タングステン。W。原子番号74の金属元素。ドイツ語ではヴォルフラム。
金属の単体では最も融点が高い。高純度タングステンは柔らかいが合金で非常に硬く熱に強いものを作るので切削用工具や戦車を破壊する徹甲弾とかに利用される。へえ。
まあ一番身近なのは電球のフィラメントですね。もう白熱電球は絶滅危惧種だけど。
タングステンを必須として含む鉱物は50種、タングステン酸鉱物は12種類しかない。地殻中の構成比はジルコニウムやバナジウムと同じくらいなのに少ない。
12しかないからタングステン酸鉱物全リスト。
Anthoinite AlWO3(OH)3
Cuprotungstite Cu2(WO4)(OH)2
Ferberite FeWO4 鉄重石
Huanzalaite MgWO4
Hubnerite MnWO4 マンガン重石
Langhofite Pb2(OH)[WO4(OH)]
Paraniite-(Y) Ca2Y(AsO4)(WO4)2
Raspite Pb(WO4) 単斜鉛重石
Ronpetersonite BaWO4
Sanmartinite (Zn,Fe)WO4
Scheelite Ca(WO4) 灰重石
Stolzite Pb(WO4) 鉛重石
*Raspite と Stolzite は同質異形。
まあ出回っているのは灰重石=シェーライト、鉄重石=ファーべライト、マンガン重石=ヒュブネライトですかね。
以前は鉄マンガン重石(ウォルフラマイト(Wolframite、(Fe,Mn)MnWO4)という名称があったけど、今は鉄とマンガンに分けられて廃止になったそうで。
* * *
まずはヒュブネライト。Hübnerite。ヒュブナーというドイツ人名から。だから u の上にウムラウトが付いてる。ヒュブナーライトの方が正しいかも。ハブネライトと表記する人もいるけどそれはない。マンガン重石。MnWO4。
Peru, Mundo Nuevo Mine産。
ピッカピカの柱状結晶クラスター。いい輝きです。
透明度はほとんどないのだけど、強い光だと角度によって妖しい赤い輝きが出現する。こういうのゾクッとしていいです。
おまけにこやつ、一つの面にチビチビの水晶がたくさんひっついている。かわゆい。
比重7.2で重たいのもいい。
お次はシェーライト。Scheelite。これもドイツ人名由来。英語で普通に読めばシーライトだけど、由来を尊重するインテリはシェーライトと発音する。かどうかは知らない。(おいw) 中には「スキーライト」と発音しているサイトもある。英語人は発音いいかげんですな。統一せいや。(余計なお世話w)
灰重石。Ca(WO4)。タングステン採取の主要鉱物らしいけど、標本はあまり売ってないし、割と高い。
前にブルーシェーライトという名の、実はブルードロマイトとの混合石を上げました。こちら。
基本無色ないし黄色だけど、エヌズさんなんかにはオレンジ系の美しい結晶が出ている。お高いけど。
これはなんと紫。ちょっと珍しいのではないか。何が入っているのかは知らない。結晶面のピカピカも美しい。中華人民共和国湖南省瑶崗仙産。
エヌズさんのオレンジものは青く蛍光するみたいだけどこやつはそういうサービス精神はない。
こやつもずっしり重たい。
しかしタングステンが透明になるというのはちょっとおかしいだろ。(また言ってるw)
こうなったら鉄重石も、と思ったけど、あんまりぱっとした石ではないのでやめ。安くないし。
鉛重石のラスパイト/ストルザイトも mindat の写真だと美しいものがあるみたいだけど、国内で売ってるものはもう一つぱっとしない。
タングステンねえ……よくわからんけどそういう物質もあるということで。(どういう意味だよ)