貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

【速報】地殻からの水の噴き上がり?

2022-01-02 21:56:06 | 漫筆

「能登半島で1年続く謎の地殻変動 3cm隆起した場所も、原因は水?」(朝日新聞デジタル

前に「石はどうやってできるか」で、地球内部まで含む巨大な水の循環について触れましたけど、それが現実に観測されているらしいです。

《石川県能登地方で謎の地殻変動が1年続いている。3センチほど隆起した観測点があるほか、震度5弱など震度1以上の地震は約70回発生した。専門家は、地下から上昇してきた水が地殻を膨張させた可能性を指摘する。》

下部マントルまで含めた話ではなく、250キロくらいの上部マントル内でのことと考えられているらしいですけど。
なぜ今、そこで起きているのか、この後どうなるのか、などはまったく不明ですけど、実に興味深いニュースですね。


チタン② チタナイトあるいはスフェーン

2022-01-02 17:24:56 | 単品

チタナイト。宝石名はスフェーン。和名には「くさび石」というのもある。
CaTiSiO5 で、珪灰石 Ca3Si3O9 にチタンをぶっこんだ感じ。なぜかチタンは単独でケイ酸と化合しないらしい。不思議。

正直に言うと、「ちょっとわけのわからない石」。
鉱物標本として売られているのは、前項で出したような、モスグリーンの、あまり透明度は高くない結晶。宝石ではないからチタナイトあるいはチタン石と銘打たれる。

ところが宝石になると、いろいろな色がある。人気の高いのは無色、黄金色、薄緑あたり。赤系もある。ネットで見るとキラキラと美しいカットルースがいっぱいある。
一般の標本石と宝石とでは、全然違う石だろうくらいの違いがある。まあ何でも一般標本と宝石とは違うことが多いけれど、スフェーンはその隔たり度合いがすごい。

これは五反田産のミニ標本。何とも名付けがたい色をしているけれど、輝きは強い。



宝石系。これは Hunza Gems and Jewellery さんのカットルース。宝石系と言ってもお手頃値段。







これも何色なのかわからない色をしている。基本は薄いモスグリーンなのだろうけど、光の入り具合でいろいろな色を見せる。これは「多色性」の範疇に入るのだろうか。反射光なのかどうかもわからない。正体不明だけれどそれが妖しく美しい。

スフェーンは、ダイヤモンドをも凌ぐほどの「散光率」を持つと言われる。
って、何じゃいそれは。
「分光」「ディスパージョン(dispersion)」とも呼ばれる。宝石用語では「ファイア」とも。ファイヤーオパールとかファイヤーアゲートとかのファイヤーとは違うのね。
入って来た白に近い複合波長光が、石の中で屈折と反射を繰り返す中で、様々な色に分解されて発光すること。ダイヤモンドの輝きを作り上げる光の3つの効果のうちの1つ。
まあ、要するに、スフェーンは屈折率と複屈折によって、うまくカットされれば、ダイヤモンドよりキラキラと七色に輝く。らしい。ミネラルフェアか何かでスフェーンのカットルースばかり並べていた石屋さんを見たことがあるけど、確かにすごく美しかった。けどダイヤとの比較なんかはあちきにはわからない。
先のカットルースが色的に正体不明なのはこのディスパージョンのせいなのだろうか。

まあチタナイトないしスフェーンは、正体不明の変な石、その変さ加減が魅力の石です。