

 

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散歩

2020-11-16 14:16:24 | 思い出

散歩は日に3回行っていた。

 

散歩時の興奮を少しでも抑え、分散できないかと考えてのことだった。

効果はあまり見られず、毎回大興奮だった。

毎日3時間。1万5千歩は歩いていたと思う。

8日間で丸一日歩いたことになるのだなぁ…と考えたりした。

 

それでも、とことん付きあった。

犬の楽しみといったら散歩と食事くらいだから。

 

わたしが、如何にも…の素人散歩をしているせいか、見知らぬ通りすがりの人に忠告(?)されることが度々あった。

「散歩のコースは飼い主が決めるのよ。犬の行きたい方へ行くんじゃないの!」

「雨が降ってるのに散歩させて…かわいそう」

「ちゃんと着いて歩かせなきゃダメ!」

 

わたしはボニーのために散歩しているので、ボニーが楽しければわたしも楽しいのだった。

それで怪我さえしなければすべてOKだ。

 

 

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ことば

2020-11-13 15:51:55 | 思い出

自分なりのやり方でやっていこうと決めたが、相も変わらず引っ張られ散歩だった。

 

ある時、ネット上で

「犬と不毛な綱引きをしていないか」

という問いかけを見た。

たとえば、犬が木に繋がれているとき、犬は引っ張るだろうか。

犬が引っ張る、引っ張られまいとして飼い主が引っ張る。

さらに犬が引っ張る――

それが不毛な綱引きというものらしい。

 

たしかに、所用で立ち止まっているときにはじっとしていられるのだ。

(それでも興味をひかれたものにはガッっといくのだが)

 

それからはボニーが引っ張るたびに「木」になって立ち止まることにした。

数歩進んでは立ち止まることになるので、最初はなかなか思うように歩けなかったが、それにも慣れていった。

何より、引っ張られたままの散歩ではなくなったので、脚を傷めることがなくなった。

 

実践で指導を受けたのではないが、このようなヒントひとつで何かをつかめたりする。

ことばは不思議だ。

 

悩みに悩んで、ひとり居たが、ラブラドールの飼い主さん(わたしのような飼い主ではなくベテランの方)の何気ないつぶやきにどれだけ励まされたことだろう。

「ボニーはいい子だなぁ~」

今でもあのたんぽぽとクローバーの、うららかな春の日が浮かぶのだ。

 

 

 

 

 

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ぶたのぬいぐるみ

2020-11-11 13:39:31 | 思い出

こんなことがあった。

 

息子夫婦が1歳の孫を連れて遊びに来たとき――

突然、孫のぐずる声が聞こえた。

見ると、孫とボニーがぬいぐるみを引っ張り合っている。

 

知らない人が見たら、赤子と犬が同じものを欲しがって取り合っているのだと思うだろう。

実は、全然違う。

ボニーは家のものに全く触れないのだ。

ボニーは赤子を指導しに行ったのだ。

「それはだめよ!それは家のものなんだから、元に戻しなさい!」

ボニーの代弁をするとしたらそんなところだろうと思う。

 

ボニーにしてみれば自分はこの家の一員であり、息子や孫はよその人なのだろう。

この赤子が何かしないか見張っていたのかもしれない。

 

なんといじらしく、かわいらしいのだろう…

ひとつひとつ思い出すたびに愛しくて、悲しくなる。

 

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