貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

魔境さらに:CZ

2024-05-05 09:57:58 | 人工鉱物

なんと100カラット!(は?)
100ですぜ、100。レアストーンだったら1カラットでも「おお、大きいな」と思うのに、100ってのはその100倍ですぜ。(言われんでもわかる) ちょっとあたおかじゃないですか?(君がだろ)
CZ。人造宝石キュービックジルコニア。99.94ct。(100ないじゃんw) これ、100にしようとしてちょっとミスったんじゃないかな。(変な勘繰り)

地色は薄い紫。そこにばんばかファイヤーが煌めく。



これで1000円台。へたなガラスより安いぜ。
何ですかこれ。
頭おかしくなってきた。(元からではないか?)
きらきらならばそれでいいじゃん。
成分がどうだ、結晶構造がどうだ、産地がどうだ、なんてどーでもいいじゃん。
もう石探しやめやめ。(へえw)

ううむ、魔境どっぷり。(ま、しばらく浸かってなさい)


魔境:合成ルビー

2024-05-04 21:07:31 | 人工鉱物

いやあ、まいりました。(左目も見えなくなったのかね)
魔境にはまったのです。(は?)
人造宝石。きらきらで、とにかく安い。
うわ、こんな値段だったらこれも欲しい、あれも欲しい、となって。
しかし必死に欲を抑えて。
しかししかし、これをやってしまいました。

でけえ。(確かに)
合成ルビー。組成・結晶構造は天然と同じ。
なんと36.99ctですぜ。
それで3000円台。
天然だったらどのくらいするか。いやもうこんなのは出ないでしょう。
いくら合成でも安すぎではないかい?
それでいて美しい。ピジョン・ブラッドですぜ。鳩の血? なんで鳩?



ちゃんと蛍光もする。クロムが何%入ってうんたらかんたらなんでしょう。

きらきらならいいじゃないか。大きいならもっといいじゃないか。
と暴走したのでした。
小ちゃい石や地味な石ばかり見ていた反動か?
ううむ。
しかしすげえ。


YAG・GGG

2024-04-27 19:43:24 | 人工鉱物

CZで羽目を外したついでに、YAGとGGGもゲット。
「カナリーイエローYAG」。イットリウム・アルミニウム・ガーネット。

かすかに緑がかった絶妙な色。実にいい色です。これも遠くまで光を飛ばす。

ブルーのGGG。ガドリニウム・ガリウム・ガーネット。

少し色は暗いのだけれど、深く澄んでいて美しい。ファイヤーは出ない。
しかし写真にするとつまんないね。へただからでしょうけど。

YAGもGGGも、前から見てみたいなとは思っていたのです。
何せ組成が不思議。
YAGは Y3Al2(AlO4)3。硬度8.5、屈折率1.833、分散度0.028、比重4.55。
GGGは Gd3Ga2(GaO4)3。硬度6.5、屈折率2.03、分散度0.045、比重7.05。
参考までに再掲、ダイヤモンドは屈折率2.42、分散度0.044、比重3.6。

YAGもGGGも、X3Y2Z3という結晶構造を持つからガーネットに分類される。つか、ガーネットの定義広すぎだろ。
ちなみに普通のガーネットは、例えばグロシュラー Ca3Al2(SiO4)3、硬度7、屈折率1.7、分散度0.028、比重3.5前後。

いずれも1960年代末からレーザー機器などの用途で作られたが、宝石としても商品化され、人気を博した。しかしその後宝石生産は減少、最近になって再注目され古いストックがけっこうな値段で出回っているとか。詳しくはこちら参照。

ガドリニウムとかガリウムって何?
ガドリニウムは原子番号64、希土類の金属。ランタノイドの一員。
ガリウムは原子番号31、土類金属。アルミの兄貴分みたいな感じ。
と言われてもさっぱりイメージできない。まあ日常で接することはないか。

人工宝石はインクルやムラがないとか、CZの場合はダイヤモンドでは難しい完全な無色があるとか、とにかく安いとか、いろいろなメリットがある。
「天然石」鑑賞としては邪道かもしれなけれど、なかなか素晴らしい領域ではないでしょうか。(あちこち手出し過ぎじゃないかい?)


