TENNIS COACH DIARY

ハンサム木全のたわごとです

エコ3(121)

2005-07-13 23:36:09 | tennis
 エコの考え方をすすめると、グループレッスンでは限り無くボール出しの単純練習が減ってくることになります。これは、間違ってないと思うのですが、問題がひとつ。じゃあ、ボール出し練習は必要ないのかというと、そんなことはないと思います。グループレッスンでボール出しをあまりしないで選手どうしのヒッティングを主体とする、では技術習得のためにとても大切なボール出しは、ヨーロッパではプライベートレッスンで行います。つまり週2~3回のグループレッスンを受けることとその他に週1~3回のプライベートレッスンを同時に行うことはあたりまえの文化となっているわけです。

 それが、あたりまえとなっていない日本では、そのへんがとてもむずかしい。どうしても、技術の習得ができていない子にはグループレッスンの中でボール出しをせざるをえない。すると、しっかり技術を習得している子は、レッスンの中で生きたボールをたくさん打たせて、技術をより実戦で使えるものにしたいのに、それができない。

 かといって、みんな、「プライベートもっとうけてくれー」ともいいずらい。なんせ値段が高いですから。私が自分でクラブをやっていたら、もう少し考えるのですが、思うようにいかないものです。

 そういったわけで、とても微妙なバランスの上にいろんな事が成り立っているのです。日本全国の尊敬する先輩コーチ達にこのあたりのことを尋ねると、やはり、いろんな苦労の上、それぞれ解決策を考えて実行されておいでです。


写真はシンガポールのナンバー1の選手。

 
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エコ2(120)

2005-07-13 01:03:08 | tennis
 たとえば、私が生徒にハーフバウンドのストロークを教えたいとします。昔の私がとっていた方法は(1)見本をみせて、ベースラインぎりぎりのボール出しをし、ハーフバウンドのストロークをたくさんボール出しで打たせる。です。

 そして最近の私がとる方法は以下です。(2)シングルスサイドラインの横とベースラインの後ろは300mの断崖絶壁です。横や後ろにはみだすと崖から落っこちて死んでしまいます。さあボール出しから10ポイント先取をしよう。

結果はみごとです。(2)の方法(エコ)の方が何も説明してないのに、(見本さえみせてない)ハーフバウンドのストロークがものすごくうまく打てるようになります、ものの20分で。みなさん実験してみて下さい。

つまり「ああ打て、こう打て」といってボール出しするより、そこへ導くような環境つくりがとても効果があるのです。しかも生徒はコーチに教えられたのではなく、自分から技を編み出しますから、執着と集中がまったく違います。


いろんな段階の様々な子供たちに対して、あるいは大人の生徒さんに対して、ある事を教えてできるように導くためには、どういう環境をつくるのがいいのか考えていると、時間がどんどん過ぎていきます。(考えるのがとても面白い)。

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エコ(119)

2005-07-13 00:37:44 | tennis
 トレーニングジャーナル6月号を読んでいて、いい文章に出会いました。私がここ2年くらいであちこちで勉強して、すばらしい指導方法として少しずつわかってきた事がここに、みごとに書かれていましたので、載せてみます。

仮に相手にペンを取らせたいと考えた時に、「ペンをとって下さい」と言えば取ってくれる。それは言葉が通じるからで、動物にはできない。このとき、ペンを持った相手はペンそのものに集中しませんし、執着もしません。ところが、自分から率先して物を取ろうとすると執着します。落ちていたペンが以前失くした物ではないかと考えれば、関心を示して手に取ります。この例から言うと、「今から50mを走って下さい」と言っても、選手はそのことに執着しません。この場合は集中はしますが、執着はしません。嫌々勉強していると、覚えられない、これと同様のことです。
 自分から率先してやらせるには、その人が思わずペンを握ってしまうような環境をつくってしまえばよいのです。何もない広い机の上にペンを1本置き、その前に座らせ世間話をしていれば、思わず握ってしまうでしょう。これは、こういうトレーニングをしようという話ではなく、指導の際に「あれをしろ、これをしろ」と言わなくても、ある刺激を与える、ある環境を与えるだけで、ほおっておいても目的とする動きに誘導させられるということです。ヨーロッパなどでは、この生態的な動きを「エコロジー(ecology)」と表現し、「エコ」という言葉をつかっています。スポーツ科学に関する指導書などではこの「エコ」という言葉がたくさん出てきます。…

最近、どこの指導者講習会でもこの話に近いことが出てきます。とても勉強になったドイツのリチャード・ショーンボーン氏の話でも出てきましたし、オランダ視察勉強に行った時もとても多くのレッスンで見かけました。

つづく



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