自分なりのやり方でやっていこうと決めたが、相も変わらず引っ張られ散歩だった。
ある時、ネット上で
「犬と不毛な綱引きをしていないか」
という問いかけを見た。
たとえば、犬が木に繋がれているとき、犬は引っ張るだろうか。
犬が引っ張る、引っ張られまいとして飼い主が引っ張る。
さらに犬が引っ張る――
それが不毛な綱引きというものらしい。
たしかに、所用で立ち止まっているときにはじっとしていられるのだ。
(それでも興味をひかれたものにはガッっといくのだが)
それからはボニーが引っ張るたびに「木」になって立ち止まることにした。
数歩進んでは立ち止まることになるので、最初はなかなか思うように歩けなかったが、それにも慣れていった。
何より、引っ張られたままの散歩ではなくなったので、脚を傷めることがなくなった。
実践で指導を受けたのではないが、このようなヒントひとつで何かをつかめたりする。
ことばは不思議だ。
悩みに悩んで、ひとり居たが、ラブラドールの飼い主さん(わたしのような飼い主ではなくベテランの方)の何気ないつぶやきにどれだけ励まされたことだろう。
「ボニーはいい子だなぁ~」
今でもあのたんぽぽとクローバーの、うららかな春の日が浮かぶのだ。