CZ

2024-04-26 21:46:27 | 人工鉱物

「地味な石ばかりじゃのお。たまにはもそっとコガネに輝くようなのはないのか」
と山の神がのたまう。
たまには山の神のご機嫌も取らなくてはならない。
ヤフオクを漁ってみると、ゴールデン、キンキラのものが安く出ていた。

「いかがでござりますか」
「おお、これは」
「お気に召されて何よりでござりまする」
「高いのか」
難しい問いである。安いと言えばそんなものをとなるだろうし、高いと言えば無駄遣いをとなる。まあしかし正直が何より。
「千円でござる」
何とも微妙な表情を開陳されて話は終わった。

イエロー・キュービックジルコニア。CZ。人造宝石。1970年代からダイヤモンドの代用品として生産されるようになった。
二酸化ジルコニウム(ZrO2)を基本とする人工立方晶系結晶。本来の二酸化ジルコニウム(自然にはごく稀にしか存在しない)は単斜晶系だが、CZはダイヤモンドに近づけるためイットリウムなどを加えて立方晶系にしたもの。添加物には様々なレシピがあり、製品も様々。なお自然鉱物のジルコンは ZrSiO4 でケイ酸塩鉱物。全然違う。
硬度8~8.5(ダイヤは10)、屈折率2.15~2.18(ダイヤは2.42)、分散度は0.0058~0.066(ダイヤは0.044)。比重5.6~6.0(ダイヤは3.6)。
分散度が高いからカットによって七色キラキラに輝く。素晴らしいではないですか。

と味をしめて、同じ出品者さんから「超高質、高技術カット」の無色CZを買った。
これは開けてぴっくり。まじで声が出た。

写真じゃ写らないのですけど、まあすんごい。「プリンセスカット」という特殊なカットらしい。山の神殿もご満悦。
さらにびっくりしたのは、2つとも、室内のさほど明るくない光で、5メートルくらい離れていても、ピカーッという光が飛んでくる。こんなのは初体験でしたね。

さらに悪乗りして、「タンザナイトカラー」のCZも。



色が暗めなので上記二点ほどの派手さはないけれど、これもすごい色と輝き。カットのせいで赤とかのファイヤーも出る。


人工鉱物なんて邪道でしょ、とか思っていた。けれどエメラルドの典型的な色が欲しくて合成ものを買った。その後、とんでもない分散度だから、とモアッサナイトにも手を出した。で、今度はCZ。
強烈な色や輝きを見たいのなら、人工鉱物もいいではないですか。すごいし、お安いし。と変節したのでした。
実際、このCZは輝きもファイアもすごい。較べる先を持ってないから確かなことは言えないけど、へたすりゃダイヤモンドを凌ぐのではないか。まあファイアが出過ぎて少し下品だと見るむきもあるかもしれないけど。で、何より安い。こんな大きなダイヤだったらとんでもない値段になるでしょう。でもこれらは千円以下。
だから、詐欺に使うのは論外ですけど、人工だよと納得して味わうのなら、大いに素晴らしいことではないでしょうか。

 


モアッサナイト

2023-10-22 09:32:27 | 人工鉱物

人工石というのはあまり食指が動かなかったのだけれど、どうしても見てみたいと思ったものが出てきまして。
その一つがモアッサナイト。
言わずと知れた「ダイヤモンド類似石」。といってもダンビュライトなどの「安価な代用品」とは格が違う。人工石ではあるけれど性能としてはダイヤモンドを凌駕する。
・屈折率 モアッサナイト:2.65~2.69 ダイヤモンド:2.42
・分散度 モアッサナイト:0.104 ダイヤモンド:0.044
・ダイヤモンドは立方晶系で複屈折なし。モアッサナイトは六方晶系で複屈折あり。複屈折があると干渉による色彩変化や方向変色(多色性)が見られる。
まあ、つまりですね、「ダイヤよりすげえぜ」という石なのですね。
だから、実際に見たかったのです。で、夕星庵さんでお安めのが出ていたのでゲット。



(何だよこの写真)
いや、あちきの写真技術では写らんよ。つか、こんなん写真じゃ無理。だから買ったのだ。(居直ったな)

「どうだい、ダイヤよりきれいかね?」と聞かれると返答に窮する。そもそもダイヤなんて一つ格安品を持ってるだけであんまり見たことないから、比較の基がない。モアッサナイトにも品質の良し悪しはあるだろうし。それに、この手のものはカットの技術で大きく左右されるから、石そのものの美しさなんてなかなかわからない。(それじゃ意味なくね?)
けれど、やっぱり美しい。すごい。きらきら。色いっぱい。

モアッサナイトは SiC。こんな組成があってたまるか、みたいな組成。ウィキによれば《ダイヤモンド型の骨組みの中に炭素とケイ素が交互に積み重なっており、ダイヤモンドとケイ素の間を取ったような性質を示す》とのこと。天然に産出することはきわめて稀で、隕石に含まれていることがある。1998年にアメリカの企業が合成に成功。特許が2016年に切れたので、今は世界中でばんばん生産されているとのこと。

そう言えば、熱伝導率でも、ダイヤモンドの2000にはかなわないけど、モアッサナイトは490と図抜けている。トパーズは20くらいなのだけど持つと冷たい。モアッサナイトはどうか、と思ったけれど、こんなに小さなルースでは瞬時に温まってしまうからまったく冷たさは感じませんでした。笑い。

まあ、特殊な変な、きらっきらの宝石。それを手にすることができてとても満足しております。