チタナイト。宝石名はスフェーン。和名には「くさび石」というのもある。
CaTiSiO5 で、珪灰石 Ca3Si3O9 にチタンをぶっこんだ感じ。なぜかチタンは単独でケイ酸と化合しないらしい。不思議。
正直に言うと、「ちょっとわけのわからない石」。
鉱物標本として売られているのは、前項で出したような、モスグリーンの、あまり透明度は高くない結晶。宝石ではないからチタナイトあるいはチタン石と銘打たれる。
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ところが宝石になると、いろいろな色がある。人気の高いのは無色、黄金色、薄緑あたり。赤系もある。ネットで見るとキラキラと美しいカットルースがいっぱいある。
一般の標本石と宝石とでは、全然違う石だろうくらいの違いがある。まあ何でも一般標本と宝石とは違うことが多いけれど、スフェーンはその隔たり度合いがすごい。
これは五反田産のミニ標本。何とも名付けがたい色をしているけれど、輝きは強い。
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宝石系。これは Hunza Gems and Jewellery さんのカットルース。宝石系と言ってもお手頃値段。
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これも何色なのかわからない色をしている。基本は薄いモスグリーンなのだろうけど、光の入り具合でいろいろな色を見せる。これは「多色性」の範疇に入るのだろうか。反射光なのかどうかもわからない。正体不明だけれどそれが妖しく美しい。
スフェーンは、ダイヤモンドをも凌ぐほどの「散光率」を持つと言われる。
って、何じゃいそれは。
「分光」「ディスパージョン(dispersion)」とも呼ばれる。宝石用語では「ファイア」とも。ファイヤーオパールとかファイヤーアゲートとかのファイヤーとは違うのね。
入って来た白に近い複合波長光が、石の中で屈折と反射を繰り返す中で、様々な色に分解されて発光すること。ダイヤモンドの輝きを作り上げる光の3つの効果のうちの1つ。
まあ、要するに、スフェーンは屈折率と複屈折によって、うまくカットされれば、ダイヤモンドよりキラキラと七色に輝く。らしい。ミネラルフェアか何かでスフェーンのカットルースばかり並べていた石屋さんを見たことがあるけど、確かにすごく美しかった。けどダイヤとの比較なんかはあちきにはわからない。
先のカットルースが色的に正体不明なのはこのディスパージョンのせいなのだろうか。
まあチタナイトないしスフェーンは、正体不明の変な石、その変さ加減が魅力の石です。