貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

熊野薬石

2025-02-02 08:41:02 | 国産鉱物

いやあ、インフルが終わったと思ったら続けて普通の風邪を引きまして、ボロボロ。毎年やるやつだから勝手知ったるものだけど、なんで便乗する? オジジが昂進してもう免疫力もないということなのか。まあこの伝ならややこしい病気にならずに風邪でお陀仏ということもできそうかななどとも思ったり。しかし神様だかガイアだかディープステートだか知らないけど、何か大きな力が人間を減少させようとしているような感じもしますね。その大波に流されようか。(余計なことを書くでないw)

     *     *     *

先日、Xで地球科学者の巽好幸博士が熊野をめぐるシリーズを投稿されていました。またまたあちきも素人の身ながら質問などさせていただいて、とても面白かったです。
「なんで熊野はあんな山また山のとんでもない地形になったのか」。
話はえらく複雑ですけど、乱暴に端的に言うと、
「ユーラシア大陸から剥がれて南進してきた西部日本列島と、できたての熱いフィリピン海プレートがぶつかった。その沈み込み帯で、列島側の海底に積もっていた堆積物が地下に送り込まれ、熱と圧力で溶解し、大量の花崗岩マグマが発生した。」
「それは紀伊半島に4つのカルデラ火山を噴火させた。さらに残りのマグマが固化し、マントルにまで届くほどの巨大な花崗岩体が形成された。」
「フィリピン海プレート(四国海盆)はさらに花崗岩体を押し続け、紀伊半島を隆起させた。」
ということのようです。詳しくはこちら
前々から「紀伊半島の下には巨大な花崗岩体がある」という話は聞いていまして、何となく鏡餅のような平べったいものを想像していたけど、とんでもない。えらく深くて丈のある超巨大岩体で、地球的にもかなり珍しいものであるらしい。
4つのカルデラ噴火というのは初めて知りました。カルデラ噴火というのは、主に花崗岩マグマに近い粘性の高いマグマが、地上直下で巨大なマグマ溜まりを作って、それが一気に破壊的噴火を起こすもの。
阿蘇・喜界・姶良など九州のカルデラ火山は有名で、その噴火は西日本縄文文化を壊滅させるほど巨大なものだったとか。紀伊半島の4つのカルデラはそれより時代が後。こちらの規模も相当だったらしいけれど、雨が多い地域のせいか、はっきりとした火口は残っていないみたい。
いやあ、びっくりですねえ。4つのカルデラ火山と超巨大花崗岩体。
それがあの「籠(こ)もり処(く)=死者の国」熊野を作り上げている。どこまで行っても山ばかりの「超異界」ですかね。
関東人のせいかちょっとリアリティはわからないですけど、近畿人にとっては、恐ろしい場所だったのかもしれません。2回ほど行ったことはあるんですけど、山深いなあとは感じたけど恐ろしさはあまり感じ取れませんでした。近代人はやっぱ感性が鈍っているんですかね。(人を巻き込んではいかん)

で、その熊野からの石。「熊野薬石」。小さい廉価品。



《三重県は熊野市産の、熊野薬石です。熊野の海岸で産出する角閃石の一種ですが、微弱な放射線を出しているので、ホルミシス効果が期待できます。身体に有益と言われているα線が出ている事が認められています。銘石と呼ばれる石の一つでして、硬度が高く、使えば使うほど艶が出る、美しい淡い青色の石です。》

α線というのはヘリウム原子核。ラジウムなどの自然崩壊で発生する。非常に弱く、数センチの空気や肌の角質層を通り抜けることができない。ただし発生源が直接細胞に触れると細胞破壊が起こる。また電離作用が強いので衝突した分子をイオン化させる。のだそうで。
放射線の説明というのは何度読んでもよくわからん。わざとわかりにくくしてあるんじゃないかと邪推したくなるくらい。放射線の種類というのは細かく説明されるけど、一般的に「放射線が検出された」とか言われる時にはその種類は述べられない。「宇宙線」なんかも同じ。なんかもやもやする。
ホルミシス効果というのは《大量では有害な作用をするものが、わずかな量だと人体に生理的な刺激を与えて活発化させる現象》ということらしいけど、これも諸説紛々。宇宙へ行って帰って来た植物が猛烈な生命力を見せることもあるらしいし、微量放射線を出すラジウム温泉が病気に効くということもあるらしいから、何らかの現象はあるようだけど現代科学はあんまり認めたくないらしい。(らしいばっかだなw)
まあもやもやとアヤシイ領域ですな。

「薬石」というのは地方伝承文化や民間療法で言われる石で、わりとあちこちにある。前にも書いたけど、姫川薬石というのはあちきも持っていてマッサージに利用している。なんかいい感じがするのだけど、どういうことかはわからない。
この手の地方銘石というのは、科学的分析などが明確に示されていないことが多い。ありきたりな岩石名・鉱物名に還元されるのは面白くない、という忌避があるのですかね。
この熊野薬石は角閃石と書かれているけど、見た目からすると花崗閃緑岩あたりではないかしらとも思える。
UVライトだとこんな感じ。



花崗岩・流紋岩は玄武岩マグマからはじき出されたウランなどの放射性鉱物を含んでいるため、自然放射線量が多い。薬石と言われるのはやはり微量放射線を出していることが多いのかもしれない。地下に眠る巨大花崗岩体も放射線(とか磁力線とか重力線とか?)を出していて、それが熊野を特異な信仰の地にしているのかも、なんて妄想も湧く。

まあもやもやとわからないことだらけだけど、そうした謎めいたものも含めて、その土地の魅力を湛えているようにも思えます。
この熊野薬石も、地下に眠る巨大岩体と同じものかもなんて想像しながら眺めると、また別の味わいが出てきます。


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