母が12月中旬、実家近くの病院から老人施設に移った。
兄妹で交代で毎日顔を見に行っている。
暮れの31日に訪ねると、母はちょうど共有部分の食堂で昼食を終えたところだった。
部屋に戻って
食後のミカンを出し、少し寝ころんでもらってから、次兄からの申し送りの和菓子と私の持っていったバナナケーキやらでお茶とかして過ごした。
「甘いものはおいしいね~食べることが楽しみだよ」
母の食欲は衰えず、食道ガンは今のところ休眠中なのか。
母はおとといの夜、自室の花の鉢に水をやろうとして転んで右手首の骨を折ったと言うが、
軽かったのか、添え木した右手は痛くないらしく、食事も平気なようだ。花の鉢は責任を感じたのか次兄が洗面台に置いてあるのだけを残して片づけた。
「明日は元日だね。お前も帰ってナマスでも作らなきゃね。私は昨日はお風呂に入ったし頭も洗ったし、変じゃないよね・・・そうだ爪を切ろう」
爪切りをさがして母に渡す。母は切ってくれと私に差し出す。
母の爪をきるのはJ病院にいた時に続き二度目だ。
母の手の爪はあまり伸びていなかったので少し切りにくかった。
深爪をしそうで・・・
「足も切ってちょうだい」
母は娘である私なら甘えられるのだろう。
片足づつ靴下を脱いで私の前に出す。
母の足の爪は少し伸びていたけど、巻き爪になっているところもあった。
以前のガサガサの足ではなくなって、白くて少しむくんでいる・・・
「ああさっぱりした。これでお正月が迎えられる」
母は明日また病院へ行ってから長兄の家で正月を迎えるのだ。
「お前も帰ってナマスでも作らなきゃ、お膳が淋しいよ」
私「黒豆とカズノコは作ってあるんだ」
三時にカラオケの流れる共有部分の食堂に母を残して施設を早めにでる。
「また来るから」と言い残して。
お母さん、お母さんが以前やっていたように紅白も見ないで作りましたよ。今年はお母さんに鶏がらだしの取り方も教わったしね。